表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天魔の子(仮)  作者: タロさ
145/236

街と教会 貴族と教会②

アイゼン バルゴは、エルマール メンデとギルバード キャンと共に屋敷に戻った。


執事やメイドたちの挨拶も、耳に届いていないかのように、『ズカズカ』と屋敷の中を進み

応接室に入ると、苛立ちを隠さず『ドカッ』と腰を下ろす。


後ろをついて来たエルマール メンデとギルバード キャンも、

上手くいかなかったことと、セフィーコットの態度に不満で溢れていた。


そんな3人が屯する部屋の扉が叩かれ、執事が入ってくる。


「旦那様、失礼致します」


「【タクス】か?

 どうした?

 今は、気分が悪い。

 後にしろ」


「畏まりました」


アイゼンの不機嫌そうな態度とその言葉に、執事のタスクは、その場から去る。



何もしないまま時が過ぎ、エルマール メンデとギルバード キャンが帰った後、

アイゼンは、タスクを呼ぶ。


「お呼びでしょうか?」


「ああ、私に何か話したいことがあるのではないのか?」


「はい」


タスクは、一通の手紙を差し出した。


「これは・・・・・」


宛名は、【ドミニク デモン】。

この街に住む貴族の1人からだった。


アイゼンとドミニクは、同じ子爵だが、仲が良いとも悪いとも言えない間柄。

そんな男からの手紙に困惑しながらも封を切る。


「・・・・・・!!!」


手紙は、『この街を私たちで治めないか?』という誘いが掛かれていた。

それにもう一つ、数人の教会関係者を匿っているとも記されていたのだ。


「これは!」


手紙を読み進めると、ドミニクは、その者たちと取引を行い、

今後、ドミニクに従うという念書も取ったとある。


教会に歯向かうには、多大な危険が伴う。


アイゼンたちは、次の教会関係者が来るまでの間に、おいしい汁を吸おうと考えていたのだが

ドミニクの手紙は、匿っている教会関係者を責任者に仕立て上げ、

この街を裏から支配しようという事だった。


この件が成功すれば、懐に入る金は莫大になる。


しかし、この作戦を実行するには、貴族同士でいがみ合っていては成功しない。

だから、アイゼンにも誘いをかけて来たのだ。


手紙を読み終えたアイゼンは、天井を見上げる。


「悪い話ではないな・・・・・」


教会から、与えられる金と比べれば、それが比べ物にならない事も理解できる。

相手がドミニクだとしても、悪い話ではなかった。


「タスク!」


執事を呼びつけたアイゼンは、直ぐに筆を執り返事を書いた。


「これを・・・・・」


手渡された手紙のあて名は、ドミニク デモン。


タスクは、手紙を受け取ると、一礼して出て行く。

1人きりの部屋で呟くアイゼン。


「まだ、我らにチャンスが残っていたか・・・・」




翌日、アイゼンの屋敷に呼び出されたエルマール メンデとギルバード キャン。


「アイゼン殿、昨日の今日で、何かあったとは思えぬが、

 私たちを呼び出したということは?」


早急な呼び出しだった。

その為、何かあったことは間違いではない。

期待をしつつ、次の言葉を待った。


「ああ、吉報だ」


「おお!」


2人の顔に笑みが零れる。


アイゼンは、昨夜、受け取った手紙の事を話す。

そして、今後、共同でこの街を支配する旨を告げた。


「それでは、あの若造にも仕返しが出来るという事ですね」


あの若造とは、昨日商人ギルドで、アイゼンたちを追い返したセフィーコットの事だ。

エルマールは、昨日の事を思い出し、『ニヤリ』と笑った。





数日後・・・・・


商人ギルドでの仕事を終え、帰路に就くセフィーコット。

ただ、こんな時期なので、しっかりと護衛を2人付けている。


セフィーコットの向かう先は、教会ではなく、今回の一件を知った後に予約した宿屋である。

この宿屋の主人は、敬虔な教会信徒なので、セフィーコットの話を聞き

『どうぞ、好きなだけ滞在してください』と申し出て、無償で宿を提供したのだ。


勿論、セフィーコットだけではない。

逃げ延びた教会関係者の数人も、この宿に滞在している。

また、護衛の手配も進んで行ってくれたのだ。


おかげで、今までは物騒なこともなく生活できていた。


しかし、この日は違っていた。


宿への道は、出来るだけ人通りの多い道を選んで進む。

だが、宿のある場所は、少し民家や市場などから離れていた。


その為、薄暗い通りを通らなければならない。


いつものようにその場所に差し掛かった時、声が掛けられた。


「そこの者たち、とまれ!」


警戒する護衛たちだったが、光が当たり声の主の姿が見えると警戒を緩めた。

セフィーコットは、相手が兵士だと知り、安堵する。


「巡回ですか、ご苦労様です」


「そなたは、セフィーコット殿ではないですか!?」


「ああ、いかにも。

 貴殿らは、巡回ですか?」


「このような物騒な時でもあるし、我ら貴族の私兵も、休んでは示しがつかぬ」


巡回チームの責任者、【ノスマン】は、そう告げて笑みを浮かべた。


「確かに、今は物騒ですね。

 何処から来た者なのか、この街を荒らしてくれましたからね。

 それで、その者たちの居場所は、掴めたのですか?」


「それが、情報が無いのだ」


ノスマンは、セフィーコットにそう告げるが、

実際は、探索すらしていない。


エンデたちには、すべての罪を背負ってもらう為、必要以上に警戒されたくないのだ。

だからこそ、何もしない。


その代わり、もう一つの準備は、着々と進んでいた。


「セフィーコット殿は、お帰りになられるのですか?」


「ああ、そのつもりだが」


「では、我らもご一緒させていただきます。

 護衛は、1人でも多い方が良いですからな」


ノスマンは、返事も聞かず仲間たちに合図を送る。


セフィーコットの両側に一人ずつ。

正面に2人。

後のものは、元々ついていた護衛の背後へと回った。


「では・・・・」


ノスマンのその言葉と同時に、兵士たちは剣を抜く。

そして・・・・


元々いた護衛の2人を背後から突き刺す。


『グハッ』


漏れ出た声にセフィーコットが振り返る。


「貴様たちなにを!」


ノスマンに背中を向けたセフィーコットにも、剣が突き刺さった。


「『ウグッ』・・・・・こ、これは、どういうことだ・・・・・」


「あんた、邪魔なんだよね。

 まぁ、あんただけではないけど・・・・

 これから、この街はドミニク様のものになるんだよ」


未だ息のあるセフィーコットの心臓に

剣を突き刺し、息の根を止めた。


薄暗闇の中、横たわる3つの屍。


「お前らは、死体を始末しろ。

 残りの者たちで、宿を攻める」


「はっ!」


ノスマンは、3人の兵士をその場に残し、

セフィーコットが滞在にしていた宿にむかった。


ブックマーク登録、有難う御座います。


不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ