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天魔の子(仮)  作者: タロさ
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街と教会 貴族と教会

エブリンは、店主の頬を叩き、意識を取り戻させた。


『ハッ!』と目を覚ました店主は、辺りを見渡しエンデと再び目が合う。


「ひぃぃぃぃぃ!」


後退る店主。


「少し落ち着いて!」


エブリンに強めに言われ、正気に戻りつつあったが、

エブリンを見て『この人誰?』と言ったような感じで『ポカン?』としている店主。


「あ、あの・・・・・貴方は?」


「この子の姉よ」


「姉?

 ・・・・・ってお姉さまですか?」


「ええ、そう言っているでしょ」


『ハァ~』とため息をついた後、話を続けた。


「こんなことになって言い辛いのだけど、

 ここにある商品を売ってほしいの。

 買ったら、直ぐにここから立ち去りますので」


━━━帰ってくれる・・・・・


店主にとってそれだけで十分だった。


「わかりました。

 ご要望の品を、仰っていただけますか?」


エブリンは、希望する商品をスムーズに買い終える。


「これで、出ていくわ。

 それと、街の人にも伝えてほしいのだけど、

 『この街の教会は、無くなったわ。

 だから、教会の言いなりになる必要はないわよ』ってね」


「教会が・・・・・」


「まぁ、行ってみればわかるわよ」


エブリンは、エンデを連れて店を出た。




その翌日、教会の事は、街中に広まっていた。

敬虔な教会信者は、教会の破壊された様子に呆然とした後、泣き崩れたそうだが

多くの住民は、何か吹っ切れたような表情をしていたらしい。


それは、今の街の様子からも見て取れる。


昨日と違い、市場には活気があり、歩く人たちの顔もどこか晴れ晴れとしている。






だが、街の雰囲気とは裏腹に、苦虫をかみつぶした表情をしている者たちがいた。


教会と共に甘い蜜を吸い、悠々自適な生活をしていた貴族たちだ。

殆どの権利を教会に譲ることで、このような暮らしが出来ていたのだが、

教会がなくなったと聞き、焦りを覚えていた。




とある貴族の屋敷に集まり、今後の事を話し合う3人の貴族。

名目上の領主であった【アイゼン バラゴ】子爵。

男爵【エルマール メンデ】と、もう一人の貴族、男爵の【ギルバード キャン】。


「アイゼン殿、教会が崩壊したと聞いたが?」


「ああ、執事に確認に行かせたが・・・・・事実のようだ・・・・」


言葉を失うエルマール メンデとギルバード キャン。


「私たちは、これからどうしたら?」


「それなのだが・・・・・」


静かに言葉を紡ぎ始めるアイゼン バラゴ。


「教会の手にあったこの街だが、これからは私たちのものにすれば良いのではないか」


『ハッ』として、顔を見合わせるエルマール メンデとギルバード キャン。


「そ、それもそうだな」


「ああ、すっかり忘れていたよ」


今まで、すべてを教会に任せ、何もしなくてもそれなりの金額の入る生活をしていた。

その為、肝心なことを忘れていたが、アイゼン バラゴの提案を聞き、思い出した。


『元々は、我々貴族のもの。

 ならば、今後は私たちが仕切ればよい』


 これからは今まで以上の金が転がり込むと知り、2人に笑顔に戻る。


「では、分配について話し合おうではないか」


アイゼン バラゴの言葉に2人は頷く。




翌日、3人は馬車に乗り、街の様子を見に出かけていた。


活気が戻りつつある街の様子に、満足そうに頷く貴族たち。

商業ギルドに到着し、3人は馬車から降りる。


商業ギルドと名乗っているが、実際は、ギルドには加盟しておらず、

全て教会の施設。


街の教会を失った今、一番の収入源となるこの場所に視察に来たのだが

中に入って驚くことになる。


ギルドの中では、未だに教会関係者が働いていたのだ。


「何故?

 教会は、無くなったのでは・・・・・」


エルマール メンデとギルバード キャンは、アイゼン バラゴを見る。


「いや、間違いない。

 だが、これは・・・・・」


呆然とする3人に、一人の男が歩み寄る。


「お三方揃ってお越しになるとは、珍しいですね」


笑みを浮かべる【セフィーコット】。


「セフィーコット殿か、貴殿は此処で何をしておられるのかな?」


「アイゼン殿は、面白い事を尋ねられる。

 この施設の責任者である私が、この場に居ても何ら不思議なことではないでしょう」


「だが、教会は崩壊したと聞いたぞ。

 それに、神父やシスターも居なくなったと・・・・・」


「ええ、大まかにですが、その答えに間違いは御座いません。

 ですが、生き残った者もおりますし、それに・・・・」


笑みを浮かべるセフィーコット。


「何よりここは、アルマンド教国。

 教会が無くなろうとも、そんな事、関係ありません」


セフィーコットの視線の先には、アイゼン バルゴ。


━━━この者は、この街を奪うつもりなのかも・・・・・


そう感じたセフィーコットは、追及するかの如く、話を続けた。


「もしかして・・・・・この街をあなた方のものにする為に・・・・・

 いや、敬虔な、あなた方がそんなことをする筈が・・・・・ありませんよね?」


先程と同じ様に、笑みを浮かべるセフィーコット

だが、目の奥は笑っていなかった。


釘を刺された形になった3人は、急いでその場から立ち去る。


馬車に戻ると、2人はアイゼン バルゴ問いつける。


「アイゼン殿、これはどういうことですか?

 教会の方々は、死んだのでは?」


「そう思っていたのだが、まさか生き残りがいたとは・・・・・」


外部で働くシスターや神父、見習の者たちは生き残っていた。

その為、アイゼンたちの計画は、白紙に戻された。



評価、有難う御座います。


不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

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