表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天魔の子(仮)  作者: タロさ
134/236

奪還と報復 近衛兵たち

前衛にルカク。

後衛にパラーボ。

2人は、いつもの陣形で、エンデと対峙する。


迷いなくエンデに突進するルカクは、横一閃に剣を振るう。

だが、その剣は、当然のように空を切る。


上空に飛び上がるエンデ。

そこにすかさず、パラーボが狙いを定め、魔法を放った。


『ファイヤーアロー』


パラーボの魔法は、確実にエンデを捉えていた。

しかし、それも無駄に終わる。


ただ、飛び上がっただけのエンデだが、

パラーボの魔法に反応するように背中の翼を広げた。


「なんだあの翼は?」


「まるで悪魔ですね」


「だとすれば、打つ手は1つ。

 パラーボ!」


「ああ、わかっている」


ルカクに応えるように返事をすると

パラーボの周りに無数の『光の槍』が浮かぶ。


「ルカク、行きますよ」


「ああ、頼む」


『闇を照らすは光。

 闇の眷属を光の力を以って打ち払え』


『ホーリーランス』


パラーボが呪文を終えると、浮かんでいた光の槍がエンデを取り囲む。


「この世から消え去れ!」


パラーボの言葉を合図に、光の槍はエンデに襲いかかる。

エンデの逃げ道は2つ。


真上と真下。


地上に向かって逃げる選択はない。

エンデは、上昇を試みた。


だが・・・・・


「もらったぁぁぁぁぁ!」


エンデが上に回避することを予想し、

ルカクも魔法を使い、飛び上がっていたのだ。


手には光の槍。


阿吽の呼吸でエンデを追い詰めた。

地上で見ているパラーボは、『ニヤリ』と笑みを零す。


追い詰められたエンデ・・・・・の筈だったが、

エンデに焦る様子が無い。


太陽を背に、ルカクがエンデの間近まで迫った時、

2人の間に、光の障壁が現れ、攻撃を防いだ。


「なに!」


笑みが消え、驚く事しかできない2人。

それも悪魔だと思っていた者が使った光の障壁を使ったからだ。


パラーボは、エンデの翼の2枚が白い事に気が付く。


「悪魔じゃない!

 貴方は、何者なのですか!」


「僕は、エンデ。

 ただのエンデヴァイスだよ」


「『ただの』とは、ふざけたことを・・・・・

 ですが、その名前、憶えておきましょう」


パラーボは、再び呪文を唱えようと構える。

その様子を見たエンデは、黙って左手を前に・・・・・


エンデの手の先は、パラーボの後方。

そこに現れる禍々しい門。


『ゴゴゴ・・・』と重苦しい音を響かせ門が開く。


門が開くと、冷たい風と暗雲が広がり始める。


これに似ている光景をエブリンとダバンは覚えていた。


「もしかして・・・・・砦で・・・・・」


「ああ、多分、姉さんの言った通りだと思う」


その予想は間違っていなかった。

エンデが砦で使った『黒い塊』。


パラーボは、違和感から呪文を止めて、足元を見る。

そこには、黒い霧が広がっていた。


「なんですか、これは!!!」


驚いた時には、もう遅い。


足元に広がる黒い霧の中から無数の手が伸び、パラーボを掴む。


「は、放せ!」


振り払おうと暴れるが、無数の手の力は強く

パラーボは、そのまま無数の手に引きずり込まれ霧の中に消えた。


「お、おい・・・・・パラーボ?」


黒い霧の為、ルカクにはパラーボの姿は見えていない。

だが、聞こえていた叫び声が途絶えたことを不安を抱き、

声をかけてみたのだが、返事は返って来なかった。


「人の心配していていいの?」


何処からか聞こえてきたエンデの声に、ルカクは荒々しく叫ぶ。


「貴様、何処だ!

 姿を見せろ!」


「いいよ、見せてあげる・・・・・」


何処からか聞こえてきた声。


ルカクは、警戒を強めた。


『ピチャピチャ』と水面を歩く音が近づく。


黒い霧の中、薄っすらと見えてくるエンデの姿。

その姿がはっきりと見えた瞬間、驚きを隠せなかった。


「お前、先程のガキなのか・・・・・」


ルカクが驚くのも当然の事。


先程までとは違い、額には2本の角が生え、

肌は濃い紫色に変わっていた。


物語に出てくる悪魔そのものの姿。


「やはり悪魔・・・・・」


剣を強く握りしめる。


その瞬間、見えていたエンデの姿が突然消えた。


「なに!?」


辺りを見渡していると、足元に冷たい感触。

パラーボを飲み込んだ無数の手が、今度はルカクを引きずり込もうとしている。


「放せ!」


剣を振り、纏わりつく手を薙ぎ払う。

しかし、無数の手は次から次へと現れ、ルカクに纏わりついた。


必死に振り払っているルカクに、今度は黒い物体が、高速で迫る。

気が付き、顔を上げるルカクだったが、その物体は、既に目の前。


「貴様!」


正体はエンデ。

異形の姿になったエンデの両手には、剣が握られている。


「チッ!」


慌ててガードをするが、間に合わない。

ルカクの首が落とされる。


地面に『ゴロン』と転がるルカクの首。

倒れる体。

それを無数の手が、闇へと引きずり込んだ。



ルカクがいなくなり、エンデが元の姿に戻ると霧が晴れてゆく。


エブリンたちにも、エンデの姿が見えた。


霧が完全に晴れると、エブリンたちがエンデに近寄る。


「終わったのね」


「うん!」


いつものように明るく答えるエンデだが、

体に変化があったことは話さなかった。


「エンデ、これからどうする?」


「アルマンド教国に行く。

 なんか、このままだときりがないみたいだから」


「確かにそうね」


エブリンも、そう思っていた為、エンデの提案に納得した。

だが、ホルストは違った。


「主様は、王都に戻らないのですか?」


「うん、後の事は、ホルストに任せるよ。

 それとこれ」


勝手に話を進めたエンデは、

アンドリウス王国を出る前に預かっていた国王の手紙を渡す。


「これ、王様から王様にだって」


「えっ!?」


━━━そんな大事な物を・・・・・


ホルストは、そう思いながらも口には出さず、黙って受け取る。


「じゃぁ、後の事はよろしく!」


エンデも忘れていた為、不味いと思っていたのか、

急いでアンデットオオトカゲに乗り込んだ。


「主様!」


まだ、話足りないホルストが声をかけるが

『帰りに寄るから』とだけ言い残し、エンデたちはアルマンド教国に向かった。



不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。


ブックマーク登録、有難う御座います。


※ブックマーク100件到達しました。

改めて、御礼申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ