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天魔の子(仮)  作者: タロさ
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奪還と報復 参入

満身創痍の聖騎士たちだったが、パラーボの恩恵を受けて、回復した。

だが、それだけではなかった。

聖騎士たちの様子がおかしい。


眼孔が開き、紅い目をしている。


『ウゥゥゥゥ・・・・・』


唸り声をあげていて、まともに話をする事も出来ないらしい・・・・・。


「ああ、彼らは、耐えきれなかったようだね」


パラーボは、予想できていたのか。

驚く様子など微塵もない。

それどころか、笑顔を見せていた。


「パラーボ様、これは?」


パラーボの恩恵を受けても、変化の無かったオルバ。

1人だけ驚きを隠せずパラーボに問いかけたのだが、パラーボは落ち着き払った声で答える。


「見ての通りだよ、僕の力を少し分けてあげたのだけど、

 彼らは、それに耐えることが出来なかっただけだよ」


「では、私は?」


「君は耐えることが出来たから問題ないよ。

 彼らも、あんな状態だが、戦うことに関しては何も問題はない。

 命令も、ちゃんと受け付けるしね」


パラーボはそう言うと、ダバンに攻撃を仕掛けるように命令を下す。


すると、バーサーカー状態になっている聖騎士たちは、ダバンに襲い掛かる。

先程とは違い、威力も速度も上がっている聖騎士たちの攻撃。


ダバンは、その攻撃を躱し、聖騎士に蹴りを入れる。

吹き飛ばされる聖騎士。


先程と同じ様に壁に衝突して止まる。


『ガラガラ』と音を立てて崩れる壁と一緒に地面に倒れたのだが、

そのあと、聖騎士は、何事も無かったかのように立ち上がった。


「嘘だろ!」


足があり得ない方向に曲がっているのだが、そんなことを気にする様子もなく、

ダバンに向かって歩き出す。


流石に足が折れている為、速さは出ていないが、

それでも不気味としか言いようがない。


吹き飛ばした聖騎士の事に気を取られたダバン。

一瞬だが、動きを止めてしまった。


すると、その隙を逃さず、3人の聖騎士が同時に襲い掛かった。

ダバンは蹴りを放ち、聖騎士の腕を吹き飛ばす。


しかし、バーサーカー状態になった聖騎士には、関係が無かった。

腕ごと武器を吹き飛ばされたにも拘らず、襲い掛かる。


「チッ!」


ダバンは舌打ちをした後、その聖騎士の頭部に蹴りを入れた。


頭がなくなり、動きは止まったのだが、

腕と頭を失った聖騎士は、倒れながらも自身の血を撒き散らす。


スプリンクラーから放たれる水のように撒き散らされた血は、

仲間のみならず、ダバンにも血を浴びせた。


運が悪かった・・・・・


そう思うより仕方がない。

撒き散らされた血が、ダバンの視界を奪ったのだ。


「クッ!」


手で拭い、視界を取り戻そうとするダバンだが、その間にも聖騎士たちは襲い掛かる。

暗闇の中、匂いと音で相手の攻撃を躱すダバンだが、

それには限界があった。


深手は負っていないが、体中に無数の傷が刻まれた。


「これじゃ、アンデットと同じじゃないか!」


ダバンは、吐き捨てるように文句を言うと、薄っすらと見える視界を頼りに

体制を低く保ち、聖騎士たちの足を薙ぎ払う。


正面側から迫る2人の聖騎士は地面に倒したが、

後方から狙っていた聖騎士がダバンを襲う。


咄嗟に振り返り、聖騎士の顎を目掛けて垂直に蹴りを放とうとしたが、

血だまりに足を取られ、体制が崩れた。


聖騎士の攻撃は、何とか躱したが、

ダバンの攻撃も掠る程度で、ダメージを与えることは出来なかった。


「チッ!」


小さく舌打ちをするダバン。

そこに足を払われていた聖騎士が迫る。


彼らは武器を持っていない。


ダバンに薙ぎ倒された時に、手放したのだ。

その為、ダバンに噛みつこうと飛びかかる。


未だ、視界がはっきりしていないダバン。

流石に不味い状態。


━━━腕1本で、済めばいいけど・・・・・


ある程度の犠牲を覚悟するダバンだったが、飛びかかった聖騎士たちは

何かの衝撃を喰らい、吹き飛ばされていた。


「ふぅ~、助かったぜ」


安堵の息をつき、立ち上がる。

そして、視界を塞いでいた血を拭うと、

メルクとシェイクが、吹き飛ばした聖騎士に襲い掛かっている光景が見えた。


「助かったぜ!」


ダバンの声に反応し、2頭は『ガゥ』とだけ返事をし、再び聖騎士に襲い掛かる。


バーサーカー状態になっているとはいえ、

聖騎士が素手で勝てるほどメルクもシェイクも甘くない。


聖騎士は、立ち上がる事も出来ず、ただ、蹂躙される。


その隙に、ダバンが残っていた聖騎士を倒した。


「後は、あんたたちだけだぜ」


挑発するダバン。


「では、お相手しましょうか?」


パラーボが前に進み出るが、オルバが止めた。


「お待ちください。

 私がパラーボ様から与えられたこの力で、奴を倒して見せましょう」


自信満々に言い放ち、オルバがダバンの前に立つ。


「いいでしょう。

 ここは、貴方に任せましょう」


涼しい顔で言い放つパラーボ。

そこに、エンデが割って入る。


「なら、2人は僕が相手になるよ」


「今、何と言いました?」


「だから、『2人の相手は、僕がする』って言ったんだよ」


「・・・・・本気ですか?」


パラーボは、険しい表情を見せる。


「貴様ごときに、私たちの相手が務まるとは思えませんがね」


「そうだ!

 貴様ごときが、パラーボ様の相手など十年早いわ!」


踵を返し、エンデに向かうオルバ。

剣を振りかざし、突進する。


しかし、エンデに辿り着くことなく地面に倒れた。


「なにっ!」


驚くルカクとパラーボ。

地面に倒れたオルバの体が、二つに割れる。


「風の魔法・・・ですか・・・・・」


魔法を使うパラーボは、オルバの死体から、エンデが使った魔法を言い当てた。


「正解。

 でも、それを見抜くことが出来ずに、真っすぐ突進するなんて・・・・・

 この人、本当に聖騎士?

 それとも盗賊?」


笑顔を見せるエンデに、怒りを覚える。


「ガキが、調子乗ってんじゃねぇぞ!」


怒号を響かせたルカクが先陣を切る。



評価、有難う御座います。


不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

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