ゴンドリア帝国再び 侵入
村で、このような事態が起こる少し前、ダバンは、周囲の探索に出ていた。
キングホースの姿に変化し、疾風のごとく周囲を駆け回り、探索の範囲を広げたが
やはり、教会騎士が潜んでいるような場所も無く、気配すらない。
━━━やはり怪しいのは、あの村か・・・・・・
ダバンは、あの村に入った時から、嫌な感じを覚えていた。
働く者の中に男がいない。
それに、物陰から見張るような視線・・・・・。
目を向けると、慌てて姿を隠す。
見張りの者の目は、どう見ても村人とは思えなかった。
「マリウル殿、少し周囲を見てくる」
「わかった。
何か見つけたら知らせてくれ」
ダバンは頷いた後、探索に出かけた。
そして、探索から戻ってきたダバンは、連行される兵士の姿を見た。
━━━やはりこの村が、教会騎士たちのアジトか・・・・・
未だ、キングホースの姿のままなので、隠れる必要なない。
堂々と山の麓から、連行される様を見続けた。
兵士が連行されたのは、村のはずれにある村長の屋敷。
━━━さすがにこの姿では無理があるな・・・・・
ダバンは人型に戻ると、闇に紛れる。
そして、屋敷に隣接している木から飛び移り、屋根裏に忍び込んだ。
田舎の村長の屋敷。
広さはあっても二階など無い。
その為、兵士の姿も容易に見つける事が出来た。
両手を拘束され、宙に浮いたまま吊るされている兵士。
そこに、教会騎士の鎧を纏った3人の男と、
椅子に座り、その様子を眺めているプルゴの姿があった。
「そろそろ、始めましょうか?」
プルゴの言葉に従い、教会騎士たちの持った棍棒が、吊るされた兵士に容赦なく打ち付けられる。
鈍い音が、部屋中に響き渡る。
その中で、時折『グハッ』、『ウグッ』と言葉にならない声を漏らす兵士。
「そろそろ、よいでしょう」
椅子から立ち上がるプルゴ。
「では、最初の質問です。
貴方たちが、ここに来た理由を話してください」
「フ・・・・
誰が話すものか、さっさと殺せ」
マリウルたちに同行して来た兵士たち。
それは、自ら、志願するほどの忠誠心を持つ者たち。
簡単に口を割らない。
「そうですか・・・・・」
プルゴが合図を送ると、再び棍棒で、殴り掛かる。
皮膚の色が変色し、口から血を吐く兵士。
「話す気になりましたか?
これ以上打たれると、死にますよ」
プルゴの言葉に、兵士は『ニヤリ』と笑う。
「願ってもない事だ。
よろしく頼む」
兵士の言葉に、怒りを露にするプルゴ。
「貴様・・・・・」
教会騎士の持っている棍棒を奪い取ったプルゴは、
自ら、兵士を棍棒で殴打する。
「この私を侮辱することなど、絶対に許さん。
死ね!死ね!死ねぇぇぇ!」
容赦なく打ち続けられる棍棒。
既に、兵士からは呻き声すら聞こえて来なくなっていた。
「プルゴ様。
もう、死んでおります」
『ハァハァ』と息を切らしたプルゴの手が止まった。
吊るされていた兵士が、床に降ろされる。
「やはり、死んでおります」
「では、次の者を連れてこい」
「はっ!」
教会騎士たちは、拷問部屋を出て、マリウルたちのもとに向かった。
一人残ったプルゴは、『ハァハァ』と息を切らせながら椅子に腰を下ろし
俯いて、乱れた息を整えている。
そこに、誰もいない筈の部屋の中から聞こえてきた声。
「あーあ、これは酷ぇな」
その声に驚き、プルゴが顔を上げようとした瞬間、
打ち付けられるような衝撃を喰らい、椅子から転げ落ちた。
床を転がった後、なんとかプルゴが顔を上げようとする。
「誰っ・・・・・」
声を出しかけた瞬間、再び衝撃が襲う。
今度は吹き飛ばされ、壁に激突した。
壁から、剝がれるように床に倒れ込むプルゴ。
うつ伏せになっているプルゴの背中に足を乗せ、動きを封じたダバン。
「聞きたいことは、1つ。
ここ以外に、教会騎士のアジトはあるのか?」
「・・・・・貴様は、ゴンドリアの手の者か?・・・・・」
「そんなのどうでもいいだろ」
ダバンは、背中に乗せた足に力を込める。
『バキバキ』と鈍い音が響き、背骨が折れた。
『うがぁぁぁぁぁ!』
背骨が折れ、動く事が出来なくなったプルゴの背中から、足を下ろしたダバン。
「もう一度聞く、ここ以外に、教会騎士のアジトはあるのか?」
「ウグ・・・・ゲホッ・・・・・」
既に話す事もままならない。
「ちょっと、やりすぎたか」
頭を掻くダバン。
その時、部屋の扉が開き、アンドリウス王国の兵士を連れた、教会騎士が入ってきた。
「ナイス、タイミングだな」
ダバンは、入ってきた教会騎士に襲い掛かり、次々と倒した。
囚われていた兵士のロープを解く。
「ありがとう。
貴方は、エンデ殿の?」
「ああ、そうだ。
お前は、アンドリウスの兵士だな。
皆のところに行くぞ」
ダバンは、教会騎士の剣を奪い取ると、兵士に投げ渡す。
「わかりました。
お供致します」
ダバンと兵士は拷問部屋を出ると、屋敷の出口に向かって駆け出した。
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