2 ゲーム中
【藤代くん視点】
ただいまゲーム中。
「ピコン、ピコン」
「男の子って本当にそう言うの好きだよね」
「白井さんもやる?」
「や、やらないわよ! 興味もないし」
「本当はやりたいんでしょ?」
「な、何で分かるのよ!」
だって手がソワソワしてるし、また恥ずかしがってて顔赤いし。
「あはは、白井さん弱いね」
「も、もう一回!」
「すっかりハマってるね」
「ハマってるわけないでしょ! ちょっとだけ楽しいから続けてるだけで」
それをハマってると言う。
二回戦、白井さんの負け。
三回戦、白井さんの負け。
四回戦、白井さんの負け。
五回戦、白井さんの負け。
「五回連続負けてるし」
「て、手加減してるだけよ!」
「ふーん」
キーンコーン
「あっ」
「あっ」
「……まだやりたかったな」
「何て?」
「な、何でもないわよ!」
【白井さん視点】
あっ、藤代くんがゲームしてる! 実は私もゲーム好きなのよねー!
よし! 一緒にやって一気に藤代くんとの距離を詰めるぞー!
「ピコン、ピコン」
「男の子って本当にそう言うの好きだよね」
「白井さんもやる?」
お、おっ! 誘われたわ!
これはやってもいいわよね!
でも、藤代くんのゲームを邪魔しちゃまずいし、何より美少女の私がゲーム好きなんて知られたら恥ずかしいわ。
「や、やらないわよ! 興味もないし」
あー! 本当はやりたいのにー!!
藤代くんと一緒にゲーム仲間になりたいのにー!
「本当はやりたいんでしょ?」
なっ、何で分かったの!?
まさか、藤代くんと私だけのテレパシー!?
「な、何で分かるのよ!」
よーし! 誘われたなら藤代くんとのゲームをとことん楽しむわ!
申し訳ないけど手加減は一切なしよ!
「あはは、白井さん弱いね」
!??
「も、もう一回!」
「すっかりハマってるね」
「ハマってるわけないでしょ! ちょっとだけ楽しいから続けてるだけで」
ハマってなんか……えぇ、そうよ! ハマってるわ! だって楽しいんだもーん!
それにしても藤代くんって……。
二回戦、藤代くんの勝ち。
三回戦、藤代くんの勝ち。
四回戦、藤代くんの勝ち。
五回戦、藤代くんの勝ち。
強くない? ねぇ、強くない!?
こっちはか弱い女の子よ?
ちょっとくらい手加減してくれたっていいじゃない!
「五回連続負けてるし」
「て、手加減してるだけよ!」
「ふーん」
キーンコーン
「あっ」
「あっ」
「……まだやりたかったな」
「何て?」
「な、何でもないわよ!」