12 ゲーセン
【藤代くん視点】
デートに行く場所、ゲーセンなんかでよかったかな……。
やっぱり定番の遊園地とかの方が良かったかも知れないな。
でも、白井さん異常に喜んでたしゲーセンでよかったのかな?
「何のゲームする?」
「ドラムの達人がしたいわ」
え……。
よりによって一番苦手なゲームだ。
音感ないんだよなー。
それでも、ここで引き下がったらかっこ悪いしやるしかないか。
「いいよ、やろう」
「ドドン、ドンドン」
最初は曲を選ぶのか。
「藤代くんは何がいい?」
「何でも」
白井さんはどんな曲、聞くんだろ。
「ポンポン、ポーン、ポンポン!」
え!?
「な、何? この曲」
「ポンの歌よ」
ポンの歌? 聞いたことないな。
まぁ、いいや。やってみよう。
難易度はとりあえず普通にしよう。
白井さんは……鬼!?
まさかの鬼! 一番、難しいやつじゃん!
白井さんまさかこのゲームの猛者?
あ、始まった。
「ポーン、ポンポン、ポーン」
普通だとゆっくりできるな。
白井さんはどんな感じだろ。
見てみよ。
は、はやい……。
とりあえず終わった。
スコアは……。
圧倒的、白井さんの勝ち。
この前、教室でやったゲームでは圧勝したのに。
でも、楽しかったからいいや。
【白井さん視点】
まさか藤代くんとデートしてるなんて夢みたいだわ!
しかも、私の好きなゲーセン。
さすが藤代くんだわ。私の気持ちが分かるなんて。
ここは私の得意な音ゲーをしなくっちゃ!
「何のゲームする?」
「ドラムの達人がしたいわ」
ふふふ。私の実力を見たら、きっと藤代くんもビックリするわ!
「いいよ、やろう」
「ドドン、ドンドン」
曲は正直何でもいいけど、藤代くんはやりたい曲とかないのかしら。
「藤代くんは何がいい?」
「何でも」
だったら、私が決めるわ。
あれ? 藤代くんが隣にいると緊張して……。
あ!
「ポンポン、ポーン、ポンポン!」
間違えたわ! 恥ずかしいわ。何なのこの曲!?
早く戻さなきゃ。
て、始まっちゃったわ!
どうやって誤魔化そうかしら……。
「な、何? この曲」
「ポンの歌よ」
これで誤魔化せたはずよ。
難易度は藤代くんは普通ね。
私はその上の難しいでいいわ。
得意とは言ったけど鬼は難しすぎるわ。
「ポーン、ポンポン、ポーン」
あれ? なんか、はやすぎないかしら?
これ鬼だわ! どうしようかしら。
もう、やけくそよ!
ふー、ふー。やっと終わったわ。
案外、やけくそでもいけるものね。
私でも鬼が叩けるんだわ!
やれば出来るのよ!
まさか! これも藤代くんのおかげ!?
隣にいたから、実力以上の力で出たのね!
最高に楽しかったわ!




