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色のない僕と鮮やかな君  作者: 廿楽 月
4月 出会い、すべての始まり
4/31

3.君の友達

――4月7日(1)


 高校3年生に進級して初めての登校日、東雲 湊(しののめ みなと)は今までどおり誰とも目を合わせず、もちろん話すこともなく過ごした。これが湊の日常なのだ。

 そして帰宅する時間になり、湊は真っ先に学校を出ていく。一刻も早く帰りたいという気持ちで足早に家に向かって歩く。湊の家と高校は普通に歩いて15分の距離にある。

 このときの湊は数日前にあった出来事など忘れ、いつもどおりの日常を送っていた。

 しかし、湊が自宅の前に差しかかるとその人はいた。日日日 花梨(たそがれ かりん)だ。

「えっ、嘘でしょ。何であの人が僕の家の前に……」

 そんな湊の動揺は余所に、花梨は笑顔で近づいてくる。

「あ、湊!!こんなところで会うなんて偶然ね」

「偶然って……。ここ、僕の家の前なんですけど。まさか待ち伏せではないですよね?」

 しかし、花梨はその笑顔を崩さず続ける。

「えー、そんなわけないじゃない。ただ、この辺りに住んでいる人で東雲さんの家はここだけだったから、もしかしたら湊に会えるかなあと思ってインターホンを押そうか迷ってたところなの」

「それって僕の家を探していたってことですよね……?」

「……バレた?」

 それでも花梨は笑顔のままで、まったく悪びれる様子もない。

 それは、湊には恐怖でしかなかった。大して知らない人に自分の家を探され、さらにはその相手はニコニコと笑顔で自分に話しかけているのだ。

(ここから逃げないと)

 湊は本能的にそう思った。いくら相手が女の子といえど、何をされるかわかったものではない。

「えっと……僕、今日は友達と約束があるので……ここで失礼します。さようなら」

 そう告げ、湊はその場を離れようとしたが、それは叶わなかった。

「湊、あなたには友達は私しかいないでしょ。私、それくらい知っているのよ」

 湊は何も言い返せずその場から動くことができない。

「それに、友達をそんな無下に扱っていいのかしら?」

「ぼ、僕は、友達がいないから付き合い方とかまったくわからないし……」

 やっと言葉を返すことができた湊だが、どんどん声が小さくなり、言葉尻がはっきりとしない。

「友達ならいるじゃない!!この私が!!」

 自信満々に言う花梨に対し、またもや何も言い返すことができなくなった湊なのであった。


――あとがき――

 廿楽 月でございます。

 3話では主人公の湊くんとヒロインの花梨ちゃんが再び出会いました。

 出会ったというより無理矢理会いに来たんですが……。

 花梨ちゃんはぐいぐい来るタイプですね。見ての通り。

 そして今回の冒頭に(1)とありましたのでお分かりかと思いますが、まだ続きがあります。

 ということで、次回は4月7日(2)でございます。ではでは、また次話でお会いしましょう!!

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