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第8章 真の黒幕


美奈子はついに敵のアジトにたどり着いた。


「ここに秀二が……」


「こっちだ」


武装した男はボスの部屋へ案内した。


「この扉の向こうに、ボスがいる。中に入れ」


美奈子は大きく息を吸い、扉を開けて中に入っていた。

部屋の中はものすごく広いが、何もなく暗い部屋だ。

そして部屋の中にいたのは、一人の女性だった。


「あなたは?」


「私は博士の身の回りの世話をしている者だ」


「秀二は!秀二はどこ?」


女は明かりを付けた。

すると奥のほうで椅子に座る男性がいた。


「よく来たなあ、美奈子、いやアルテミスよ」


「あ、あなたは!早見博士!」


なんと、椅子に座る男性は、早見博士であった。


「どういうこと……博士は確か死んだはず……」


「あれはワシが作ったワシのクローンじゃ」


「クローン?しゅ、秀二は?」


「ヤツはもうこの世にはいない」


「ど、どういうこと!?」


「すべてはワシが考えたお芝居じゃ」


「お芝居?」


「ワシは、正義というのが嫌いでな〜、本当に悪より正義のほうが強いのか実験をしたくて、お前をアルテミスにしたんじゃ」


「……」


「お前の父は、お前の母をお前の目の前で殺した。お前の父が格闘家なのは知っているじゃろう」


「ええ」


「あやつは、正義感の強い格闘家だった。だが、ある試合で、相手を瀕死の状態にしてしまい、その後のヤツは、それまで負けた事がなかったのに、また、相手を半殺しにしてしまう……そう思ったのか、本気で戦うことが出来ず、敗北が続いた。ワシはヤツの試合に興味はないが、ヤツの心が悪に染まれば、強くなるのではないかと思い、ヤツの飲んでいた水の中に、ワシが作った人の心を悪にする薬を入れた」


「な、何ですって!」


「だが、効果が現れたのは次の日じゃった。ワシは小型の偵察機でヤツを観察していた。そして、お前の目の前で自分の妻を殺した」


「そ、そんな……」


「だが、その薬は未完成だった。すぐに効果は切れ、我に戻ったヤツは、台所に行き、包丁で首を切って自殺した。」


「父が母を殺したのは、すべてあなたが仕組んだ事だったのね」


「ああ、そうじゃ」


「私を引き取った理由は?」


「お前を引き取ったのは、ワシの玩具にするためだ。お前は必ず美人に育つ、そう思い、お前を引き取った」


「クッ……」


美奈子は拳を強く握り締めた。


「だが、成長したお前は、恋をした。そう、ワシの助手の秀二だ。ヤツはワシからお前を奪った、だが、お前に研究の邪魔をしてはいかんと言ったら、お前は素直に身を引いた」


「それで秀二は?」


「ヤツはワシに内緒で、くだらないものを作った……そう、アルテミスに変身するブレスだ。ヤツは、これを正義感の強い者に付ければ、最強の正義の戦士が誕生します。そうすれば、平和な時代が来るかもしれません……そうワシに言ってきた。正義……ワシのもっとも嫌いな言葉だ」



美奈子は父親や秀二が正義感の強い人だと知り、心の中で喜び、そして悲しんだ。


「秀二は、ワシからお前を奪い、さらに、くだらないものを作ったので、その場で殺した」


その言葉を聞いて、強く握り締めた拳から彼女の血が流れた。

それはまるで、彼女の涙のようであった。


「ワシは、ブレスを壊そうと思ったが、正義と悪、どちらが強いか実験したくなり、お前にブレスを渡した。さらに、お前にふさわしい化け物も用意してやった。そう、街の馬鹿共に、カプセルを売ってやった。そうそう、紹介が遅れたが、そこの女や周りの武装した男たちは、ワシが作った殺人マシンだ。カプセルは、女ロボに売らせた。そして、お前と戦わせたが、今のところはお前の勝ちだ。あ〜、それから、化け物になってもお前に命乞いをし、助かったものや、カプセルの事を知っている奴らは皆、こいつらに殺させた」


「ひ、ひどい……」


「これが悪の力だ」


「許せない……私はあなたを絶対に許さない!」


美奈子はアルテミスに変身しようとしたが、その時、外にいた殺人ロボが一体、中に入ってきた。


「あの女の仲間が今付きました」


「そうか……美奈子、お前の仲間たちがここに来た」


「み、皆……」


「さて、お前たちは、美奈子の仲間を殺しに行け!」


「ハッ!」


女ロボを残し、研究所にいる殺人ロボたちが、龍一たちを殺しに行った。


龍一たちの運命はどうなるのか?

果たして美奈子は早見を倒せるのか?









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