第6章 告白
この物語って、もう「武勇伝」の続編ですね〜
「見つけたわよ〜龍一」
「誰なの?」
「まあ、幼馴染ってヤツ……」
「あっ、私、龍一の彼女で神威未来といいます。よろしくね!」
神威未来……天神流十八代目、神威龍一の弟、神威龍之介のひ孫である。
彼女は龍一たちと違い、両親はいる。
「あの子、彼女って言っているわよ」
「た、ただの幼馴染ですよ」
龍一は少しい動揺していた。
「龍一くん、今日はもういいから、彼女とデートしてきたら?」
美奈子はからかっているように見えるが、龍一に彼女であれ、幼馴染であれ、彼にも他に仲間がいた事が嬉しかったのだ。
「しょうがない……ちょっと付き合ってやるよ」
「え?ホント!じゃあ、まず、映画館に行こうよ」
「はいはい、あっ、正、頑張れよ!」
そう言って店を出た。
「何を頑張るの?」
「さっ、さあ……(練習を頑張れってことかな?)」
ホントは、龍一の言った「頑張れよ」は、告白しろという意味で言ったのだ。
その頃龍一たちは、映画館に向かって歩いていた。
「なあ、一つ聞くが、俺がこの辺にいるって、何故分かったんだ?」
「簡単よ。最近この辺で、チンピラたちが次々と殺されているんだもん。そんな事をするのは、アンタしかいないって思ったから」
「師匠を殺した殺人鬼だからか?」
「あっ、そ、それは違うわ。あれは試合の事故……殺人鬼だなんて思っていないよ」
「まあ、人殺しは人殺しだ。だが、チンピラたちを殺してはいない。俺が求めてるのは真の兵だ!」
「そ、そうよねえ、でも良かった元気そうで……大空先生が亡くなってから、急にどこかに行ってしまうんだもの」
「あれからいろいろ根無し草で旅をし、そして、新たな大切な仲間を見つけた」
「あの人たちでしょ?いい人そうよね。一人は美人だし」
「ははっ、もう一人の男の子、正っていうヤツなんだけど、あの美人のねーちゃんに惚れているんだよ」
「そうなんだ!でも龍一には私がいるじゃない」
そう言って、未来は龍一の手を握った。
「なあ、未来、映画館より久しぶりにホテルに行こうぜ!」
「え〜、ホントエッチなんだから……でも嬉しい」
その美奈子達は……
「龍一くん、絶対あの子のことが好きだと私は思うわ」
「僕もそう思います」
その時だった。
武装した4人組が店に入ってきたのだ。
「お客じゃないみたいね!強盗ならあんたたち運が悪いわよ」
「運が悪いのはお前のほうかもなあ、如月美奈子……いやアルテミス!」
「(美奈子さんがアルテミス?)」
「何のことかしら」
「とぼけても無駄だ。俺たちはお前を連れてくるように命令されてきた」
「命令されて……秀二ね!秀二の命令なのね!」
「さあなあ……とにかくついて来てもらう」
美奈子が歩き始めると、正が
「み、美奈子さん!」
と大声で叫んだ。
美奈子は振り向き、正のほうを見て、
「ごめんなさい……黙っていたのはあなたを危険な目に合わせたくなかったから……」
そう言うと、彼女の瞳から泪が流れた。
「ほ、本当に、美奈子さんがアルテミスなの?」
「そうよ」
「もういいか?行くぞ」
このまま行かせたら、美奈子さんが危ないと思い、彼は勇気を出して、ドアの前に立った。
「小僧!邪魔をするなら殺す!」
「美奈子さんを危険な場所へは行かせない!」
「正君!」
「美奈子さんがアルテミスだろうと、誰であろうと、僕は美奈子さんが好きなんだ!」
「た、正君……」
「惚れた女のためなら、命なんていらない!」
「そうか……なら死ね!」
「やめて!正君、ありがとう、すごく嬉しい……でも、大丈夫よ。相手は知り合いだし、それに私はアルテミスなんだから」
「で、でも……」
「大丈夫よ。すぐ帰るから、龍一くんには言わないでね」
そう言って、美奈子は優しく正しの唇にキスをした。
正にとってファーストキスである。
正は美奈子を信じ、ドアから離れた。
正は、美奈子の姿が見えなくなるまで、ドアから眺めた。