最終章 正義と悪
「ワシが作った殺人ロボは、そこの女を合わせて、十一体いる。果たして、お仲間たちはやつらを倒せるかのう」
「お、お願い!あの子たちには手を出さないで」
その言葉を聞いた時、早見はいやらしく笑った。
「ハハ、悪のワシにお願いをするとは……それが正義の強さなのか?それにモノを頼むなら、頭を下げたらどうだ」
美奈子は早見に土下座をした。
「お願いします。私はどうなってもかまいません……ですから、あの子達に手を出さないでください」
「どうやら、正義よりも悪のほうが強かったようじゃな」
早見は椅子から立ち上がり、美奈子の近くによった。
そして美奈子の顔をつかみ、いやらしい声で、
「何でもするか?なら、まず、ワシにキスをしろ」
と言った。
美奈子は早見の顔を見て、目を閉じた。
早見は美奈子に激しいキスをした。
「フッ、なかなかうまいじゃないか。どうせ秀二と、毎日キスを、いやセックスをしていたんだろう」
「……」
早見は女ロボに、
「コイツの仲間を連れて来い」
と命令した。
「かしこまりました」
そう言って、女ロボは龍一たちを連れにいった。
その頃龍一たちは、負傷しながらも、殺人ロボたちと戦っていた。
「正、未来、大丈夫か?」
「うん大丈夫」
「私も平気」
「そうか……ん?誰か来る!」
誰かとはもちろん女ロボである。
「博士がお前たちをつれて来いと」
「よく分からんが、上等だ!」
それからしばらくして……
龍一たちは美奈子と早見のいる部屋にやって来た。
「よく来たな〜」
「お、お前が、ねーさんの元彼か?ジジイが趣味だったとは……」
龍一のボケに正が、
「ち、違うと思うよ」
とツッコンだ。
「ククッ、コイツの元彼は死んだよ。」
早見は、美奈子に話した事を、龍一たちにも話した。
「ククッ、どうだ。悪の力とはすごいだろう」
「へっ、正義も悪も俺には関係ない。ねーさんを放せ!」
「そいつは出来んな〜、コイツはお前たちの命を助けるために、土下座までして、何でもすると言ったのじゃからな〜」
「ジジイ、俺が本気で怒る前に放せ!」
「(こ、このガキ、何て目をしておるんじゃ……そういえば、美奈子と共に戦っていたのはアイツだったなあ)」
「どうした?早く放せ!」
「龍一くん、皆、私はどうなってもいいから、逃げて」
「……正、どうする?」
「ここから出る時は、美奈子さんも一緒だ!」
「だそうだ」
「そうか……ならいいものを見せてやろう」
「いいもの?」
「美奈子、服を脱げ!」
「な、何!確かにいいものだ」
「龍一くん!」
「お前の仲間も見たがっておる。早くしろ!」
美奈子は早見に従い服を脱ごうとした。
だがその時、
「ぼ、僕の大切な人にそんな命令をするな!」
と正が怒鳴った。
「正君……」
「ば、馬鹿!せっかく、ねーさんの裸が見れたのに……」
「龍一!」
未来が龍一に鋭い視線を送った。
「どうした!早く脱がんか」
「そうだそうだ!頑張れジジイ!」
バキッ!
未来の鉄拳が龍一に炸裂した。
「じょ、冗談だよ(ホントは見たいけど……)」
「ワシに従わなければ、あいつらを殺すぞ!」
「私、自分の仲間を信じてなかったみたい……」
「何!?」
「あの子達が、あなたの作ったロボットに負けるわけがないわ!」
「クッ、いいだろう!目の前で仲間を殺してろう……こいつらを殺せ!」
「ハッ!」
「(皆、信じているわ)」
「俺一人で十分だ!」
龍一の表情が変わった。
さっきまで冗談を言っていた男とは思えない表情……
今の龍一はまさに修羅……
「龍一くん……僕も戦うよ」
「お前の相手はこいつらじゃない!ねーさんと一緒にあのジジイを倒せ!」
「う、うん、分かった」
「来い!今度は天神流二十二代目として、相手をしてやる」
修羅となった龍一は敵なしだ。
殺人ロボは、マシンガンで撃ち殺そうとするが、龍一は素早く避け、弾は他のロボどもに当たった。
「ば、馬鹿な……なんてガキだ」
「美奈子さん、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。正君や未来さんのほうこそ怪我をしているじゃない」
「ぼ、僕も大丈夫です」
「私も大丈夫」
「早見博士、どうやら、悪よりも正義のほうが強かったみたいね」
「ワシはまだ負けていない!これが何か分かるだろう」
「そ、それは!」
「街の馬鹿共に売ったカプセルじゃ!一粒であれだけ強くなれるのだから、三粒飲めばワシは無敵じゃ!」
早見はカプセルを三粒飲み、とんでもない化け物に変身した。
「バトルチェンジ!」
美奈子もアルテミスに変身した。
だが化け物となった早見は強い。
美奈子は避けるのが精一杯だった。
「(美奈子さん……僕は美奈子さんが勝つって信じるよ)」
正も正なりに戦っていた。
「私はあなたに負けない!バトルソード!」
「死ね!美奈子!」
「美奈子さん、勝ってください!」
正は大声で美奈子を応援した。
そして、正義の剣は悪の心と体を一刀両断……
ついに美奈子が勝ったのだ。
「ハアハア……終わった……あっ、龍一くん!」
美奈子が龍一のほうを見ると、すでに殺人ロボを倒し、彼の表情もいつもの龍一に戻り、美奈子に向かって投げキスをした。
そんな彼に美奈子は優しく微笑んだ。
戦いは終わったのだ。
「さて、帰りますか」
「龍一、まだ、デートが終わっていないよ」
「おいおい、もう疲れたよ」
「私が元気にしてあげる」
「美奈子さん、帰りましょう」
「ええ、あっ、正君」
「はい」
正が返事をすると、美奈子は正にキスをした。
「み、美奈子さん……」
「さっき、博士にキスされて……やはりキスは好きな人としたいもん」
「えっ!」
正の顔が赤くなった。
「私も正君のこと好きだよ」
美奈子が優しく微笑んだ。
それから数ヵ月後……
龍一は未来を連れて、強いヤツを求め、旅に出ることにした。
「また、来てよね」
「ああ、今度会う時は、お互いにガキがいたりして」
その言葉を聞いて、正は赤くなった。
「正、この数ヶ月、基礎しか教えれなかったが、お前なら強くなれる。ねーさんを守る必要はないかもしれないが、共に戦えるくらい強くなれ」
「うん!いろいろとありがとう」
「じゃあ、行くぜ!」
そう言って二人は旅に出た。
強いヤツを求め、戦うために……
美奈子の戦いも終わらない。
この世に悪がいる限り……
正義のために戦う愛の戦士、その名はアルテミス!
ご愛読ありがとうございました^^
去年から、変身モノを書こうと、いろいろ考えていましたが、年末に体調を悪くし、なかなか書けませんでした。
最初は戦隊モノのように5人の戦士と一人の修羅(天神流の継承者)が未来で活躍する予定でした(舞台を未来にしたのは、タイムレンジャーが一番好きだから)
そして体調が悪くなり、その間に、武内先生の「セーラームーン」のパロディーでナースムーンというのを考えていました。
そんなある日、あるサイトで、永井先生の「キューティーハニー」の続編、「新キューティーハニー」を見て、正義の戦士は一人にしようと思い、出来たのが、この「愛の戦士アルテミス」なのです。
天神流の継承者が出てきた時点で、「武勇伝」の続編となりましたが…
ではまた新しい作品を書いた時は、よろしくお願いします!
平成21年5月 生時