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その者ゆえに勇者なり  作者: ヴァル原
3/12

一年後

 

「アド爺!熊持ってきた!」


  レオンが魔法を使った日から早一年が経った。最近ではレオンは森の中へと入っていき、夕飯のために獲物を仕留めてきていた。剣の腕も上がっており、今ではアド爺に攻撃が掠ることがある。


  また、魔法も同じであった。以前よりも魔力に敏感になったのか手を取るように魔力の流れがわかる。その為、以前のようにただ地面を隆起させるだではなく、形状を変化させることも可能となっていた。ただ、レオン本人はそこからあまり進歩がなく、思い悩んでいるようだ。


  とは言え、人間の大人よりも大きな熊を狩って来られる程には彼の実力は上がっているのだ。


  「ほほう、今夜は熊鍋じゃな。野菜は残っておったかのう。」


  「そう言うと思って山菜も取ってきた!」


  「レオン、お主やるではないか。」


  「へへ。」


  アド爺に褒められ、嬉しそうにする様は成長したとは言えまだ子供であると言うことを思い出させてくれる。

 

  「そう言えばさ、アド爺。」


  「なんじゃ?」


  「その……次はいつ村に行くんだ?」


  「村か?そうじゃな。野菜も少なくなってきたしのう、明日にでも行くとするかのう。」


  「明日か!」


  「?何故、そこまで嬉しそうにするのじゃ?」


  「べ、別にアド爺には関係ないだろ?」


  目をそらし、頰をポリポリと指でかく。これはレオンが嘘をつくとき、または隠し事をするときの仕草である。そして、今回は後者。何かを隠そうとしている。


  「何じゃ、友達でも出来たのか?それとも好きな女子でも……。」


  「べ、別に!ユーフィアのことは好きなんかじゃ……あっ!」


  「成る程のう。ユーフィアは確か今の巫女の名じゃな。ほっほっほっ、まさかレオンが巫女に恋をするとはな。」


  巫女。それはカーマ村にいる魔物を操る不思議な力を持つ少女のこと。巫女は村の守り神と称えられ、祀られている。が、そんな巫女も人間、異性との付き合いも、結婚も認められている。夫となったものは巫女を守る戦士となる。そして、一生巫女を守り、愛し続けるのだ。

  アド爺は巫女と戦士のことを思い出し、レオンを見た。レオンはもちろん巫女と戦士のことを知っている。また、最近妙に稽古に力が入っていた。もう少し肩の力を抜けと何度言ったことか。だが、その理由もこれで判明した。


  「成る程のう。まさかもう戦士になろうしているとはな。しかし、あの村にはお前と同じように巫女と結婚しようとしているものはおるぞ?お前の年上で力もあるものもその中にはいよう。」


  「だったらもっと強くなるだけだ!」


  「ほっほっほっ、違いないのう。……して、レオンよ、話は変わるのじゃが……。」


  「わかってるって!待っててくれ!今、極上の熊鍋を用意する!」


  「うむ、頼むぞ!」


  その後、レオンの言う極上の熊鍋を食べ、明日のことを考え、早く就寝した。だが、明日村に行けると心を躍らせていたレオンは結局、寝ることは出来ず、目の下にクマを作り、村へ向かうこととなった。


 


 

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