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僕らの日常に塩胡椒を少々。

作者: 舞切じーう

世界を見つめよ。

少年たちよ。

時が流れるのは早い。

僕らはこのままなんの変哲も無い愚かな日常を歩み続けるのだろうか。このまま僕の人生を終えてしまうのだろうか。

嫌だ。そんなの絶対嫌だ。

最後は、もうやり残したことは無いと笑顔で言いたい。悔いはないと思いたい。最高の人生だったと懐かしみたい。

それなのに、僕は考えてしまうんだ。あの時、あぁだったら。この時、こうだったら。もし時間が遡れたらいいのになぁ、と。

そしていま、僕は僕の全てを、あの人に。

たった一つの尊い命のために捧げようとしていた。


◇◆◇


6月。空には不気味に蠢く雲が漂い、地上には数多の雨粒が降り注ぐ。梅雨だ。

僕は梅雨は嫌いじゃない。かと言って好きでもない。

ただ一つ言えることは、僕は梅雨が憎い。僕が終わったあの日が、思い出されるから。

あの日も今日みたいに雨の日だった。いつもの道。電車。今日もいつもみたいに、このまま学校へ行って、授業を受けて、そして帰ってくる。隣の晴と。いつもの時間が続くと思ってた。そう、思ってたんだ。


ーードンッ!


大きなぶつかる音。僕は音の方向を見る。そしてすぐに気づいた。晴が線路に突き落とされていた。


ーープゥゥゥゥウウウウ!!!


電車のクラクションが駅構内に響き渡る。


ーーバンッ!


鉄の板に何ががぶつかる音がした。電車は晴が落ちたところの数十メートル先で停車し、駅構内には人々のざわめき声がする。

僕は何もできなかった。一歩も動けなかった。ただ、目の前で起こっている事実に涙を流すことしかできなかったのだ。

どうすることもできない悔しさに僕は目に涙を浮かべていた。

まだ2時限目。現国の授業だ。隣の相田は授業中にも関わらず、大きないびきをかいてぐっすり。机には教科書すら出していない。

(まぁ、そのおかげで僕が寝てても目立たないんだけどね。)

そんなことを考えながら窓の外を見る。

相変わらずの雨だ。

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