「始まりの日」
初投稿なので正直かなり緊張してます、、
誤字脱字などは極力無いよう注意していますがあった場合はすみません!
この作品は、完全に作者の趣味により書かれているので、一部理解出来ないストーリー展開やキャラ設定がおかしい場合がありますが暖かく見守って下さい。
拙い文章ではありますが少しずつ更新していこうと思うので読んで頂けると幸いです。
「もう朝か」
暗い部屋で一人ゲーム画面を見つめていた少年がカーテンの隙間から差してきた明かりを見てぼそっとつぶやく。
「やっぱ徹夜すると体が痛いな。10時間ぶっ続けでゲームとかするもんじゃない」
座りっぱなしで硬くなった体をパキパキと鳴らせゆっくりと立ち上がる。
少年の名前は赤坂悟。短めの黒髪に高くも低くもない身長。顔立ちは特別整っているわけでもなく中の上といったところだろう。纏っている空気は何処と無く気怠げで暗い雰囲気を出している。
何か特別な特技や自慢できる事があるわけでもなく、何の変哲もないただの高校1年生だ。
壁にかかった時計が7時32分を指しているのを見て呟く。
「こんな時間か、、そろそろ準備して学校いかねーと」
クローゼットから制服を引っ張りだし鏡の前で見だしなみを軽く整え机に置いてあるクリームパンを一つ口の中に放り込み家を出る。
学校への道には忙しそうに歩くサラリーマン、道傍で寝ている酔っ払い、友達と楽しそうに話す女子生徒、そんな毎朝見慣れた景色をぼんやりと進む。
今日の帰りは本屋でも寄って帰ろうかな、と考えていると突然背後から軽く突き飛ばされ、前につんのめる。
「一緒に行こうってメールしたじゃん!何で先行っちゃうの!」
後ろを振り向くと幼じみの莉音が怒ったような表情で立っている。
突き飛ばされた理由をうっすらとした記憶を辿り考える。
そういえば昨日朝一緒に行くから家で待っててとか言われたっけ、完全に忘れてた。
「しょうがないよ〜悟が私たちの話全然聞いてないのは知ってるでしょ」
「俺からのメールも全然見てないだろ?ちゃんと返事ぐらいくれよ」
莉音の後ろから、佳奈と秋斗が呆れたような感じで声をかける。
「先にいってたのは悪かった。ちょっと忙しくて忘れてたんだよ」
話を適当に聞き流してたって完全にバレてるし、、
「悟の言う忙しいって、どうせまたゲームでもしてたんでしょ。明日はまた忘れてたら怒るからね?分かった?」
莉音が顔を近づけて確認してくる。
「分かった、分かったから。離れてくれ」
俺の幼じみでやたらと話しかけてくるこの女子は葉山莉音。
誰にでも優しく、真面目で運動神経も良い。
その上、整った顔立ちに長い綺麗な黒髪で男女共にかなりの人気がある。
親同士も仲が良いのもあって小さい頃から何かと関わりがあるが、それをよく思わない奴もいるのか莉音と話していると周りからの視線が痛いんだよなぁ。
俺はともかく莉音にまで迷惑かけるわけにはいかない。
莉音の視線を避けるように少し後ろを歩いていた秋斗の横に近付く。
「秋斗がこの時間帯に学校に行くなんて珍しいな。今日部活はどうしたんだ?」
「今日は休み、たまにはのんびりと行くのもいいもんだな」
こっちの質問に返しながら秋斗が大きく伸びをする。
「悟は莉音と上手くいってるか?そろそろ進展があってもおかしくないと思うんだが」
顔を寄せて莉音たちに聞こえないよう小さな声でニヤニヤしながら聞いてくる。
「莉音とは何もないって前から言ってるだろ。ただの幼じみだって」
「それ本気で言ってるのか?あれだけ一緒にいて何もないなんて事ないだろ」
しつこい、というように目で少し睨むとやれやれ、と
でも言いたげに首をすくめる。
俺の横を歩いているこの爽やかイケメンは津々風秋斗。
剣道で全国大会にも毎年出場しているような実力者に加え成績優秀、持ち前の爽やかさで何事もさらっとこなす。
髪はいかにも染めてそうな明るめの茶髪だが正真正銘の地毛で女子ウケが良くとにかくモテる。
中学に入りたての頃は、俺とはまるで関わりのなさそうな明るい奴、程度に思って特に気にする事もなく遠巻きに見ていたが中2でいっしょのクラスになってからは何かと絡む事が多く男子で唯一話せる親友と呼べる存在になった。
「今日の帰り、4人でどっか寄っていかない?」
「私は今日は図書委員の仕事あるから無理かな、終わるの結構遅くなっちゃうと思うし。」
佳奈が少しずれていた丸メガネを直しながら申し訳なさそうに言う。
このメガネをしている小さい女子は深山佳奈。
見た目通りとにかく本が好きで図書委員もしている。
ぱっと見じゃ、同じ高校生だと思わないくらい背が低くて中学生と言われても何の違和感も感じない。
髪は、ショートヘア?っていうのかな。髪型は全く詳しくないが女子にしては短めで肩ぐらいまでしかない。
基本内気であまり積極的に話したりしないが秋斗や莉音となら気楽に話せるようで図書室に遊びに行ったりすると嬉しそうにする。
本ばっかり読んでいるにも関わらず成績は学年でもトップ3に入るくらいの秀才だ。塾も行ってないらしいしいつ勉強してるんだか。
佳奈も秋斗と同じぐらいの時期に図書室でたまに話すようになり今では莉音達とも仲良くなりこの4人で話したりするのが普通になった。
普通になった、とは言ったがこのグループに俺が入っている事は正直よくわからない。
莉音は幼じみで昔からの付き合いっていうので分からなくもないが、秋斗は文武両道、学校の人気者、佳奈は内気な所があるとはいえ学年トップクラスの秀才、それなりの有名人だ。
目立つ特徴も特技も何もない、ただのゲーム好きの俺がこのグループにいるというのは明らかに違和感がある。
この話を秋斗にすると、「悟がグループの中心みたいな感じだから気にする事ないだろ?」、と不思議そうな顔をされるが、グループの中心というような事実は全くない。
4人で話す時も基本みんなの話を聞いて頷いてるだけだし多分周りから見たら、誰あいつ?、みたいな目で見られているのが分かる。
俺が教室に入るとたまに、この人名前何だっけ?みたいな会話が聞こえてくる事があるがそういう話をするなら、もっと声を小さくしてくれ!クラスメイトに、名前覚えてもらってないとか俺存在感薄すぎだろ、、結構傷つく。
「私も佳奈の仕事手伝わないといけないから無理かな。終わるまで待っててくれるならいけるけど、流石に申し訳ないから先に帰ってていいよ」
「俺は多少遅くなっても大丈夫だけど...悟はどうしたい?」
遅いとは言っても6時30分過ぎってとこだろうから、そのぐらいの時間ならまだ全然本屋も空いてるし待ってても問題ないだろう。
「待っててもいいんじゃない?俺は帰りに本屋に少し寄ってくれさえすれば別に大丈夫だよ」
俺が言うと、3人が少し驚いたような表情でこっちを見る。
何かおかしな事でもいったか?
「めんどくさいって言って帰るんだろうなぁ、と思って聞いたのに普通に待っててあげるのか。ちょっと意外」
「ね、まぁ秋斗達が待っててくれるんだったら遊びいけるね!佳奈もそれでいいでしょ?」
「うん、なるべく早く終われるようにするよ。本屋は私も普通に行きたいし」
俺が遊びに誘っただけで驚かれるなんて思わなかったな。
みんなの中の俺のイメージはそこまでめんどくさがりなのか。
「最近はみんな忙しくてあんま遊べてなかっただろ?たまには遊び行きたいんだよ」
「悟が乗り気なんて珍しい!どこ行こっか?」
3人がどこに行くかで盛り上がっているのを横目に空を眺める。高校生になってからは何かと忙しくて中学の時みたいに4人で遊ぶ機会も大分減ってたしたまに遊びに行くぐらいしてもいいだろ。どこに行くかはお任せだな。
そんな事を考えながら歩いているといつのまにか学校についていた。
「じゃあ、放課後!図書室集合ね!」
「了解」
俺は1年2組、莉音と佳奈が3組で秋斗は6組だ。
教室に入ると、何人かが俺を見るが友達じゃないと分かると興味をなくしたようにケータイをいじりだす。
友達じゃなくて悪かったな。
「早く座れ、ホームルーム始めるぞ。」
担任のぽっちゃりした伊藤先生が入ってくると、みんな自分の席に戻っていく。
俺の席は教室の左隅、窓際の席だ。
隣の席の女子は俺が来た事をちらっと見たが何事もなかったかのように前を向く。
嫌われるような事した覚えはないんだけどな、人間関係って難しい。
のんびりと授業を受け、教室で昼食をとり、いつも通り放課後を迎える。
「図書室だっけ」
帰る準備を済ませ3階の図書室を目指す。
ドアを開けると数人の女子生徒と秋斗、莉音、佳奈がすでに来ていた。
図書室の中に入ると莉音が俺が来たことに気づく。
「やっと来た!全然来ないから帰ったかと思ったじゃん!後30分ぐらいしたら図書室閉めるからそれまで秋斗と話しながら待ってて。私と佳奈は図書委員の仕事してくるから!」
「おっけ、あと30分程度ね。」
椅子の横に鞄を置き、秋斗の横に座る。
そのまましばらく無言でぼんやりと本を眺める。
「くるの結構遅かったな。何かあったのか?」
「いや、特に何もなかったよ。ただ帰る準備をのんびりしてたら遅くなった。」
「悟は相変わらずだな、マイペースっていうかなんていうか」
秋斗が楽しそうに笑う。
「時間通りに動くのが苦手なんだよ。秋斗は最近ずっと忙しそうにしてたけどもう大丈夫なのか?」
「あぁ、何とかな。部活の先輩方とも仲良くなれたし学校生活にも慣れてきた。ようやく一段落ついた感じだな。悟のほうこそクラスで友達の一人ぐらいできたか?」
「あいにくだけど出来てね〜よ。まともに話せるのだって秋斗と莉音、佳奈だけなの知ってるだろ」
入学してから3ヶ月経った今では教室内でもグループが出来始め、波に乗り遅れた俺はぼっちルートを独走中だ。
「悟は全然話さないし近づくな、みたいなオーラ出してるから話そうと思っても近づけないんだろ。笑顔でニコニコ笑ってたらそのうち誰か話しかけてくれるぞ」
「人気者に言われると説得力が違うなぁ。俺には無理だよ」
秋斗が困ったように笑う。
「目が死んでるぞ。顔はそこそこカッコいいんだし自信持てよ」
「お前に言われたって皮肉にしか聞こえねー」
秋斗の頭を軽く小突く。
こんな話をしていると仕事が終わったらしい莉音が近づいてきた。
「待たせてごめんね!閉めてから来るから校門のところで待ってて!」
「了解、行こうぜ。悟」
秋斗が鞄を持って立ち上がる。俺も立ち上がって、秋斗の後ろに続く。グラウンドでは運動部が汗を流しながら練習に励んでいる。上の階の音楽室からは吹奏楽部の音が聞こえてくる。
放課後の雰囲気を味わいながら校門の前まで歩いていった所で秋斗が思いついたように話しかけてきた。
「久しぶりにみんなで遊ぶんだ、カラオケでも行こうぜ?歌わないなんてなしだからな」
「俺が歌下手なの知ってて言ってるだろ。恥かくだけだし歌わない。カラオケは好きじゃないんだよ」
「カラオケ行って歌わないとか周りが白けるぞ。下手だろうが何だろうが楽しかったらいいんだよ」
校舎から佳奈と莉音が仲良く喋りながら出てくる。
「莉音、今日は手伝ってくれてありがとね。仕事が溜まってたからどうしようと思ってたんだ」
「全然いいよ!忙しかったら手伝いに行くからいつでも言ってね!で、今からどこ行く?」
「今悟とも話してたんだがカラオケとかどうだ?莉音達が行きたい所があるならそっちでいいけど」
その言い方だと俺もカラオケ行きたいみたいな感じだがそんな事言ってないからな?
「私は大丈夫だよ。悟がカラオケあんま好きじゃないみたいな感じだったから何気にみんなで行ったことなかったし。佳奈もいいよね?」
「うん、私も大丈夫だよ。多少遅くなっても親に連絡してあるし」
みんな乗り気だな。佳奈がもしかしたら断ってくれるかなと思ってたが、割と楽しそうで意外。
みんなが行きたいって言ってる中で一人だけ行かないなんて言えない。少数の意見は尊重すべき、なんて言うが決して採用はされない。悲しきかな。
「帰りでいいから本屋に寄ってくれよ...」
「オッケ、決まりだな!今日は沢山歌うぞ」
学校を出て朝と同じ少し前を歩いている莉音と佳奈の後ろから俺と秋斗が付いていく形で歩く。
この距離では莉音達の話の内容までは聞き取れないが、何かを楽しそうに話しているのは分かる。
ケータイを眺めていた秋斗の方をちらっと見ると俺の視線に気付きニコッと笑いかけてくる。何こいつ、イケメンかよ。
こんな調子で、学生やこれから遊びに行こうとしている若者達で溢れかえる交差点まで来た。
「この時間帯ホント人多いよね。全然前が見えないよ」
莉音があまりの人の多さに思わず愚痴をこぼす。
「まぁ確かに莉音の身長じゃ、前見にくいかもな。もう成長止まったんじゃね?」
「秋斗ちょっと背が高いだけでムカつく、まだ全然こっからだし!」
この言い合いも見慣れたものだが実際莉音の身長はそこまで低くはない。佳奈と並んでいる時は莉音の身長はかなり高いよう感じられるし女子の平均あたりではあると思う。
ただいってもそれは女子の平均であり男子の中でもかなり上位の秋斗と比べればどうしても小柄に見える。
男女の体格差はどうしようもない部分があるし莉音も中学あたりから身長あんま伸びてないよね?もう諦めた方がいいのでは?
なんてつまらない事を考えていると周りの人混みが交差点の先の方を見て急にザワザワと騒ぎ出す。
何だ?何かあったのか?
前を見ようにも混雑してよく見えない。
隣の2人組の男子生徒の会話に耳をすます。
「やっぱ、あのトラック変だよな?」
「メッチャスピード出てるな。運転手はなに考えてんだ?」
トラック?今何が起きてるんだ?
前の人の肩と肩の間から背伸びして交差点の先をみる。
大型トラックがスピードを緩める気配もなく凄いスピードで交差点に向かって走って来ている。
あの勢いで突っ込んで来られると、、考えただけでも恐ろしい。
「悟、見えるか。これはヤバイ気がする、すぐにここを離れた方がいい」
同じく前を見ていた秋斗が横から声をかけてくる。
「同感。突っ込むぞ、あれ」
もうのんびり話してる余裕もないな。
「どうしたの?突っ込むって?」
背伸びしてもよく見えない佳奈が不安げな表情を浮かべ尋ねてくる。
「説明は後だ。とりあえずここを離れよう」
物珍しげに眺めていた人混みも、距離が近くなるにつれようやくその危険に気付き始め恐怖が周りに一瞬で伝染していく。
ここでパニックが起きるのは非常にマズイ。
人が密集している場所で全員が一斉に逃げようとしても身動きが取れずかえって危険な状態になる。
焦らず冷静に行動出来る事が出来る人がいないと。
心配は、思った通り最悪の形になって起こった。
1人が後ろを向いて走り出したのをきっかけに、みんなが弾かれたように走り始める。周りを押しのけ我先にと進んでいこうとするが、すぐにお互いが詰まって動けなくなる。
列の中間近くにいた俺達は、前から走って来た集団に押し流され隣にいたはずの莉音達も人混みに呑まれどこに行ったか分からなくなってしまった。
クソ、こんな状況じゃ何もできない。とりあえず前に行かないと。
みんなを探すにしてもこのままじゃダメだ。
前に進もうと強引に足を出した所をだれかに突き飛ばされ、尻持ちをついてしまう。
立ち上がろうにも体中踏まれ思うように動けない。
そのまま人混みの中で横たわっていたが不意に周りから人が離れていった感じがして、軋む身体を動かし上半身を起こす。
身体を起こし目を開けるとすぐそこまでトラックが迫って来ている。逃げようと足を動かそうとするが、足は鋭い痛みと焼けるような熱さでまるで動かない。
足は、、折れてんのかな。仮に動いたとしてもこの距離じゃもう手遅れか。
まさかこの歳で死ぬ事になるとは、、毎日ただダラダラと過ごすだけの日々だったけどいざ死ぬとなると思い残した事が次から次に浮かんでくる。
時間は大量にあった、なのに後回し後回しで結局何もしてこなかった。
悔しい、死んだらもう何も出来ない。嫌だ、死にたくない。誰か助けて。こんな所で、、
「悟!逃げて!」
トラックが当たる瞬間人混みから、莉音の声と思われる声が聞こえた気がした。
確かめようと振り向こうとした瞬間身体に強い衝撃が走り一瞬で意識が持っていかれかける。手足が曲がらない方向に曲がりもはや人とは言えないような形になって吹き飛ばされる。
気絶できないほどの痛みを味わいながら宙を舞う。
遠くなる意識でトラックが肉を潰すような嫌な音を立てながら人混みの中に突っ込んでいったのを感じる。
みんな大丈夫かな、ちゃんと逃げれてたらいいけど。
もっと生きてる間に色んな事やっときゃ良かったな。
高く宙を舞いとどめを刺すようにグシャッと、音を立てて頭から落下しそこで完全に意識を失った。




