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うちのお嬢様が破滅エンドしかない悪役令嬢のようなので俺が救済したいと思います。【WEB版】  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
アミューリア学園一年生編

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番外編【マーシャ】5



事件ださ…!

星降りの夜…お嬢様と義兄さんはとんでもねー事件さ巻き込まれた。

なんとお姫様…この国お姫様さ、剣を向けられてお嬢様を庇った義兄さんが怪我ばしたんさ!

お城で手当てをされた義兄さんは、翌日から男子寮の部屋で安静にしてるようだけんど…。


「もやもやする〜! お嬢様はもやもやしねぇんさ⁉︎」

「それは勿論よ。でも…わたくしたちは男子寮には行けないわ」

「うう〜。わたし、許可取ってくるさ!」

「マーシャ、貴女は他にやることがあります」

「へ?」


なんだろ。

ちょっとこちらに座れ、と促されお嬢様の前にある椅子に座らせられる。

な、なんだろ、説教だろか…。


「…貴女が『記憶持ち』と分かった以上、アミューリアに入学することになる…というのは分かっているわね?」

「は…!」


そ、そうだったさ!

わたし『記憶持ち』だったんよ!

…箒を剣みたいに使えた…あれが『記憶持ち』の『記憶』の発現の仕方…。

勉強してて色々思い出していくのと全然違った。

“身体”が動く…どう動けば自分の願った通りの事になるのかを…“覚えている”…。

そんな感じだった。


「…貴女の薬草の知識、剣技の腕…きっと貴女は前世、国境騎士だったのね…」

「国境騎士…騎士さま?」

「ええ。国境騎士はこの国で最も実力のある騎士数名が任じられる、騎士団の中でも有数の実力者…。それだけでなく、知識もなくてはならないの。たった1人でヨハミエレ国境山脈の警備をする方々だそうよ」

「ひょえ⁉︎ た、た、たった1人で⁉︎」

「数キロ間隔で山脈警備を担当する、本当に過酷なお仕事…。だから、お薬…薬草の知識は豊富で剣の腕も相当だというわ。…貴女が家事をあまり得意でないのも…前世、過酷な森や山岳地帯で暮らしていたためではないかしら…」

「…………」


過酷な森や山岳地帯で…。

というか、そんなお仕事の騎士さまがいるのも初めて知った。

でもでもそうだよね…国境を誰も警備してないのはみんな怖いよね。

すごーく高い山で、人は登れないって言うけど…獣人や妖精なら登ってこれるかもしれないもん。

警備はしなきゃダメだよね。

そんなお仕事の騎士さまがいたんだ…。

わたしは前世、その国境山脈の警備の騎士さまだった?

ふ、ふーん?


「ゴリゴリのマッチョだったんだべか?」

「え? え、ええ…多分そうだと思うわよ…? 貧弱な方ではとても務まらないだろうし…」


ゴリゴリマッチョ…!

なんかいい響き!

憧れるべさ!


「こほん」

「は!」

「貴女の前世は…まあ、わたくしの想像よ。条件が当てはまる職業として、国境騎士だと思っただけ。…ともかく、再来年には貴女はアミューリアの生徒にならなければならないの」

「うっ。は、はい」

「そうなると貴女は今の使用人宿舎のお部屋から出なければならない。そして、わたくしとは別の、貴族が多く入寮する女子寮の別棟に引っ越さなければならないの」

「ひ、ひええ…」


お嬢様みたいな貴族のお嬢様がたくさんいる寮に…!

想像するだけで…なんか怖いさ…!

義兄さんは男子寮の一階のお部屋でこじんまりと暮らしてるみたいだし、わたしもそうなるんだろうけど…食堂は貴族の方々と同じところ…。

お部屋で食べるご令嬢も多いだろうけんど、食堂だって普通に使うご令嬢はいるだろうし…。


「なので、来年は徹底的にマナーのお勉強をします」

「マ、マナー!」

「それと、ヴィニーのように一生徒となるということは、お城の舞踏会に呼ばれる事もあります。ダンスも学んでもらうわ」

「ダダダダダンス⁉︎」

「ドレス、装飾品、靴、化粧品…舞踏会に必要なものも揃えなければなりません」

「ひょええ⁉︎」

「その辺りはリース家でお金は出すわ。あまり豪華なものは買ってあげられないと思うけれど…」

「あ、あう、あう、で、でもお嬢様…」

「必要な物よ。…だからね、貴女のお祖母様は…貴女が連れてくるのではなく、我が家の者に頼んで連れてきてもらったらどうかしら」

「!」


ばっちゃ…。

…わたしが迎えに行くつもりだった…。

でも、そうか…学園に入学したら…お嬢様が卒業してもわたしは一緒にお屋敷には帰れない。

お嬢様が卒業なさる頃にはお金も十分貯まると思ったけど…。


…………ぶっちゃけ…恋愛小説で少し使っちゃったしなぁ…。



「そ、それは嬉しいし、ありがたいですだ」


リース家で迎えに行ってくれるなら護衛もきっとつけてもらえるから…わたし1人で行くよりずっとばっちゃも安心するだろうな。

それに、早く会いたい。


「確か貴女のお祖母様も昔は貴族の使用人だったのよね」

「はい」

「なら、少し働いてもらおうかしら。貴女が生徒になるとわたくしのメイドがいなくなってしまうから…貴女のお祖母様がお世話をしてくれると助かるわ」

「わ、わあ! そしたらばっちゃにいつでも会える!」

「ええ。貴女のお祖母様も貴女の制服姿を喜ぶはずよ」


王都なら病院も近くにあるし…!

手紙には結構元気さなったって言ってたから…早く会いたい!


「なので貴女はマナーやダンスの練習を来年死ぬ気で頑張りなさい」

「…………ひゃ、ひゃあい…」


お、お嬢様の顔が怖、怖いべ〜⁉︎


「…でも困ったことは他にもあるのよね」

「え? 他に困り事?」

「ええ、貴女のお祖母様をわたくしの使用人として雇うのは構わないのだけれど、お身体は弱いのでしょう? ご病気も完治したとは言えないようだし…」

「う、うん…」

「あまり無理はさせたくないわ。…とは言え…ヴィニーがいるのに屋敷のメイドを連れてくるのも…」

「あ…あー…」


お屋敷のメイド仲間は義兄さんに全員玉砕してる…。

義兄さんは全然それに気付いてないから、屋敷のメイド仲間は義兄さんに関して「抜け駆けしたらコロス」条約を結んでいるらしいんさ。

そんな条約のある我が家のメイドのみんなの中から…連れてくるのは…。


「ち、血が流れるさ…」

「そうよね…」


危険きわまりねーな!


「そういう訳で、マーシャはこの街でお友達ができたと言っていなかった?」

「メグけ?」

「ええ、その子。どうかしら、メイドとして働けそうな子かしら?」

「え…?」


一瞬頭が動かなくなったけど…えーと、つまり…?

お嬢様は、メグをメイドとして雇いたい、と?

え? そんなん出来るんけ?


「やはり急にメイドは無理だろうから、最初は下女としてで構わないわよ。未成年でしょうから親御さんの許可も貰わなければならないし…」

「…でも、お嬢様…リース家の下女だってなりたい娘たくさんいるんと違うんさ?」

「そうね…でも今からリース家の下女を募集して…屋敷の方で色々教わると…結局ヴィニーのいる学園で働けなくなるし…」

「……う…」


そ、それはそうださ。

…義兄さん、なんて罪な男だべさ…!


「今度会った時にお話してみてくれない?」

「はい! わかったべさ!」

「よろしくお願いね。それじゃあ、早速来年マーシャが学ばなければならないマナーとダンスについて説明するわね。ダンスはわたくしが王都で先生を探しておくから、まずはマナーから…」

「ひぇ…⁉︎」


お嬢様が本棚から本を持ってきてどさどさと本を重ねていく。

三山ほどできると、その一冊一冊がどんな内容なのかをざっくり説明してくださった。

…早くもお腹いっぱいなんだけど…。

しょ、食事のマナー?

ご飯食べるのにもマナーがあるんけ?

ひえ、た、立ってるのも歩くのもマナーがある⁉︎

座るのも立ち上がるのも…。

人と会った時、喋る時、目上の人、爵位の違う人…男の人女の人と喋る時…うえ???


「それとこちらはお茶会のマナー、舞踏会の時のマナー…マーシャ、聞いているの?」

「…………ひゃ、ひゃい…」

「…マナーの先生も必要かしら? 我が家のメイドとして最低限、理解はしていると思うけど…知っているのと実際行えるようになるのでは違うものね…」

「あ、あの、お嬢様…わ、わたし、こんなにたくさん勉強するんと…その、お仕事は…」

「ええ、だから…貴女のお友達の方が下女として働いてくれると助かるのよ」


そ、そういう事かぁぁーー!


「まあ、貴女も『記憶持ち』だもの。前世が男性かもしれなくても、その前に女性の貴族だった事もあるはずよ。やっているうちにきっと“思い出す”わ」

「……そ…そうだろか…」


本の量…恋愛小説なら胸が高鳴るのに…マナーの本だと思うと盛り下がるさ…。


「それと、ヒール靴の歩き方にエスコートのされ方…」

「ひっ!」

「…エスコートといえば来年はケリーが入学してくるから……でもマーシャは一番年下なのよね…ケリーが卒業したらどうしたら…。…その頃にはマーシャにも婚約者が決まっているわよね」

「ひゃへ⁉︎」

「そうだわ、そうなると…婚約に関しても資料があった方がいいわよね。確か…」

「お、お嬢様気が早ぇえべさ! そんなの要らないよ!」

「ダメよ。婚約は細かな契約ごとが多い場合があるの。貴女は特に『記憶持ち』の平民なのだから下手な貴族の令息につまらない条件で婚約を結ばせられたらどうするつもり。ちゃんと婚約や結婚に関して法律もあるわ。これを読んでおきなさい」

「!」


ドゴ!

…ほ、本とは思えない効果音が…!

な、なんさこれ?

恋愛小説3冊分はありそうな厚みの本…本け⁉︎


「貴女はヴィニーと違ってこういう所作の勉強はしてなかったでしょう? 再来年までに頑張って身につけておくのよ」

「…………は、はひ……」


義兄さん、これ、や、やったんけ…?

マジで?


「泣いても出来るようになるまで許さないのでそのつもりで精進なさい」

「……………………はひ…」



お嬢様の目が義兄さんよりもおっかねぇ。

来年わたし…ど、どうなるん〜〜⁉︎






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