コミック1巻発売記念SS
「あ、ローナ」
「はい、なんでしょうか、レオハール様」
そう呼んで引き留めると、金色の髪を靡かせながら振り返る。
僕も金髪ではあるが、彼女の金の髪の方が美しく見えるのはなぜだろう?
「いや、大した用事はないんだけど、スティーブに『たまには話しかけてください』と叱られてしまってね」
「? どういう事でしょうか?」
「ほら、巫女が来てから本格的に戦争の為の訓練ばかりだっただろう? せっかく婚約したのに、相変わらず一緒にいる時間がないから気を揉ませてしまったみたいで……」
「あ、ああ……そういう事でしたか……」
「…………」
沈黙。
あー、こんな時どうしたらいいのだろう?
婚約者って、普通はどんな話をするものなの?
スティーブに色んな恋愛小説を薦められて、いくつか読んでみたけれど……あれに書かれているような事、僕にはとても!
「訓練は……」
「ん?」
「お辛くはありませんか?」
「え? ああ、うん。辛くはないかなぁ。辛いと言うより大変? クレイに指摘されて初めて知ったのだけれど、僕はどうやら『本気を出す』のがとても苦手らしい」
「本気を出す、のがですか?」
「そう。僕は王家の血筋の中でも、身体能力に『記憶継承』が強く現れているから……加減を間違えると周りを傷つけてしまう。ずっとマリーが近くにいたのもあって、『本気で戦う』事はなかったんだ」
クレイにはそれを見抜かれてしまった。
昔からエディンとは手合わせして、僕がやりすぎてしまうから……よく怪我をさせてしまったっけ。
エディンは優しいし、負けず嫌いだから「手加減するな」と怒られたけれど……僕は彼に怪我をさせるのがとても嫌だった。
だからエディンにバレないように手加減する事が常となり、いつしか本気で戦う事をしなくなったのだ。
まあ、エディンには僕が手加減していたのはバレていたみたいだけど……。
「亜人のクレイと戦ってみて分かったのだけれど、僕はずいぶん手加減に慣れてしまっていたみたい……。こんな事では亜人よりも身体能力が高いと言われる獣人と戦っても、勝てないだろうって……」
「それで『本気で戦う』訓練を?」
「そう。でもこれがとても大変。難しくて困っているんだ」
近くの窓に近づいて、外を眺める。
休み時間だから移動の生徒などが外を歩いていた。
いいなぁ、平和だなぁ。
「……レオハール様なら」
「うん?」
「後ろに民がいると思えば……すぐに『本気』を出せるようになると思いますわ」
「……後ろに……?」
「はい。あなたの後ろには……この国の、戦う術もないか弱き民がいるのです。あなたが一歩でも下がれば、無辜の民が傷つけられる」
「…………」
「ヴィニーもそうなのですが、殿下も戦うのに向いていません。戦う才能が人よりあっても、戦う事がお嫌いなのです。だからレオハール様も……誰かを守る時にこそ、真の力を発揮出来るはずです。あなたはそういう方だと、わたくしは認識しております」
……そうだろうか?
そうなのだろうか? 僕が?
ほんの少し考え込む。
でも想像してみたら、確かにとても嫌だった。
僕が倒れたら——目下に広がる平和な光景が崩れる。火の海になる。
「……試してみるよ」
「はい」
ローナは相変わらず無表情だけど、真っ直ぐに人を見据えてはっきりと物を言うところは昔から変わらない。
僕は君のそういうところをとても尊敬している。
僕には到底出来なかった。
僕にないものを、君は持っていて……そして……。
「相談に乗ってくれてありがとう」
「とんでもございません。なんでもご相談ください」
「うん、これからも頼りにさせてもらうね」
「はい」
僕の味方。
「うちのお嬢様が破滅エンドしかない悪役令嬢のようなので俺が救済したいと思います。」コミック1巻が発売となりましたー!
というわけで記念にSS書いてみたんだけども自分が書きたかったところなのでちょっと違うような……?
まあいいか……?
原作(カドカワBOOKS様より発売中)もコミックもよろしくお願いします!
あと、せっかくなので……
よろしければ下にある評価……なんだっけ、下の☆ボタン? を、なんかすると、評価が入れられるそうなので、応援よろしくお願いします……?(あれ、まってなんか違う気がする、どうしたらいいの? みんなやってるって聞いたけどこれでいいの? なんか違う気がするんですけど……?)







