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其の八・ペグマタイト・ネットワーク

挿絵(By みてみん)


自衛隊員に引き連れられて3人は外に出た。

「博士たち、何を視たと云いました?」自衛隊員が半信半疑で聞いてみた。

「ぼ、亡霊だ。内田の宗主が悶え苦しんでいた」

自衛隊員たちが皆、顔を見合わせ、首をひねった。

「君たち!信じないのか?他にもよろい武士なんかも居たんだ!」

「加尾さん、百目野先生、あなた方も視たんですか?」

「・・・・、井川博士、あれは亡霊ではない」百目野は否定した。

「百目野さん、あんた、視ただろ?!」

「あれは奴らが殺した者達を実態化したものです」

「何故、わかる?」

「霧です。あれは奴らの一部でしょう?其れを使って我々に恐怖を現実化したんだと思います」

「霧で殺害した者達の実態化?そ、そんなことが?!」

「奴らの記憶です。鎧武士などは何百年前のものなのか?・・・」

「百目野さん、だとしたら奴らの知能は相当なものだ」

「そうです。其れに今だ正体を視せない。我々を混乱させている。相当の頭脳の者でしょう。素志て残虐な奴です」


「井川博士、大丈夫ですか?」

後ろを視ると、何やら偉そうな軍服を着た初老が立っていた。

「あ、あなたは!」井川は顔見知りのようだ。

「あなたが百目野先生?初めまして。私は2等陸佐(中佐)の東雲しののめと云います。此処を総括している者です」

「百目野さん、東雲陸佐は此処のTOPだよ」


「百目野先生、申し訳ないが、直ぐさま、あなたを調べさせて貰った。何せ、村長殺しの容疑者ですからね」

「わたしは無関係です」

「わかっています。あなたを犯人扱いなど突飛過ぎる」

「・・・・此の人は、まともそうだ・・・」百目野は頭の中でそう思った。

「考古学者では無く、阿鼻あび大学超自然學科の講師と云うのがあなたの素性でしょう?・・・素志て阿夜訶志あやかし探偵などと云う副業もお持ちだ。此の事件がオカルト事件と視て、内田の奥方に呼ばれた・・・」

「申し訳ありません。其のとおりです。わたしを拘束しますか?」

「いえ、反対です。意見が聞きたい」

「え?」

「百目野先生、我々はここ一ヶ月間24時間体制で此処を監視して来た。あなたが思っていることと私たちが思っていることは同じかもしれない」

「東雲陸佐、では・・・」

「ええ、部下からの不可解な報告を多数聞いている。此のわたしも呻き声や、まとわりつく霧が説明出来ないでいる。此処の自衛隊員は皆、異質な何かを感じています」

「東雲陸佐、何だと思いますか?」

「結論は出ませんが、此の事件は土中にいる奴の仕業・・・人知を超えた生き物のせいでは?・・・と」

「武器の対処はされていますか?」

「わたしの仮説では軍のTOPは動きません。銃器が善いところです。まして法律上の見解もある」

「重砲、戦車や空軍による総攻撃ですね」

「そうです。未確認生物に対して自衛攻撃など法には無い」

「誰が攻撃命令の権限を持つんですか?」

「総理大臣です。自衛隊、軍は政治下ですから。しかし。百目野さん、奴らが動き出したら直ぐさま反撃に出なければ、此処が・・・いや日本が壊滅するかもしれない」

「はい、仲間は多分、日本中の土中に隠れ棲んでいます。もし、そいつらまで動き出したら・・・どうのこうのと会議をしている間に・・・奴らの思う壷です」

百目野は自分でも思いもよらないことを口走っていた。

「日本中の仲間?ペグマタイト鉱床は日本中にある。其処にも奴らが居て、連携出来るとしたら?井川博士、土中から信号を送ることって出来るんですか?」

「出来ます・・・例えば最も原始的な方法は振動を使えば・・・あ!」

地震だ・・・・

「奴らは、自ら地震を起こして仲間と連携しているんだ!」直ぐさま送信出来る。

「た、大変だ!」

土中でネットワークを貼っているのだ。


「井川博士、鬼来神社だ。彼処に奴らへの言霊の呪術書があると神主から聞いている」

「鬼来神社の?何処に?」

「祠の中です。其れが鬼来神社のご神体です」

「言霊の呪術書?古代、其れで奴らを退散させたのですか?」

「呪術で退散させたのか?どうかわかりません。しかし、何かヒントが書かれているに違いない」


ずごううう〜〜〜ん

地面がまた揺れた。


挿絵(By みてみん)


「行きましょう」

「待ってください、百目野さん、我々が行きます。危険すぎる」

「陸佐、わたしが現場に居なければ・・・古文書など何枚も置いてあるはず。箱に入っていれば表題は漢文、もしくは古代文字で書かれて居ます。どれが其れなのかわからないでしょう」

「わかりました。では隊員を同行させます」

東雲陸佐は部下を呼び寄せ、トラックとジープに50人ばかり隊員を装備し、銃器とバズーカ砲などを持たせた。

「奴らはもう聞き耳を立てて聞いているだろう」陸佐はそう云うと銃を百目野に持たせた。

「百目野さん、奴らは必死で阻止しよとするかもしれない。命がけですぞ。民間人を守るのが自衛隊の役目。無理をしないように。銃を撃ったことはありますか?」

「陸佐、大丈夫です」陸佐は銃を百目野に渡した。

「法律など糞喰らえだ!」

百目野たちは自衛隊員たちを引き連れ、鬼来神社に向かった。


東雲陸佐があ!と思って直ぐ彼等を呼び止めた。

「百目野さん、云い忘れた!明後日午前中に、東京の警視庁からジェットヘリで特別捜査官たちが来ます」

「わかりました・・・わたしたちの邪魔をしなければ善いが・・・」


警視庁では出発の準備をしていた。

刑事が2人、鑑識、物理学者、素志て謎の黒服の男が乗り込む予定だ。総勢たった5人である。

「百目野?阿鼻大学の?超自然學科の講師でオカルト探偵?」

「木藤さん、巫山戯ふざけたのが、現地に居るみたいですね。邪魔をしなければ善いけど・・・」相棒の白城しらしろ刑事が呟いた。

「白城、お前を連れていくのは、俺の特殊捜査を受け継いでもらいたいからだ」

「警視庁随一の刑事のあなたにそう、云ってもらえるのは嬉しいですよ」

「気が早いわ。ば〜か」

「な、何ですか?持ち上げといて、ばかは無いでしょ?」

「何処まで付いてこれるか?見物だよ」

「木藤さん、鑑識や学者さんを伴うのはわかりますが、此の皇宮こうぐう警察の人間は何ですか?皇宮警察って皇居を守る近衛兵みたいな連中でしょう?」

同行リストを視て白城が呟いた。

「其れに何で、此の男の履歴だけ白紙なんですか?」

木藤はニタニタするだけだった。

「木藤さ〜ん。隠さないでくださいよ」


白城は今回の殺人事件が、田舎警察の無能力さによって東京から再捜査のため、派遣されるのだと思い込んでいた。

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