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2章3 ウメダ 銀行強盗(4)
店奥には客が6人。誰か車を持っているといいのだが。
「オイ、お前たちの中で車を持っているヤツはいるか?」
誰も答えない。
「オイ! 聞こえないのか! くそ!」
ベルトに挟んでいた拳銃を抜き、席の窓側の客から順に訊いた。
1席目の2人連れの男どもは持っていない…。席を移動してきた2席目の爺さん、3席目の女も首を横に振っている。爺さんはフガフガ言って、入れ歯が外れてテーブルの上に落ちた。
4席目、手前の席のコイツ…には、今、訊いたばかりだったな…。向かいの奥の席のお前は?
「車は、持っています」
「何! お前、持っているのか…」
まだツキは残っている。
「ど、どこにある?」
「近くのコインパーキングに停めてあります。案内しましょうか?」
「よし、頼む」
よーし! これで車の目途が立った。
「アニキー、コーヒー出来ましたよー」
「おー、飲んだら店を出るぞ!」
マツと共にコーヒーを飲もうと、カウンターに向かおうとしたその時、
「待ってください!」
若いサラリーマン風の男が立ち上がって言った。




