3章11 アマミ 喫茶イコイ 女性店員(7)
「あ、あの、私もバッグの中…、見てもいいですか?」
女性のお客さんが、銀行強盗犯に訊いたので、私も言った。
「私も、見たい、みたーい」
すると、「私も」「オレも」とみんな身を乗り出してきた。なぜか、厨房から電気屋さん――じゃなかった――害虫駆除屋さんも戻って来た。
聞こえたのかしら?…。
「ちっ、…しょうがねーなあ、刑事を追い返すのに協力してくれたしな…。おし! 来い!」
ウメダさんは皆をボストンバッグの周りに集め、1つを開けた…。中は1万円の札束でいっぱいだ。
「すごーい。こんなにたくさんのお金初めて見た」
周りからも「おおー」と、どよめきの声が聞こえる。女性客は目を見開いて言葉がないようだ。
ウメダさんは皆の驚きようが、まんざらでもないようで、にやけて言った。
「お前ら、少し欲しいか?」
欲しい! 欲しい!
ウメダさんは、欲しいと言ったら、普通にくれそうな感じだ。だけど福山雅治さん――に似ている人――が言った。
「ウメダさん。ここはお気持ちだけで結構です。その紙幣は全て新札なので番号が記録されています。使えばそこから足がつくので、いただくことはできません…。でも、ありがとうございます」
「そ、そうか…」
ウメダさんは少し残念そうだった。
…私も残念です…。
福山雅治さん…、私は知ってますよ。番号が知られていても、使う時にそれを調べる人はいないから、普通に使えるって…。
共犯だと疑われる危険をさけるためなんでしょ…。
その気持ち分かります。
…でもやっぱりお金、欲しかったです…。
スイーツの食べ放題に行きたかったです…。執事喫茶に通いたかったです…。アニメイトに行って大人買いを1度やってみたかったです…。
…非常に残念です…。
うっ、うっ…。




