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2章14 マスター 喫茶イコイ(5)

「よし…クロスギ、管理は任せた」

「わかりました」


「では早速、地図です。誰が持っていますか?…。マスターあったら貸してください…」


 話がとんとん拍子に進み、なぜか客の中のひとりが仕切り役を行うことになった。彼はこの店の常連客である。名前はクロスギ様と言うらしい。


「はい…、アマミさん、そこ、レジの下から地図を取ってください…ん、ありがとう」


「はい、どうぞ地図です」

「あ、どうも地図ありがとうございます。マスター」


 3人組の頭目――ウメダと言っていた――が、客たちから携帯電話やスマホを――女性客からはパソコンも――預かった。それらを1番奥から通路を挟んだテーブルの上に、客たちに見えるように並べた。


「オイ、オヤジとあのムスメは携帯持ってるか?」

「はい、ありますが、就業時間中はロッカーの中にあります。持ってきましょうか?」


「ロッカーか…どうするか」

「ロッカーなら持ってこなくても構いませんよ」

「そうか」


 クロスギ様が答えた。


 手下の2人は、客から2つ離れたテーブルの上にボストンバッグをまとめた。隣の席には拳銃2丁と、バッグから予備の弾丸と爆弾を取り出して並べていた。


「ウメダさん、面は割れていますか?」

「いや、ストッキングをかぶってやったから大丈夫だろう」

「では、顔よりも、3人で一緒に行動すると、警察の注意を引きそうですね…。車はこの店の前まで移動させましょう」


 クロスギ様は、バッグと銃が置いてある席と客の席に挟まれた4人席に地図を広げ、2人の男と車の場所を確認している。


「ここのコインパーキングですね」

「ええ、そうです。ここに黒のホンダのフィットが停めてあります」


「ここから徒歩で2分程度かかりますね。鍵がこれですね。逃走に使われて本当によろしいですか?」

「ええ、レンタカーなので、借りる時に保険に入りましたから」


「では、車両の又貸しではなく、強奪ということで処理してもらいましょう。ケンイチさん免許証はありますね」

「はい」


「お願いがあるのですが、この鍵を持って行き、車をこの店の前まで乗って来てもらえませんか?」

「分かりました」


「あと、これケンイチさんの携帯です。勝手ながら私の携帯に発信しておきました。何かあったら電話ください。周辺の状況を確認して戻ったら教えてください…。タケさん」

「おう」


「彼は逃げることは絶対にありませんが、不安でしょう。一緒に行ってくれますか。もちろん拳銃は置いて行ってください。警官に遭遇した時、ボディチェックされたら問題ですから。それから、服装を変えましょう。上着や別のシャツを着た方が良いでしょう。これは、マツさんもウメダさんもです」


「おう」

「分かった」

「了解」


 彼らはバッグからアロハシャツを取り出すと、Tシャツの上に羽織った。


「では、よろしくお願いします」

「はい」

「アニキ、行ってきます。」


 学生風の男性と、手下のひとりが出て行った。


「マツ、また鍵かけとけ。んで、あいつらが戻ったら開けてやれ」

「了解」


手下のもうひとりは、入口の鍵をかけ直すと、近くから椅子を持ってきて、入口近くに座った。クロスギ様は、テーブルの上に並べられた拳銃と爆弾を見て言った。


「武器などはこれだけですか?」

「そうだ」


「ウメダさん、申し訳ありません。そのお持ちの拳銃も、店を出るまではここに並べていただけますか? 暴発でもすると、その音で警察が駆けつけてくるかもしれませんので」


 ウメダは渋々、自分の拳銃を腰のベルトから抜き、テーブルに並べた。


 それにしても、3人組が完全に仕切られているな…。


「それから、すみません、ちょっと触っていいですか?」

「ケガするなよ」


 クロスギ様は拳銃をひとつひとつ安全装置がかかっていることを確認した。それからマガジンを取り出し、銃は右下にし、銃口を客のいる反対側に向けて置きなおした。


「お前、細かいな」

「性格なもので。あと、この発破器、危ないので、このコードを抜いておきますね。使う時にまた差し込んでください」


「お前、何で爆弾に詳しいんだよ!?」

「以前、仕事で取り扱ったことがありまして」


「どういう仕事だ。ったく」


「あのぅ、私も、ちょっと触ってみてもいいですか?…」

「アホ! ダメに決まってるだろ」


 アマミが口を出して、ウメダにたしなめられた。まったくこの子は…、いい子なんだが…。


 ウメダは相手にしなかったが、クロスギ様が彼女に少しだけ触らせると、彼女は大人しくなった。


 扱いがうまいな…。


「コマキさん、携帯や武器などに誰も触れないように見ていてくれますか?」

「分かりました」


「はい、では、続きを始めて結構です」


 クロスギ様がウメダに言った。


「え、何のだ?」

「先ほどの尋問です」


 タイジさんが「ゲッ」といって、半歩後ずさった。


 タイジさん、申し訳ありません!


 事件に巻き込んでしまって、すみませんでした。このような状況でも、害虫駆除を内密にしてくれましたね。でも、もう本当のことを言っても良いです。


 どうぞ疑いを晴らしてください…。私もしかるべく彼らに説明します…。


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