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三人揃えば異世界成長促進剤~チート無し・スキル無し・魔法薄味~  作者: 森たん
第三章 第二節 王都回遊

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49話 醜いカタマリ

ブクマありがとうございます!


 久々にゆったりした朝を迎えた。

 王都へ来るまでの馬車移動は朝早かったからな。

 散歩したい気分だけど、単独行動は厳禁なのでやめた。

 部屋でピコと戯れつつ、朝ご飯をあげた。


 そして一階に降りて朝のコーヒー。

 そう、王都ではコーヒーがあった! これはかなり嬉しい収穫。

 コーヒーって暖かいところでしか栽培できない気イメージなんだけど南のほうで栽培してるのかな?

 村に持って帰りたいリストに加えた。


 いざ飲んでみる。……マッズ。酸っぱいです。残念。


 ふ~、今日はどんな一日になるんだろう。

 村の物産を売りに出して、買い出しとかかな?

 ん~でも、それって俺たち必要ない気が。

 あ~でもストライクバードの卵の売り上げが軍資金になるしな。


 あれこれ考えてるうちにみんな集まってきた。

 一名除いて。


「は~、あの子ってば」

「本当に朝弱いんだねぇ」

「すんません」


 サブさんも呆れ気味だ。


「ほっといて行って来いよ、俺はここで待機してるからよ!」

「え? 行かないんですか?」

「俺が行く必要ないだろ」


 リーダーは椅子にふんぞり返っている。


「リーダーは二代目の事苦手ですからね」

「苦手じゃねぇよ!……嫌いなだけだ」


 ほほう、リーダーが嫌いな人物なのか。ちょっと意外だ。


「まぁいい。待たせてはいけないからな」


 設楽さん、リーダーを除く四名でリーホ商店に向かうことにした。


――――


 受付の人に確認し、待合室のような場所に通された。

 十五分ほど待つと、二名が入ってきた。


「コンコンコン、失礼します」


 優秀そうな女性秘書と一緒に現れたのは、醜悪なハゲ親父だった。


 ハゲでデブでネズミっぽい容姿。

 人を外見で判断してはいけないが、関わりたくない人物だ。


 そのニヤニヤ顔がむかつく。リーダーもニヤニヤしてるがニヤニヤでこんなに違うもんなのか。


「やぁ、クラーク久しぶりだねぇ、うへへ」

「お久しぶりです、二代目」

「は、は、おや見ない顔だねぇ」


 視線は俺のほうを向いた。

 はぁ、リーダーが来たくなかったわけがわかるぜ。


「初めまして、アカイと申します」

「彼は、ストライクバード捕りの名手でして、今回ご同行させていただきました」


 サブさんが上手くアシストしてくれた。


「ストライクバァド! あれはいいねぇ!

 見たよ見たよ、に、二十三個だっけぇ? うははすごいすごい」

「あ、ありがとうございます」


 ちょ、まじでなんだよコイツ。

 待てよ『二代目』って言ってたな。

 確実にこいつ先代のバカ息子だろ。


 視線は俺のピコ専用バッグに。


「へ、へぇ、ストライクバァド飼ってるんだね」

「ああ、そうですね」

「ふうーん、もったいないね。あ、大きくなったら買い取ってもいいよ、げぶへへ」

「……は、はぁ」


 イライラしたけど、我慢した。

 口角泡が汚い。醜悪過ぎる。


「うはひ、買い取り金額は、昨日のうちに出しておいたよ。

 お、お、おい!」

「はい」


 秘書が見積書のような紙を村長に渡した。


 今回、村からの品は以下だ。

 ストライクバードの卵 × 二十三

 ワニの革 × 二

 ホールラビットの革 × 五十三

 ボア革 × 八

 ホッグ革 × 十二

 小麦等 × 大量


 そして表示された価格は以下だ。

 ストライクバードの卵 × 二十三 ⇒600万

 ワニの革 × 二         ⇒11万

 ホールラビットの革 × 五十三  ⇒25万

 ボア革 × 八          ⇒10万

 ホッグ革 × 十二        ⇒5万

 小麦等 × 大量         ⇒42万



 うほー! ストライクバードの卵高い!

 こりゃ、村長が壊れるのもわかるわー。

 嬉々としたおれとは裏腹に村長は複雑な顔をしている。


「ふぅーむ……」

「どうだいクラーク、うふふ」

「穀物の値段はどうにもならんのですか?」

「ならないよ~」

「昔の半額にもならないなんて」


 え……半額?


「半額ってど~ゆ~ことですか?」

「ぶひひ。今、食糧は余っている。だから価値は暴落さ~、げひゃはは」


 そーいえば王都では物価が上がってるって言ってたな。

 これって、物価が上がってるんじゃなくて、買い取り額が下がってるってことなんじゃ。


「そこをなんとかならんのか。二代目」

「むぅーりぃー」


 こ、このハゲネズミ。どう育てればこんなクズが育つんだ。

 初めてチート能力が欲しいと思ったよ。デ〇ノート的なものが。


「まぁ、いいんだよー、嫌なら取引しなくてもさ!」

「そ、それは困る」

「だったら早く決めてよ、ほらサインだよ」


 村長は、しぶしぶサインした。


「はい、おしまーい、じゃ~ね~」


 クズ野郎と秘書は席を後にした。


「――!、な」

「はい、ストップ」

「ん!」

「言いたいことはあるだろうけど、ここはリーホ商店のお膝元だからね。

 どこでなにを聞かれているかわからないだろう?」

「は、はい」


 サブさんの制止がなければ怒り爆発していたところである。

 やりきれない思いがあったが、どうすることもできないのでリーホ商店から出た。


――――


 七百万円近い金額を受け取り、四人は宿屋に戻った。

 設楽さんとリーダーが一階で待っていた。

 

「お~、おかえり、どうだった?」

「どうもこうもありませんよ! なんなんですか! あいつ!」

「ガハハ、あのバカ息子だろ? 名前はなんだったっけな」

「タルジじゃ」

「そうそう! タルジタルジ! 相変わらずブヨブヨしてたか? ガハハ」

「ブヨブヨというか、グチャグチャですよ! なんすか! あのバカにした態度!」


 俺は肥えたハゲネズミを思い出して、再度憤怒した。


「はぁ、先代はいい奴だったんだがな」


 村長が思い出話を話してくれた。

 先代のリーホさんは非常に良くしてくれたらしい。

 村の物産を一括で買い取る手法を用いて、一気に大商人にのし上がった人物だ。


 一括で買取るっていうのは、それだけ莫大な資金が必要であり、通常の商人では不可能である。

 だが、リーホさんは持前の行動力と多額の借金をすることで、どうにかやりくりし、一代で王都でも指折りの商人になった。

 村長とは二十年弱の付き合いだということだ。


「一年前に他界しての……それ以来二代目が取り仕切っておる。

 タルジも、もともとは可愛い坊主だったんだがのぉ。

 リーホには商才はあっても、子育ての才能は無かったらしい」


 村長は寂しそうに話を締めた。


「あ、あそこ以外で売ればいいじゃないですか!」

「なかなかそうもいかないんだよ」

「ど、どうしてですか??」

「そもそも一括で買取ってくれるところが多くない。

 村の物品を一括で買取れる商店なんて数えるぐらいだろう。

 だからといって、簡単にほかの商店に鞍替えするのもリスキーだ」

「な、なんで」

「商売人は横で繋がっているからね。

 基本的に情報は筒抜けになってると思ったほうが良い」

「そっか」


 俺も昔営業で同じような経験をしたことがある。

 とある地区で不義理をしたら、地区全体から総スカンをくらってしまった。

 横の繋がりってのは強いところは強いからな。


 設楽さんはいつもみたいに考えていたようだが、重い口を開いた。


「――個人で売る方法は?」

「ん? 個人か……。それは店をやるってことかい?」

「そうね、露店とか、間借りして短期のお店とか」

「そうだな。露店は商業組合から許可を得れば、特定の露店市で売ることはできるかな。

 店に関してはどうだろうね、店舗を借りて、販売申請をする必要があるね」

「ふ~ん、後で露店に行ってみたい」

「ふふふ、了解しました、お姫様」


 設楽姫はお昼近くになったので、非常に元気そうだ。

 しかし、店か。あんなハゲネズミに売るぐらいなら、自分で売ったほうが良さそうだよなぁ。


 ただ、そんな簡単に行かない気もする。

 販路構築ってのは骨が折れるからな。


「まぁよい、軽く飯を食ったら出発するぞ。お前たちはついてくるのか?」

「村長、この後は何する予定なんですか?」

「ここから四日間は買い出しじゃ。

 なじみの店があるからの、必要品を買ってくる」

「そっか、どうしようか設楽さん」

「今日はご一緒しましょう」

「わかった」


 王都二日目は買い出しに同行することにした。

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