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43話 出発前夜の集大成サンドイッチ

2章完結です。

そしてちょうどブクマ50件になりました。

ありがとうございます!


 明後日の朝一には王都に向かって出発だ。

 食料はホールラビット、ロックドレークをはじめ、アイシャさん達にもらったパンなどがあるので、もう大丈夫だろう。

 そもそもサブさん曰く、「中継地点の町があるから別にいらない」とのことだ。

 まぁ、おんぶにだっこ過ぎるのも良くないので、ある程度は持っていく予定だ。

 ピコの分のご飯も必要だしな。


 そして昨日の夜、先生からこんな提案があった。


「マグマプレートでカマド作らないか?」


 庭のスペースにカマドというか、バーベキュー台みたいなものを作りたいらしい。


 カマドか。家に備え付けのカマドはTHEカマドって感じだ。

 カマドの形状は説明しづらいけど、木造の住宅なので、火事に配慮した作りになっている。

 セメントのようなもので作られた土台。

 その上にねずみ色の粘土のようなものでつくられたで丸みのあるフォルム。

 この中に薪を入れて最上部で温めたいものを置く仕組みだ。

 

 まさに田舎のカマドって感じだ。てゆ~か博物館とかでしかカマドなんてみたことないけど。

 異世界風であるため、進化の過程は違うんだろうけど大して変わらない。


 さて、カマドどうやって作ろう。

 幸い庭は広いのでとりあえず策を練ることにする。

 設楽さんは軒先でピコと遊んでいる。我関せずってとこか。

 まぁ本当に必要なときは助言くれるだろう。


 男衆二人は作業スタイルにチェンジ。腕まくりしただけだけどね。


「え~っとカマドってどうやって作るんですか?」

「粘土燃やして作るんじゃないか?」

「粘土ってどこにあるんですか?」

「か、川?」


 いきなり挫折した。


「粘土以外で考えましょうか」

「そ、そうだな」

「あ~レンガ造りのやつとかありますね!」

「おお、レンガか!」

「あれ、レンガってどう作るんでしょうね」

「なんか焼いて作るんじゃ」


 またもや頓挫した。


「いつも通り石で作りましょうか」

「そうだな」


 石造りは温泉に行った際に簡易的に作った経験がある。

 まずは二人で大き目の石を拾ってきた。

 村の周りは草原地帯なので結構苦労した。

 川辺までいけばあったので、五往復ぐらいして石を集めた。

 村人からはジロジロみられたけどさ。


 俺は土台を組んだ。

 石を並べてるうちに、スカスカだなぁと思った。

 カマドは密閉性が高いほど、温度が上がりやすい。

 温泉で作ったカマド?は密閉性とは程遠いものだった。

 燃料をつぎ込みまくって温めてたからね。

 

 バーベキューとかならいいけど、カマドとなると密閉性がほしい。

 悩んでいると、ピコと戯れる天使から一言。


「穴掘れば?」


 天使の一言があり思いついた。

 まずは軽く穴を掘る。深さは五十センチぐらい。直径は一メートルぐらいかな。

 底にまずは石を敷き詰める。薪を入れる場所だ。

 あとは、石と土を使ってカマドっぽい中は空洞の山を作る。

 そしてマグマプレートを一番上にセットすれば完成!


 半分は土で作ったんだけどこれで大丈夫なんだろうか。

 作りながら悩んでると、先生が一言。


「土より硬めのドロのほうが、燃結しやすいんじゃないか?」


 燃結ってなんだよとは思うものの、設楽さんも「そうかも」とか言い出した。

 しょうがないので、土と水でドロを作って、再度作成。

 石とドロで作ったカマドが完成した。


 ちなみに先生はひたすら石をとりに行ってました。タフだわ。


 形ができたところで、もう夕刻だったので明日持ち越すことに。

 明日は休みだ、仕事もない、早起きなんてしなくてもいい日だったのに。

 まぁ、快く王都へ送り出してくれる先生へのお礼だと思って頑張った。


――――


 翌日は朝から作業開始。

 俺は火入れをした。ひたすらカマドに薪をくべる。ドロを固めるために。

 先生はマグマプレートを使いやすい形に削っていた。


 お昼過ぎに、マグマプレートと合体! 完成!

 マグマカマド1号機が完成した!

 う~むダサイ、が愛着が湧く。


 しっかし異世界でDIYってのは大変だったわ。


――――


 先生とは少しの間お別れになるので、お昼は少し豪勢にした。

 さっそく完成したマグマカマド一号機を使用。


 材料はこちら!

 ・ホールラビットの干し肉

 ・黒パン

 ・キャベツ(アイシャ家産)

 ・温泉イエローベリー

 ・レッドベリー

 ・ギシギシの実


 まさに総動員って感じだ!


 まずは温泉イエローベリーと少々のレッドベリーを潰して煮詰める。

 カラメルっぽい色になってくるのでそこにラビットの肉を投入!

 レッドベリーを少し入れたのは、酸味と甘みを更にプラスしたかったからだ。


 肉がテッカテカになってきたら、カマドの空いてる部分で黒パンを温める。

 遠赤外線っぽい働きでパンも美味くなるはず!

 基本的には白パンのほうが美味い。だけど、サンドイッチにするなら焼いた黒パンも引けを取らない。

 むしろ、黒パンは少し硬いのでサンドイッチにしやすい。


 さて、二つを合体させる。

 半分に割ったパンの中に、アイシャさんキャベツ、テリヤキラビットを投入。

 そして最後にギシギシの実だ!

 ギシギシの実は、家で栽培しておいた。

 成熟したので、食べてみるとあら不思議、オリーブにそっくりだった。


 出来た―!! 俺たちの現在できる最高の料理!

 Rabbit Cabbage GishiGishi サンドイッチ!

 BLTならぬ、RCGサンド!

 二人に言ったら、微妙な顔されたので、集大成ってことでクラークサンドと命名した。


 味は最高ですよ。

 だってすべての素材が美味しいんだもん。

 みんな二つずつ食べちゃったよ。

 まぎれもなく人生で一番美味いサンドイッチと断言できる一品だった。


――――


 さて、明日に向けて荷造りを始めた。

 特に必要なものは無いので、着替えと水と念のため食料をを袋に詰めた。

 ミックのくれた麻袋は本当に便利だ。


 寝る前に少しみんなで会議をした。といってもほぼ雑談だ。

 ハンターから貰ったお酒をちょびちょび飲みつつ。


「あ、これ忘れずにね」


 千円硬貨×十枚だ。


「あぁ、忘れてました」

「もっと使えるものくれればよかったのにな!」

「まったくですね」

「一年たったら文句言わないとな」

「「はははは」」


 設楽さんはかなりのスローペースでお酒を飲んでいる。

 ベリーを絞って甘いお酒にしている。

 酔ってはいないかな。まぁ明日はいつも以上に朝早いから、酔われても困るけど。


 先生は明るく振舞ってくれてる。

 明日からは初めての離れ離れだ。

 ハンター達と一緒に色々やってみるとのことだ。


 景気よく送り出してくれてるんだからこそ、王都では頑張らないとな。


 一万円を握りしめながら少し天を仰ぐ。

 ミックの野郎、見ているのかなぁ。

 ご意向には沿えているんだろうかねぇ。

 クソ神様め。っぺ



 二章 異世界に来てから 完


――――――――


『ふふふ、ちゃ~んと視ていますよ』


『いやはや、なかなか順調じゃないか。むしろ予想を大きく上回る成果だよ』


『やはり人選が良かった。流石、私だよ』


『彼は予想以上に拾いものだったな、やはり』


『は~1年に一度ってのは失敗だったかなぁ』


『王都ブライトか。さてさてどこまで気づくかな』


『ふふふ、同じ過ちはしない、次が楽しみだ』


 ミックの一人語りは続く。

このままグルメ街道まっしぐら!では無いのでご安心を。

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