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三人揃えば異世界成長促進剤~チート無し・スキル無し・魔法薄味~  作者: 森たん
第二章 第二節 ラビット

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22話 ハンターとの邂逅

初レビューいただきました!ありがとうございます!

レビュー内容が的確すぎて、唸ってしまいました。


ブックマークいただいた方もありがとうございます。

継続連載がんばります。


 ……なんでバレた。泳がされてたのか? いや、これまでバレた形跡は無かった。

 ハッタリか? いやこっち見てるしな。

 クソ、めんどくせーなぁ。


――――――


 ザザッ、木の裏から男が現れた。


 身長は先生と同じぐらいある、百八十無いぐらいだろうか。

 黒髪をボサボサにして、無精ヒゲを生やしたおっさんだ、

 見た目は四十代後半なんだが、たたずまいがカッコイイ。

 引き締まった肉体に、たれ目なのに鋭い眼光。


 そんな男が、両手を挙げて降参のポーズで近づいてくる。


「待て待て、悪気はなかったんだ」

「誰だおまえ!」

「シマーっていうハンターさ。な、ヨドさん」


 ヨドさんに助けてくれって感じでニヤニヤする男。

 ヨドさんは呆れ顔で溜息を一つ。


「なにしとんじゃ、お前」

「いや~、ホールラビット捕まえたって聞いたからさ、へへへ」

「やり方盗みにきたんか?」

「いや~、どんなやつらなのかさ。気になってね」


 シマーという男はニヤニヤしながら更に近づいてきた。


「それはそうとなんでわかったんだ?」

「シマー! まずは詫びが先じゃろうが」

「あ、あぁ。スマンスマン!」


 両手を合わせて頭を下げる。下げてるんだけど、な~んか軽いんだよなぁこの人。


「こいつはシマーじゃ。ハンターのトップをやっとる。腕はいいがちょっと軽いやつなんじゃ」

「すまんすまん、へへへ」


 先生と顔見合わせた。


「つまり、シマーさんはホールラビットの捕まえ方を知りにきたと?」

「ん~まぁそうだな、でもそれに関しちゃいいよ、企業秘密だろ」

「いいわ、教えましょう」

「「へ?」」


 設楽さんの発言にびっくりして俺とシマーさんでハモっちゃったよ。


「ハンターでトップの方なんでしょ、教えましょう。それより、狩りのこと色々知りたい」

「あ、あぁ、そりゃかまわんけど……いいの?」

「ちょ、ちょっとお待ちを」


 俺たち三人は緊急ミーディングを開始した。

 先生が設楽さんに問いかける形になった。


「教えていいのか? なんか変な奴だぞ」

「村のハンターに借りを作れる、関係も作れる」

「でも、信頼できるのか?」

「ハンターのトップなのよ」

「で、でもなぁ」


 先生の気持ちはわからんでもない、ストーキングされてたしなぁ。

 設楽さんは溜息の後、息を吸い込んだ。やべ。


「はぁ……」


「教えてもデメリットが無い。『探知』が使えない限り、

 ターゲットとなるウサギの巣はわからない。つまり彼に教えてもウサギは捕まえれない。

 それでも方法を教えれば彼に借りを作れる。

 仮に危険性があるとしたら、『探知』魔法欲しさに、先生が拉致される可能性が唯一の懸念。

 でもそれもかなり可能性としては低い。

 なぜなら、村人同士の繋がりが強く、拉致なんてすればすぐばれるでしょうしね」

 

「わ、わかった、わかったよ」

 

 先生は観念したみたいです。

 三倍ぐらい話されそうだったので、終わってよかった。


「確かに、有能そうですし、ハンターの人達と関係作れるのはデカイ気がしますね」

「そゆこと」

「んじゃぁ教えますか」


 緊急ミーティングを切り上げてシマーさんとヨドさんのもとへ。


「お待たせしました、ラビットの採り方ですね」

「お、おう、教わっていいのかい?」

「ええ、むしろ色々お話伺いたかったので、先に私たちが教えれることを共有しておくのも悪くないかと」

「たはは、悪いね」

「じゃぁ、僕から説明しましょうか」


 先生だと角が立ちそうだしな。


「方法としては簡単で、ホールラビットがいる巣に水を流し込んで、出てきたところを捕まえます」

「ほうほう」

「対象の巣の探し方ですが、『探知』魔法を使います。」

「魔法だって?」

「彼の魔法は、文字通り周囲の存在『探知』することができます。

 なので、まずはホールラビットの巣を探し出します。

 次は巣の中を探知することで、捕獲可能か確認します。

 あまりに複雑すぎる巣や、深すぎる巣は捕獲できない可能性が高いのでやりません。

 ですよね? カネコさん」

「あ、あぁ」


 一応説明終えたので、シマーさんの表情を窺う。

 納得いったような顔だ。


「は~なるほどねぇ。魔法か、ど~りで」

「説明は以上です。」


 シマーさんは軽く手を叩いた。


「ど~~りで見つかったわけだ!

 俺もその『タンチ』魔法で引っかかっちまったんだな!ガハハ」

「そうですね、正直まったく気づきませんでしたよ」

「へへへ、忍び足は得意なもんでねぇ」


 シマーさんは少しモジモジした。お茶目なおっさんだぜ。


「す、すまねぇんだけどさ、ホールラビット捕まえるの一度やってもらえねぇかな?」


 俺たちは先生を見た。


「はぁ、わかったよ、ちょっと待ってくれ」


 手に魔力を籠める。『探知』発動したみたいだ。


「――いた」


 先生は目的地に向かい、俺たちはぞろぞろついていく。そして巣を見つけた。

 今度は左手に魔力を籠め、巣の中で『探知』を発動した。


「ついてるな、これならいける」


 ちなみに、水を入れて捕まえれそうな巣は三分の一ぐらいだ。

 俺は水を汲んでくる。


「流しますよ」


 バケツ一杯、そしてもう一杯。巣の中でガサガサしている。

 這い出てきたところを捕まえる。

 先生は簡単に捕まえるけど、反射神経がいいんだろうな。

 俺はあんな上手く捕まえれる気がしない。


「こんな感じです」


 シマーさんは拍手する。


「こりゃすげえや」

「手馴れたもんじゃのぉ」


 ジタバタしているウサギを眺めてシマーさんは感心しているようだ。


「ふむ。な~るへそ」

「どうですか? 真似できないでしょう」


 ちょっと勝ち誇っちゃったぜ。反省反省。


「確かにな……。魔法使える奴はいるけど、『探知』なんてのは聞いたことないし」


 シマーさんちょっとニヤっとした。不気味だ。


「だがよ、改善点はすぐ思いついたぜ。」


 改善点?なんだろう。


「教えてもらっても?」

「もちろんだ、待ってな」


 腰に巻いた革のバッグをガサゴソしてあるものを取り出す。


「これを使う」

「ふむ、なるほどな」


 ヨドさんは知っているようだ。


「なんですか……その葉っぱ?」

「へへへへへ」


 ニヤっとして、火打石で葉に火をつけた。

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