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三人揃えば異世界成長促進剤~チート無し・スキル無し・魔法薄味~  作者: 森たん
第六章 異世界ブレインストーミング

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105/251

105話 ★今後の方針★

総合評価800越えました。ブックマーク、評価ありがとうございます!


「どうしたい……か」


 正直、明確なビジョンってやつは無いな。

 未だに『異世界の成長』ってのがピンときていない。


「ん~、この世界を成長させたい。ですかね」

「それは『神様』がそう言ったからか?」


 う~ん、ミックの依頼がスタートではある。だけどミックのために頑張ろうとは思わない。

 そんな義理も無いしな。


「それはキッカケですね。神様のために頑張る気なんて全くないですよ。

 やっぱり……、役に立ちたいからじゃないですかね」

「役に……か」


 なぜ役に立ちたいのか聞かれると正直困っちまう。

 理由付けはやろうと思えばできるけど、なんか野暮な気がする。


 例えば『サッカーしたい!』、『カレー食べたい!』って言って、なぜですかって聞かれたら困る。

 サッカーがしたい理由は、サッカーがしたいからだ。カレーが食べたいのはカレーが食べたいから。

 球が蹴りたいからでもないし、香辛料を堪能したいからでも無い。


「そうかそうか、はっはっは」


 笑って終わった。ちょっとほっとしたぜ。


「でだ」

「なんでしょう」

「具体的にどうするんじゃ?」

「それは~、そのぉ~」

「なんじゃ、なんもないんか」


 た、助けて設楽ちゃん! チラチラ見つめてみた。


「ハア」

「はは、なんかあるんでしょ。よ! 設楽先生!」


 非常にうっとおしそうだ。そんな顔も嫌いじゃない。


「――クラーク村に関して言うなら」

「ふむ」

「特に何もないわ」

「ズコ!」


 溜めといて何も無しかよ。


「な、何もないの」

「別にプランが無いわけじゃない。出来ることはあると思う。でも……」

「必要無いんじゃな」

「そうですね」


 どうゆうことでしょうか。よくわからないです。


「赤井さん、この村に何か問題点ってありますか?」

「ん~そうだなあ」


 たいして無いかも。財政面も解決したっぽいし。


「無いかも」

「ですよね。物資も今回の王都でほぼ調達できたみたいですし」

「ドルゼ村と交易出来るようになれば負担も減りそうだしなあ」


 クラーク村いい感じだ。


「じゃあ不幸な人はいますか?」

「不幸……? いや~いないんじゃないかな。暗い顔の人なんて……村長ぐらいじゃん」

「ぶふふ」


 ゼツペさんにウケたみたいだ。


「そうなんです。なのでこの村でやることは特にありません」

「で、でもさ! 例えばほら! 冷蔵庫が普及したらより良くなると思わない?」

「便利にはなるでしょうね。まあそれぐらいしかやることが無いってことね」


 俺の案はバッサリ切り捨てられた。


「ふむ……お嬢ちゃん何か別に策があるんじゃな」

「そうなの? 教えて設楽ちゃん!」


 ちゃんづけで呼ぶことにイラっとされたみたいだ。


「……それは」

「うん」

「まだ具体的には決まってない」

「じゃが案はあるんじゃろ?」

「う、それは……まあ」


 なんかモジモジしてるな。今日はゼツペさんが一緒だから強気に聞けるぜ。


「ほらほら、はやく言っちゃいなよ」

「宿場町……」

「ん? 王都の手前にあった?」

「違う」


 他に宿場町なんてあったっけ。設楽ちゃんは観念するように話した。


「クラーク村とドルゼ村の間に宿場町を作りたい」

「へ?」

「ほう」


 町を作る…?


「なんで? それってすごい大がかりだよね」

「う、うん」


 暫し沈黙。壮大過ぎて何を聞けばいいかわからなかった。


「なるほどのう、いつから考えていたんじゃ」

「王都から帰ってくる道中……です」


 ゼツペさんは顎に手をあて考えている。

 俺は何も考えずポカンとしている。


「町の目的はなんじゃ?」

「交易の中継地点」

「クラーク村とドルゼ村のか?」

「クラーク、ドルゼ、ウィンダーブル」

「なるほどなるほど、場所はどうするんじゃ?」

「待って」


 設楽ちゃんは、部屋に戻りノートを持ってきた。


「こんな感じです」


 ノートには可愛い地図が描かれていた。ところどころ絵が描いてある。


「これ、ピコじゃね?」

「う、うん」


 山間部と思われる位置にピコの絵が描いてあった。


「絵、上手いんだね~」

「う、うるさい」


 照れてるぜ。可愛いぜ。


「なるほど、位置関係を表した地図か」

「はい、クラーク村から、ウィンダーブルは三日かかりました。

 ドルゼ村には二日かかると聞いてます」

「場所的にはこの辺じゃの、ワシなら一日で来れるが、馬車なら二日は妥当な線じゃな」


 クラーク村の東北東側にドルゼ村はあるみたいだ。


「もし宿場町をつくるんならこの辺りです」


 結構微妙な位置を指した。


「なぜじゃ」

「一つ目は川が近いことです」


 そういえば王都に行くとき川を渡ったな。

 ドルゼ村から帰ってくるときも川を渡ったし、あの川の事だろう。


「もう一つは、クラーク、ドルゼ、ウィンダーブルに一日で着ける可能性がある場所がここだからです」


 たしかに三つの場所の中心点に位置している。だけど疑問がわいた。


「でもさ、ウィンダーブルまで三日かかったじゃん」

「あれは道が悪いからよ。……舗装さえできれば」

「舗装となると、かなり大変だね」

「……うん」


 舗装に関しては懸念点だったみたいだ。ちょっとしょんぼりしてる。


「じゃがこれは面白い案じゃ。難しいが夢物語でもないのう」

「そうですよね!」


 設楽ちゃんは明るくなった。コロコロ表情が変わるな。

 正直、俺には町をつくるなんて壮大過ぎてイメージが出来ない。

 難しい顔になっていたんだろう。


「アカイよ」

「は、はい」

「お前はもっと理解してやらねばならんぞ。お嬢ちゃんの案はなかなかよく考えられとる」

「う……すいません」


 諭されちゃった。自分の想定外だとどうしても否定的になっちゃうな。

 友達がミュージシャンになるとか言い出して止めたことを思い出したよ。


「お嬢ちゃん」

「ふぁい?」


 ゼツペさんの低い声に驚いたようだ。


「お嬢ちゃんも、もっと赤井に頼ったほうがええぞ。この話も初めてしたんじゃろ」

「あ……はあ」

「秘め事は誰にでもペラペラ話しちゃいかんが、アカイには話しても良かったんじゃないか?

 その『イセカイ』とやらから来た仲間なんじゃしの」


 設楽ちゃんも諭されて、小っちゃくなっちゃった。爺さんの威厳すごい。


「まあ、お前たちはもっと仲良くなってもいいんじゃないのかのう。男女なんだしの! はっはっは!」

「な、なに言ってんですか」

「照れるな照れるな、はっはっは」


 そんな仲じゃないですから! 

 ちらっと見た設楽ちゃんの表情は、魔法ランプに照らされていたがよくわからなかった。


――――


「まあ、町づくり目標にしてみてもええんじゃないかのう」

「そうですね」


 目標があるっていいな。まだ道筋が全く見えてないけど。


「でも具体的に何すればいいんだろうね、設楽ちゃん」

「簡単よ」


 設楽ちゃんはいつものクールさを取り戻したようだ。


「金よ」

「金ですか」

「金よ」


 守銭奴みたいな発言に少し驚いた。


「なんにせよ軍資金は必要だわ」

「そうじゃな、綺麗ごとでは町なんぞ作れん」

「運営していくには、資金が必要だし」


 なんか、町づくりというか、会社経営みたいだな。

 夕張市が破綻したニュースも見たし、町の運営ってのは案外経営と似ているのかもな。


「そっか、じゃあ当面は資金作りだね」

「そうね」

「はっはっは、楽しみじゃのう」


 なんかやることも決まっていい感じだ!

 こんな大事な話の時に寝ている先生にはがっかりだけどさ! せっかく見直してたのに!


「それじゃあ、ワシはそろそろ帰るかのう」

「あ、そうですか。泊っていってもいいんですよ」

「リンクスの顔も見ておきたいからの、なによりこの家、客人が寝れるようには見えんが……」


 た、確かに。


「ははは、すいません」

「して明日の朝はどうすればいいんじゃ?」

「また我が家まで来てもらえますか?」

「わかった」

「リンクスも連れてきてくださいね」


 明日はもてなし第二弾だ。今回はリンクスもしっかりもてなすよ。

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