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第一回『そして僕は……』

これまでの異界交友記:断崖から飛び降りた!

↓プロローグ↓

http://ncode.syosetu.com/n7656dd/1/

 皆さんこんにちは『カボス・ド・レント』です。

 いかがお過ごしでしょうか? 休憩時間? 通勤通学中? それとも仕事もしないでヒキニートかな? まぁ、どんな状況であれ、僕の動画を見てくれてるのは嬉しいです。ありがとう馬鹿野郎共!



 とまぁ、いつも僕が実況するときの前口上で初めてみたが、天国からの配信ってわけじゃないぜ。


 あれから僕は、どういう訳か意識を保ったまま赤ちゃんとして、生まれてしまったらしい。所謂、転生だ。

 僕が海へ飛び込み意識を飛ばして転生して、なんやかんやで一年ほど経ちました。


「ミカ~」

「はい!」


 名前を呼ばれ、元気よく返事をする。

 今の僕の名前は『ミカルド・クリリアンテイル』……外人さんです。いや、どっちかって言うと人外さんかな。


 鏡の前で服を脱がされる僕。鏡に写っているのは、イケメンといえば、まぁその部類に入るような顔立ちで、肌は健康的なちょうどいい塩梅の褐色、赤茶のくせっ毛、碧眼、猫耳の少年。これが今の僕『ミカルド・クリリアンテイル』だ。


 この猫耳は、僕が女子中○生に付けさせていたカチューシャなんて、安っちぃもんじゃない。顔の横には人間のような耳はなく、自前の猫耳だ。これで物を聞くことができる。


 獣耳スキーとは言え、まさか自分に標準装備されるようになるとは……これ如何に。

 加えて腰からは髪と同じ色の尻尾も生えています。


 そう、僕は猫耳獣人へと転生していたのだ!


 服を脱がせてくれた人物は、今の僕の母親『ロタリア』。この人は完全なる獣人だ。

 僕は人間ベースの獣だが、彼女は獣ベースで人間だ。身体は体毛で覆われている。その色は赤茶。


「もう、ミカったらやめなさい。ハハハッくすぐったい」


 僕はおもむろにロタリアに抱きつく。

 あぁ……このモフモフ感がいいんじゃあ……

 僕は、彼女の胸に顔をうずめながら、全身でモフモフ感を楽しんだ。

 別に親子だから、胸に顔を埋めようが、誰も何も言わないからな。何より精神年齢は三十一歳だが、この世界ではまだ一歳。当然の特権である。断じて赤ちゃんプレイが好きなわけではない……


「……ママァ」

「あっ!? ミカ! またそんなことをして!」


 あぁ……言ってくる人居たわ。僕は顔をお越し、声のした方を見る。

 そこに立っているのは、上半身裸の褐色の男性。この男は僕の父親『フィールズ』。


 フィールズは見た目ほとんど人であるのだが、純粋な人ではない『ファーニラ』とか言う種族のクォーターらしい。

 ファーニラってのは簡単に言うと『天使族』だ。


 本来は羽など生えているらしいが、クォーターのフィールズには生えていない。彼がファーニラ族の血が混じっている証拠としては、褐色の肌がその証。


 ちなみに、ロタリアは『獣人族(ケムルフィン)』と呼ぶらしい。

 僕の中には人間族(ヒューマン)、獣人族、天使族の血が流れている……なんか得した気分だぜ。



 この様にだ。僕が自殺し、転生した先は地球ではなく、獣人が居たり天使が生活するファンタジー世界だった。



 これから僕は、ロタリアにお風呂に入れてもらうところ。


「ミカ! いつまで引っ付いてるつもりだ。ロタリーが困っているだろ!!」


 いや困ってないだろ。可愛い我が子が、抱きついているんだからさ。

 僕は気にせず抱きつく。

 フィールズは『ムッキーッ!』とでも言いだしそうな雰囲気だった。

 我が息子に嫉妬するとは、まだまだ若いのう……そしてこの男は主夫である。


 フィールズとロタリアは十八歳。僕と十三個違い…………

 目から汗が、いや泣いてないからね。世界観が違うから、ウン前世とこっちでは結婚観とか違うから……違うから。


「あらミカったら泣いてるの? フィールズが大きい声出すからじゃないの」

「お……それはすまない事をした」


 いや、違うんだ。フィールズのせいではない、自分の不甲斐なさを泣いているんだ……



 ×   ×   ×


 家族三人で仲良く風呂に入り、今はベッドルーム。


 僕は眠れずにいた。

 風呂場では、終始二人がイチャついていたから……ではない…………SHIT!!


 なんで僕は、前世の記憶を持ったままこうして異世界へやってきて、あまつさえ赤子になっているのか……

 前世での行いは良か……いや、僕は前科者だ。


 しかし、ココは地獄と言うにはあまりにもぬるそうだ。転生先のこの家は、特別貧乏ってわけでもないし、住んでるところも整備の行き届いた町だ。


 神様はまだボクに何かさせたいのだろうか?

 こんな『ロリコンで獣耳スキーでドMのデイダラぼっち』に、何かしないといけないことがあるのだろうか?


「デイダラ…………ぼっち……」


 そうだ、僕は生前ぼっちだった。そこそこの人間関係で自分から関わろうともせず、受動的に生きてきた。そのせいで僕は犯罪を犯した……

 いや、厳密にはあの時僕は縛られてただけで、何もしていないのが事実なんだけどね……未だに童貞様ですよ……オイ三十一やぞ!? 魔法なんて使えないじゃないか!?

 イカンイカン、また涙が……三十路にもなると、涙もろくなるのかね……?


 僕はやり直すチャンスを貰ったんだ。この『ミカルド・クリリアンテイル』として……第二の人生は積極的に人とか関わっていく!そうだな……目標は「異界で友達100人作る!」だッ!!


 そう心に誓った、三十一歳(一歳)の冬であった。



 この世界に、冬とかあるのか知らないけどな……

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