第十八回『出逢いが別つ』
これまでの異界交友記:突如ミカの前に闇の王を名乗る男が現れコピットの町を襲いに行ってしまった! ミカは間に合うのか!?
町には、闇の王がやったと思われる黒い煙がまとわりついていた。サイレンも鳴りっぱなし……
僕は、全神経をそそぎ脚を動かした。
町の中は凄惨なものだ。建物は壊され、道で人が血を流している。
至る所に魔物が現れていて、今なお人々を襲っていた。
「クソが止めろよ!」
近くで人を襲っていた魔物を倒し、自宅へ急ぐ……
道中、襲われている人を助けながら駆けていく。こう言う時、ワンキルできるのは非常に助かる。
しかし、こうも多いと手間だな……
プロの冒険者の方々も、結構手を焼いているみたいだ。
かまわず何体も何体も斬り伏せながら進んでいく。
「見えた!」
我が家はまだ無事のようだった。
「良かった……」
家の前にも魔物がいたので、倒しながら転がり込むように帰宅!
「お母さん! お父さん 大丈夫!?」
ロタリアは強い。あの程度の魔物に遅れをとることは無いだろうが、心配っちゃあ心配だ。
道場にはいなかった……門下生が何人か倒れているのが不安を煽る……
庭の方から剣戟の音が! 助けに行かねば!
あの、強くて優しいロタリアが苦戦している……フィールズも一緒だというのに……
「まじかよ……」
戦っていたのは、狼型の魔物ではなく二メートル位の木の魔物だ!
門下生を守りながらじゃあ流石のロタリアも辛いだろう。
「お母さん! 僕も手伝います!」
「ミカ!? 無事だったのね!」
「お前今までどこに!?」
「今はそんな事良いから!」
二人はホッとしたような表情になった。
「僕が来たからには安心して!」
「待ってたぞ! 勇者様!」
フィールズはちょけやがって……無理矢理そうしているのかな?
× × ×
多少なりとも苦戦はしたが、僕の一撃でやっぱり解決した……
「ミカ!」
「ミカ!!」
僕は、ロタリアとフィールズに抱きしめられた。
「良かった無事で……どこへ行っていたの」
闇依頼とは言えない……
「町で友達と遊んでました。そしたら町中に魔物が現れて……それを倒して回っていました」
「そうか……エライぞ」
フィールズに頭をなでられる。嬉しい……
『嘘をつくか流石は汚らわしい獣だな』
声がしたのは頭上。全員で空を仰いだ。そこには、黒い煙に乗っている闇の王がいた。
「森の中に封印されていた余を解放したではないか? 友と遊んでいた? よくもまぁ抜け抜けと……」
「何なのあの人?」
「ミカ? 知り合いか?」
「…………」
「おいおい、悲しいじゃないか。余と貴様の仲だろう? 言ってやれよ。この町をこんなにしたのは僕ですって」
!? こいつ……
「……ミカ。あいつなんなんださっきから? 何言ってるんだ?」
「さ、さぁ……?」
こいつ、僕が嘘付いてるってバラすきか?
「ちょっと待って! 向こうで二人で話さないか?」
「なんだよ? ココでいいだろ? そうだ、余と貴様の感動の初対面のシーンを、君のご両親に教えてやろうじゃないか!」
そう言うと、黒い煙がロタリアとフィールズにまとわりつく……
「おい!」
掻き消そうと手で払ってみたが、意味はなかった。
闇の王は、僕を見下ろし、ニヤニヤとヤラシイ笑みを浮かべていた。
「ミカあなた……」
「……お前……」
「な、何? 二人共……」
「なんて事をしてくれたんだ……この町の惨状全てお前が原因だったんだな」
「!! ちょっと待ってよ。僕は何も! 全部あの闇の王が」
「言い訳は許しません!」
「僕の話を聞いてよ!」
「他人のせいにしようとしている人の話なんて聞きません!」
「ぐぅ……」
駄目だ。こうなったら取り付く島がないぞ……
それもこれも闇の王のせいだ。
僕は闇朱雀を抜き放った。
「…………セモベンテー……お前だけは殺す」
「え? 余を殺すだって?」
「なっ!?」
瞬きをした瞬間、僕の眼前にセモベンテーの顔があった。
「ロタリア!!?」
聞こえてきたのは、フィールズの声だった。
切り払ったが、セモベンテーは軽々と闇朱雀を掴み、僕を投げ飛ばした。
「イテテ」
「はっはっはっ……これで余の鬱憤は晴れたってものだ。とても楽しい時間だったぞ……ミカルド。達者で暮らせよ」
そう言うと黒い煙の塊に乗って、セモベンテーはどこかへ消えてしまった。
「待てクソが! ……ッチ!」
今はそんなことより、ロタリアだ。フィールズの声色は
、かなりヤバイものだった。
二人の周りでは門下生の面々が涙を流し、ロタリアの名前を叫んでいた……
「お……お母さん……」
フィールズの腕に抱かれたロタリアの瞳には……生気がなかった。
初めて見たが……これはきっと『死んだ』って事だろう……
「お母さん!! イッテェ!」
フィールズに思い切り殴られた。……なんで?
「何するんだよ?」
「出て行け……」
「はあ?」
「もう一度言うぞ。ミカ、今すぐお前はこの町から出て行け」
「……え? なんで? どうして? イデッ!」
また殴られた。
フィールズは、普段から手を上げるような男じゃないのに……
横になったロタリアの腹には、穴がぽっかり開いていた。やはり……死んだんだ……
その後、僕をもう一発殴り飛ばしたフィールズは、ロタリアを抱きしめ、年甲斐もなく号泣するのだった。それが波及し、周りの門下生達も泣くのだった。
そうか僕、勘当されたのか……
前世の事がフラッシュバックした。
「お父さん、お母さん……今までありがとうございました」
号泣するフィールズの背に別れの言葉をかけ、僕は家を、町を出て行った。
《フィールズ視点》
ロタリーが死んだ……
人を生き返らせる魔法があるだなんて聞いたことはないし、あったとしてもうちにはない。
俺が一番に愛していたロタリーが、愛していた息子のせいで死んだ……
ミカは悪魔だ……
そうに違いない、成長の早い獣人族とは言え、産まれてすぐに本を読み、文字を書き、言葉を喋った……初めは嬉しかった。『俺とロタリーの子は天才だ!」と思っていた……しかし、それが続くとある種の恐怖が芽生えた。
子供って言うのは、よく笑い、よく泣き、よく遊ぶもんだと、俺は思っている。しかし、ミカはそのどれも欠落しているように思えた。
笑っている事もあるが、ニヤニヤと不気味なものだったし。
一度だけ、アマールちゃんと別れた時だけ泣いていたが、俺達に怒られようとも、かなり大きめの怪我をしようとも、泣かなかった。
友達と遊ぶことはあったが、俺のガキの頃と比較すると、圧倒的に少ない……
そのどれもが不気味で……まるで『大人が子供の真似事をしている』とさえ、思えた。
そして、あの……闇の王とミカに呼ばれていた男に見させられた光景……信じたくはないが、色々と合点がいく。
全て、ミカが計画した事だったとは……ミカが計画して、あの男に実行させた……やはり、あの子は悪魔に違いない……本当に、俺とロタリーの子だったのだろうか?
異種族の間に産まれた子供には、特殊な子供が産まれると耳にするが、ミカがきっとそうなんだろう……
しかし、今となってはもうわからない……今回の件、公にすることは可能だが……それは……
しない。できない。
ミカのせいで町が襲われ、ロタリーが死んだのは絶対に許せない事だが……
悪魔だが俺達の子供、せめてもの情けだ。あの事実を知っているのは、俺とロタリアだけ……黙っていよう。ミカにもこれからの人生があるんだ……
あぁ、大地の神リィライトよ……どうか、ミカのこれからの人生に、幸多からん事を……ロタリー……心苦しいと思うが、二度と会う事のない彼を守ってやってくれ……
ここまで読んでいただき感謝感激であります。
当作品はコレにて打ち切りになります。
後三話分書いてあるんですけど中途半端になるのでここで切ります。
毎回反省反省ではありますが……また修行して戻ってきます。
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