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第十四回『来訪者』

これまでの異界交友記:アマールは越して行ってしまった……別れは新たな出会いのスタートライン!

 アマールが引っ越してから約二年経ち、もうすぐ5歳になる。


 あれから、アマールからの手紙を待っているのだが、待てど暮らせど来る気配はない……これって完全に嫌われてる系だよなぁ。


 三歳になった頃、学校に通うのか、冒険者になるのかルート選択を迫られた。

 フィールズが学業、ロタリアが冒険者を推した。

 お互い一歩も引かず平行線だったが『五歳までギルドへの登録しないこと』を条件に、学業は免除になった。


 今は、本格的な冒険者になる為の準備期間のようなものだ。

 現門下生の中で、僕に敵う奴は一人も居ないのと『止む終えない』理由でもっぱら相手はロタリアだ。

 そして、月に数回他の町に出向いては他流試合を行ったり、ロタリアのツテで魔物退治に出向いたりしている。おかげでかなりレベルアップしている。


 目標の一つである『勇者になる』は一歩一歩着実に進んでいる。


 もう一つの目標の『友達百人作る』も、上々だ。

 かつてアマールをいじめていた連中とも、熱い喧嘩の末に、友情を分かちあった。

 その他に兄弟子や弟弟子、他流派の友達なども多くできうまくやっている。


 スマホなどがないので、アドレス交換やLINEの交換などできないので、増えている実感はいまいちないが、前世(かつて)のような、薄っぺらい関係ではないことはわかる。ボクに対しておべっかを使うような人はあまりいない。


 この辺りは、前世の経験が役に立っている。僕と上辺だけで付き合おうとしてくる奴はすぐわかり、そういう手合にはお引取り頂いている。


 仲の良い子の家に泊まりに行ったり、泊まりに来てもらったり。

 一緒に狩りなどにも行ったことがある。まさにリア充!!





 そして……僕には第三の目標ができていた。


 それは、『呪いを解く』だ!


 なんの呪いに(かか)ったかというと……闇朱雀(やみすざく)以外の武器を持つと、意識がぶっ飛ぶというものだ。


 二年前、アマールの前でぶっ倒れたのはこの呪いが原因であった。

 武器であれば全てに発動する。練習用の木刀に、包丁など、ちょっとでも殺傷能力があろうものなら、意識が飛んでしまう。


 呪いを解いてくれる教会もなければ、シャナクなんて魔法はこの世界にはない。

 もしかしたら、一生かかっても解けない可能性もある……


 と言う事なので、稽古にも闇朱雀を使わざる負えない。これが稽古でロタリアしか相手できない『止む終えない』理由である。

 なぜなら闇朱雀は一太刀で生き物を殺すチート兵器。斬りつけたら僕は簡単に人殺しになってしまう。対ロタリアならまず当たる事はないが……自分で言ってて悲しいわ!


 実はこのチート兵器『一太刀で生き物を殺す』と、謳っているが全ての生物と言う訳ではない事もわかった……


 以前、たった一度だけ、本当に運よくまぐれでロタリアに一撃入れることができた時がある。しかし、彼女は今も元気で生きている。

 理由は分からないが、ロタリアを殺すことができなかった……物騒だな。


 木の枝を試し切りした時のように、ただロタリアの腹をぶん殴っただけになった。


 このチート兵器は『生き物絶対殺すマン』と言うわけではないらしい。どんな条件になっているのか、など一切わからないのが怖い所。今の所生き物で言えばロタリアは殺せない……物騒だな!


 所詮は伝説上の武器。根も葉もない事に尾ヒレがつき、書物になったのだろう。

 今となっては、本物だろうが偽物だろうがこれ以外を装備できないで、どうでも良い。

 そして、闇朱雀の呪いはもう一つ……


『僕のそばを離れない』だ。


 どこか買い出しに出かける時、武器を持っていくことはしないだろ?

 なので、部屋に置いておくと、家の玄関の前にいたり。買い物に来たお店にいたりと、僕に付き纏う……流石に、勘違いと言うには出来過ぎていたので、呪いと言う事にした。



 今の僕には『友達百人作る』『勇者になる』『呪いを解く』この三つを目標に、日々を生きている。実質二つだけな気がしないでもない。



「今日は新しい生徒が来ています」

「?」


 そんな話は聞いてないぞ……

 学業ルートを選択肢なかった僕は、道場の手伝いとしてロタリアの助手をしている。

 僕より強い生徒は居ないので、手本になったり、組み手の相手をしている。


 にしても急だな。朝、ロタリアはそんなこと言ってなかったぞ。


 道場に入ってきたのは銀髪の目立つ女の子だった。


「よろしくお願いします!」


 ハキハキと一礼。とても小柄な子だった。年下とか、そういうレベルではなく。きっとそう言う種族なのだろう、小人族(ファースト)と言う小柄な種族が居たはずだ。


「コロナ・チトニアと言います! 後に国王直属部隊の隊長になる女です!」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 場が凍る……擬音的には『ピキーン』的な感じだろうか……よくもまぁ、恥ずかしげもなくそんな事を言えるな。

 ……待て。僕も『勇者になる』って言ってるな……うん、イタくないよ!!


「ハイッ。志が高いことは良いことです。皆さんも見習いましょう」


 既視感があるぞ……相変わらず淡々としているなぁ


「先生! 早速ですが、わたしと組み手をして下さい!」


 会場は若干ですが、ざわついております!

 いきなりそんなこと言う子は初めてだよ。


「良いでしょう」


 承諾するんだ!!




「先生! 練習用の木刀ではなく、真剣でお願いします!」


 コロナは自前のショートソードを構えていた。

 体が小さいのでショートソードがロングソード的に見える。


「……万が一の場合、怪我じゃ済まないですよ」

「大丈夫です! 負けません! 本気で来てください!」

「……」


 すげぇ自信だ! 僕だって何千回と戦ってやっと、それもまぐれで一発当てた位だぞ。それをいきなり現れた女の子が、一本取れるわけ無いだろ?

 意識高いのは良いけど、自分の力量を見極めなきゃ。しかも真剣て! 正気の沙汰じゃない。


「絶対手を抜かないで下さい!」

「はいはい、わかってますよ」


 ロタリアとコロナは刃を交えるのだった。

コロナの発音は「ナズナ」と同じ。

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