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第十二回『ミルキーファンタジア』

これまでの異界交友記:ドブ川での決戦! 関係ないけど絶対砥石忘れる奴いるよね。

 残った一体は、僕の様子を窺っていた。

 なので、僕も様子を窺うことにした。


 先に瞬殺した二体とは違い、こいつはツノが大きい。

 と言うことは、少し強いと言う事だ。パッと見、倍くらいあるな。長さによる強弱がどの程度あるのかわからないが、単純に倍強いと考えるのが良いか……


 なかなか攻めてこないか……なら、こっちから攻めるとしますか……

 剣と鞘での波状攻撃を仕掛けるも、スイスイ避けられる。流石、倍強いだけのことはある。


 そこからも避けられ続けた。たまに噛み付こうとしてきたり、爪で攻撃してくるのだが、そんな攻撃は僕にだって当たるわけはない。


「わ!!」


 僕はドブ川のヌメリに足を取られすっ転んでしまった。

 当然この隙は見逃さず襲ってくるか!?

 ヤバイ、間に合わない!


「キャウン」


 意外に可愛らしい声を上げ、魔物は僕とは反対方向にふっ飛ばされていった。


 振り返ると、そこには魔銃を構えたアマールが、茂みから顔を出していた。


「さっきまでの勢いはどうしたの?」


 魔法を使ったのか……姿が見えなかったから、どっか行ったのかと思ったよ……


 ふっ飛ばされた魔物は、前足が欠損している。だが、まだ息はあるようだ。

 そして、その前足は徐々に回復しつつあった。

 ナメック星人のソレのような回復の仕方ではなく、残った身体から、徐々に元の形を形成しているよう。


「ったく手間取らせやがって」


 僕はミルキーファンタジアを振り上げ、胴体めがけて振り下ろす。今は閃の構えだ。


 切った感触はほとんどないが魔物は消え去っていった。また運良くコアに当たったようだ。今日はLUKが高いぞ!


 ×   ×   ×


 魔物との戦いがあっけなく終わり、アマールを連れて僕の家に帰ってきた。居住区のアマールの家に帰るより、うちのが近いからね。

 フィールズとロタリアは、とても喜んでいた。……無事に帰ってきた事よりも、アマールを連れて帰ってきた事の方が嬉しいようだな。


 そして、管理区と施設区付近のドブ川から、魔物が湧いてくることをフィールズに伝えると、明日また問い合わせてみる事になった。

 家に上がるなり、アマールはフィールズの魔銃コレクションに目を輝かせていた。なぜわかった。匂いでも嗅ぎつけたか?







「お疲れ様。初めてにしては良く出来たんじゃない?」

「アマールさんもお疲れ。助かったよ」


 僕は、バスタオルで髪を拭きながら、ベッドに腰を掛けた。

 この世界には、ドライヤーなどと言う近代兵器は存在しないので、水気を拭き取り自然乾燥だ。


「あんな所でずっこけるんだもん……」

「仕方ないだろ。ヌメってたんだからさ……そんなことより、アマールさんも入ってきなよ」

「うんありがたく頂くわ」


 彼女はタオルを持ってお風呂へ向かった。

 なんかこれって、リア充っぽくないか!? 爆発しないよう気を付けなきゃ!


 とりあえず、アマールが居ないうちに彼女の座ってた場所のぬくもりを感じなければ……座っていたソファに顔面を押し付け、深呼吸……ン~ナイススメル!


 ×   ×   ×


「それにしてもすごいわね」

「何が」

「あなたのお父さんよ」


 何かすごいようなことしたか?


「あんなに素敵な銃を持ってるんだもん」

「……あぁ」


 そこから、フィールズの魔銃のコレクションについて熱く語られたが、右から左へ受け流した。


『話は聞かせてもらった!』


 突如、部屋に飛び込んできたのは渦中のフィールズだった。


「アマールちゃん! 君は話がわかる子だ!」


 彼は抱えていた魔銃を置きアマールと固い握手。

 そして、魔銃談義に花を咲かせ始めた。


 どんな世界にも『オタク』ってやつは居るんだな……別にやるのは良いけど、僕の部屋でやるのは止めてもらいたい。

 ヒートアップしている二人の間に割って入ることはできなかったので、ミルキーファンタジアを手に、自室を後にした。


 そのまま書斎に移動。

 アテもなく、ここに来たというわけではない。以前、語学の勉強の為に、書斎の本を読み漁っている時に見つけた『刀剣解体絵巻』と言う本を読む為だ。


 六法全書バリの分厚さを持った。ありとあらゆる刀剣を解説している本。

 もしかしたら、ミルキーファンタジアのことを解説しているかもしれないので、参考までにな。ちなみに、ロタリア所蔵のものだ。


 たったの100G(ゴールド)で売っていたのに、片手で振り回せるクレイモア。木は切れなかったが、何故か魔物はスパっと一撃で切れるこの剣のことは、知っておかねばならない……


 ×   ×   ×


 結果として、この剣のことは載ってなさげだ。

 ン~作成は割と最近なのかな?

 それにしても、この剣には銘や製作者のサインが記されていないんだよなぁ〜。


 この本によると、大体の場合柄の部分や刀身にそれらが入っているんだと記されていたが、ミルキーファンタジアには、そのどちらもないのだ。

 これまじで大丈夫なやつなのか?


 しばらく本と格闘したが、やはり見つけられなかった。本棚にソレを戻すと、もう一冊剣に関する本があることを思い出した。


「えっとどこだっけな…………あったあった」


 タイトルは『知っておきたい伝説の武具百選』。

 過去の英雄が、持っていたと言う武器や防具が記されている本だ。

 まぁほとんど創作か、眉唾物ばかりだろうが、一応目を通しておこう。

 なにせファンタジー世界だから、案外伝説級の剣だったりするのかもしれないしな……100Gはないか……






「……………………!!? あった……」


闇剣(えんけん)/闇朱雀(やみすざく):十二国大戦の末期に現れた、勇者ディーラが所持していた剣、ミルキーファンタジアが原点。

 闇の魔王フェザリスクを従えた時、彼から与えられた力により、ミルキーファンタジアが姿を変え、闇朱雀になったと言われている。

 特徴は、圧倒的な軽さ! 見た目は一般的なクレイモアなのだが、片手で振るうことができるほど軽い。そして最大の特徴は、生き物は必ず殺す事が出来るという所だろう。

 命あるものならばどんなものであろうと、一太刀で殺すことができたと言う……』


 ……なんじゃこれ! チート兵器じゃないか!

 やったぜ! これで僕は、最強の剣士になったも同然じゃないか!! と言うか、勇者ルート入ったろ!? てか『生き物絶対殺すマン』になりました!


 いや待て、冷静になれミカルド……そんな、伝説上の剣が売ってるか? 100Gで……偽物の可能性も否定はできない……

 けど、本の絵とも類似しているし、片手で扱えるほど軽く、一発で魔物を倒した。ここは、偽物と疑うよりも

 本物と思った方が幸せだ。


 その後、本を棚に戻し、僕は意気揚々と自室に戻り床についた。

 アマールとフィールズは、未だに魔銃トーークを繰り広げて、僕が戻ったことなど気にしてないみたいだ。二人の話し声が、実に良い子守唄になってくれた。


 次の日、アマールとフィールズはガッツリくまを作り、ヘロヘロだった。朝まで盛り上がっていたのだろう。

 アマールは、縁側で丸くなている。ぽかぽか陽気なので、この時間に就寝だ。






「お父さん行ってらっしゃい」

「お、お~う」


 フィールズに、魔物が現れた場所を書いたメモを渡し、ふらふらと管理区へ向かっていった。頑張れ、施設区の代表!


 ……本当にあれで、大丈夫なのだろうか? また突っぱねられるんじゃなかろうか? 不安だぜ。


「頑張ってね。お父さ~ん」


 フィールズは、手だけをひらひらとさせ、返事してくれた……激しく不安だ。


「頑張るのはあなたもよ。ミカ」

「はいっ!!」

「お、いつもなら『意外!?』みたいな反応するのに、今日はいつになくやる気ね! ……アマールちゃんがいるからね」

「アマールさんがいるからってのもあるけど、僕には目標ができました!」

「目標?」

「そう……僕は勇者になると決めました!」


 一瞬の静寂。


「うん、志が高いことは良いことよ」


 あ、これ信じてないやつだ! 全く夢を忘れた大人はこれだから……僕、三十二だけどな。


 ×   ×   ×


「お願いしますっ!!」

「お願いします」


 今日は道場は、お休み。庭で個人レッスンだ。今日からは、実戦がメインになる。ただひたすら打ち合う苦行だ。怪我不可避!

 僕は流撃の型で挑む!


 お互い一礼を終え、練習用の木刀を手にし――――

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