第十回『めぐりあい武器屋』
これまでの異界交友記:4000と3980ではお得感が違う!
「何かお探しですか〜♪」
「……あ、ハイ……」
「もしかしてお客さん獣人族ですか?ってことはこれが合うかも〜♪」
「……どうですかね?」
「とてもお似合いだと思います。獣人族とダガーは相性抜群です。し・か・も・今年は逆手持ちじゃなくて純手持ちがマストなんですよ〜♪」
「……」
「もしダガーで、お悩みならこちらのクリスダガーなんてどうでしょうか? 波状の刀身がお客様の髪型とマッチして、とても良いと思いますよ〜♪ うん似合う〜♪」
「……槍にしよかな?」
「あらお客様竜騎士なんですね。槍も良いですよねぇ。今イケてる竜騎士の間で流行ってるのが、こちらの槍で今年のトレンドになってるんですよ〜♪ あたしも一本持ってる〜♪」
「……そうなんですか……わかりました。ちょっと他も見てみますね。ありがとうございました」
「はい〜気になるものあったら気軽に声かけてくださいね〜♪」
この店員のお姉さん竜騎士なのかぁ……絶対違うだろう。もし本当にそうだとしても絶対に買わない「あたしも持ってる」とか言われた段階で買う気なくすわ!
結構お世辞言われたけど……どうせ思ってもないんだろ……セールストークって奴だ。こう言うの苦手だわ変な汗かいた。
気を取り直して別を見て回ろう。
移動すると店員のお姉さんもついてくる……圧がすごいな。
数分、お姉さんと無言の攻防の末、向こうが諦めてくれた!
よし! ザマァみろ!
「にしても良いのがないなぁ」
短剣コーナーにあったショートソードにしようかな?
長さ的にはちょうどよかった。長過ぎず短すぎず。軽くはないが成長を見越して買っておくのも良いだろう。価格も2980Gと割と手頃か……
一応、剣のコーナーも見てみよう。
× × ×
やっぱり剣はまだ難しそうだ。持って構えることはできるが、振るのは困難だ。
軽くて僕でも扱えそうなのが売っていたけど、桁が二つ多かった。
『ゼダンソード』と言う剣で、十二本の剣がワンセットになっている。なんでも、各属性が付与された鉱石で打たれた剣らしい……バラ売りしろよ。どっちにしろ高くて買ってもらえないだろうけど……
「やっぱりショートソードだな……」
剣は諦め短剣コーナーに戻る途中、一本の剣が目に止まった。
黒みがかっていて、刀身が一メートル位のクレイモアだ。
他のクレイモアに比べれば短い。鍔は金で、赤い幾何学模様が入っている。
なんとなく手を伸ばす。見た目からだと重さはわからないしな。もしかしたら扱いやすいかも……
「イテ!」
んだよ静電気かよ……店内乾燥してるもんな。
恐る恐る握ってみると、とてもしっくりきた。そして軽い! ちょっと重い短剣って感じ、これだけ軽ければ、平気で振り回せるじゃん。これホントにクレイモアか!
札には『クレイモア:ミルキーファンタジア/100G』と書かれていた。
やっすい!! めちゃクソ安いじゃん! 買ってもらわなくても、自分の小遣いで買えるよ!! 他のクレイモアはちょっとお高めなのに、なんでこんなに安いの?? ま、いっか! これにしよう。
「本当にこれでいいのか? もっと良いのあるぞ?」
「大丈夫だよ。すごく気に入ってる」
「ミカが気に入ってるって言うのら良いけど、後で交換は無しだぞ」
いやぁなかなかいいものだよ。黒みがかった刀身、金の鍔に赤のライン……男心をくすぐるねぇ~まさに厨二臭い!
だけど名前が『ミルキーファンタジア』ってメルヘンチックだな〜。
「まいどあり♪」
「おじさんありがとう」
「良かったな坊主」
店主のおじさんから剣を受け取り店を後にする。
「あんなのうちに置いてあったかな……」
おい、今なんか言ってたぞ『あんなのうちに置いてあったかな』……??
聞き間違いじゃなきゃ良いんだけど……
確かに、クレイモアがあんな値段ってちょっとおかしいよな。粗悪品とか、いわく付きなのだろうか?
もしそうだとしたら表記無しって詐欺じゃない?
不安です。
一応、ここの武器屋の保証ついてるから、なんかあったら持って行こう!
そして、夕方……
「では行ってきます」
「無茶はしても良いけど無理は禁物よ」
「はい気を付けます」
僕はミルキーファンタジアを手に家を出る。
本当なら背負うスタイルなのだが、全長1.3メートルもあるこいつは、今の身長だと地面を擦ってしまう。これじゃあ歩き辛い。かと言って、腰なんてもっと無理、なので手持ちのままになります。
このスタイルでも戦うことは可能だ。何故なら、我が超天山流には『流撃の型』と呼ばれる型がある。
本来は、長剣などで使われる型だ。
この、ミルキーファンタジアなら流用して扱える筈だ。
そして、切れ味だが……全くもって切れなかった! 研がれていないわけではない。
しかし、木の枝すら切れないなんて、要するにこの剣。ただのでかい棒と何ら変わらないのだ……そりゃ100Gだよ……青とか白ゲージまでとは言わないが、せめて緑ゲージくらいはあっても良いんじゃないか。それがまさか、赤ゲージとは……
文句を言いに行くべきか……いや、たった100Gで文句言いに行くのは馬鹿らしいわ。フィールズも、交換は無しと言ってたし……
「おまたせ」
「私も今来たところだから」
アマールは、相変わらずクールな感じだ。
彼女は大きめのカバンを背負っていた。きっと、ライフル型の魔銃が入っているのだろう。
……待てよ。銃刀法とか大丈夫なのか? 剣と魔銃のファンタジー世界とは言え僕は二歳と四歳の超子供なんだけど。
「さ、行こ」
「うん……あの、アマールさん?」
「ん? 何?」
「僕らってこんなに武装してて大丈夫なの?」
「どう言う事? 何か変かな?」
「だってまだ子供だよ。僕は二歳だし」
「意味がよくわからないけど、武器持ってるくらいで捕まるような町じゃないよ。何より、子供が武器持っちゃいけないなんて聞いたことないわ。……狂人族なんて産まれてすぐ武器を持つと聞くし」
なに狂人族怖い! 絶対関わっちゃいけない系の人じゃん。
周りを伺うと、ボクの持ってる剣より、遥かにイカツく、装備レベルの高そうな得物を持ってる人が結構いる。
種族は勿論、性別、年齢もバラバラだ。
「若くしてパーティ組んで冒険者してる人だっているくらいだし……」
なんて会話をしているうちに、例の路地の入口に到着したのだった。




