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第九回『武器は持ってるだけじゃ意味がない』

これまでの異界交友記:二十年くらい遅れて春がきた!

「本当は町の外に出て魔物と戦いながら教えてあげたかったんだけど、時間がないから理屈だけ説明するわね」

「全然大丈夫です」

「動物と魔物の違いは理解してるわね?」

「はい、ツノが有るか無いかですよね」

「よしよし……動物はどうやったら殺せると思う?」


 我が子にする質問かね?


「……えっと、心臓を潰すとか?」

「そうね。動物は心臓を潰したり、首をはねたり、要するに息の根を止めれば大抵殺せます。しかし、魔物はそうはいきません」


 この人何物騒なことサラッと言ってるのかしら。


「奴らを殺すには、額のツノを折るか体内にある『コア』を破壊するしかありません」

「コア?」

「コアというのは魔物にとっての心臓のようなもの。個体によりコアの場所や形状が違います」

「……ちょっといいですか? それ見つけて壊すってちょっと難易度高くないですか? だったら堂々と晒してるツノを折ったほうが楽なんじゃ」

「そうね。ミカの言う通りそれができれば一番いいわ。しかも、魔物のツノが手に入れば超高値で売れる……でもね。そう簡単に折れないのよ。あのツノは、世界で一番硬いの生半可な攻撃ではまず折ることは不可能。折るには、ギリギリまで生命活動を追い込み、絶命の一撃をツノにぶち当てないといけなってシビアなのよ」

「はぁ~なるほど」


 それは無理ゲーだな。部位破壊する条件厳しすぎんだろ。てか神様(運営)は魔物のツノ手に入れさせる気無いな……


「だからコアを狙うわけ。コアは逆に脆く。なんでも良いので一撃与えれば……いや、触れる事さえできれば魔物を殺すことができる」


 おぉ逆にこっちは大分イージーだな! そうか。魔法とか大火力で攻撃することで一気に破壊するんだ。だからアマールはあの時爆発系の魔法を使った。彼女は倒し方を知ってたのね。


「ならコアに触れて倒してから、ツノを引っこ抜けば簡単に大金手に入るんじゃないの?」

「それが、コアを破壊すると魔物自体が跡形もなく消えてなくなるからツノは手に入らないわ」


 確かにあの時跡形もなかったな。そんな簡単な話じゃないか……


「なので魔物と出会ったらまずはコアを探しなさい。攻撃して体内にあるコアを見つけ出し、それを破壊。これが定石ね。コアを破壊しないと首をはねようが、バラバラにしようが再生してしまうから」


 うむ、ライブラ覚えたいぞ……そうすれば体力を確認しながら戦えて、魔物のツノ(一攫千金)を手に入れられるんだが……




 今日の個人レッスンは、これで終わりだった。

 何故かと言うと、これからお買い物に行くからです!


「うっわ~すげ~」

「あんまりはしゃぐなよ。危ないから」


 おっと、年甲斐もなくはしゃいじまった。

 家族三人で訪れたのは、施設区にある『武器屋』だ! RPGに出てくるあの武器屋です!!

 前世ではアキバや、鎌倉にあるお土産屋(武器屋)に行ったことがあるが、まさかガチなのに行くことができるなんて! 異世界様々だな!


 所狭しと武器が並んでいる。奥にはフィッテイングルームも有るので防具なんかも売っているのだろう。心がブレイクダンス!


 本来なら、僕が三歳になった時に買う予定だったらしいが、今回の件により前倒しになったようだ。


「えっとどうしよっかなぁ〜」


 僕の習っている『超天山流』は、剣による戦い方が中心の教えが多い。道場でもメインは剣だ。所謂ロングソード。

 しかし、実際はあらゆる武器の教えが存在する。僕がロタリアから受けている個人レッスンでは、短剣での戦い方がメインだ。


 獣人族(ケムルフィン)は、その身体能力の高さを生かしてテクニカルに戦うのが良いらしい。剣士と言うよりもシーフとか、忍者って感じだな。でも僕は、剣で戦う剣士とか騎士になりたいよ……

 なので買ってもらうのは剣にしよう!


 入り口付近にあった『目玉商品』の剣を手に取ってみる。価格は5000G……商品価値がいまいちわからないので、高いのか安いのかいまいち検討はつかない。


「う、重い……」

「はははっ流石に実剣は重いだろう」


 引き抜くので精一杯、これでは自分(ケムルフィン)の良さが活かせない。やはり、子供では無理か。レベル制限のようなものと考えよう。いきなりエクスカリバーは、装備できないしな。


 レベルの低いうちは、ショボイ武器と相場は決まっている。でもヒノキの棒は嫌だな。


「本格的な剣はもう少し大人になってからね。けど初めて持つ武器ですからね。好きなものを選びなさい。無理して扱えないものはなしよ」

「はぁい。ちょっと見てくるね」




 この武器屋は二階建てで、フロアの広さはコンビニと同じくらい。

 一階は防具売り場。入り口付近に目玉商品や特選品。

 二階に武器が置いてある。


 店内には所狭しと装備品が並べられている……ドンキみたいだ!


「おお……階段にまで並んでるか」


 少しテンションが上がり、ドンキの曲を口ずさみながら二階へ。


「うわぁ〜〜」


 そこには剣、槍、棍、斧等RPGで見かけるものばかり並んでいた。

 短剣のコーナーに陣取り二、三本手に取ってみる。やはり、軽いからか使いやすそうだ。値札を見ると3980Gとなっていた。4000G切ってるので安そうと思うのはどの世界も共通のようだ。


 買い物は即断即決が、ポリシーだがここは慎重に選ぼう。

 渋い顔をして物色していると僕は背後に気配を感じ取った……

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