脱引きこもり、学園入り2
「うむ、書類に不備もなさそうだし…何より、彼女が推薦する人間にわしは興味がある。
よって、この学校に入学することを許可しよう。」
「ありがとうございます。」
全く嬉しくないリュータは棒読みでお礼を言う。
『もしかして、今ここで問題を起こせば入学を取り消せるんじゃ…』
「ちなみに彼女からの伝言だが、ここで問題を起こせばすぐに多くの警官とブリラス家当主が飛んできて、君を捕まえることになっておるらしいの。」
「…なんというビッグ対応」
リュータの考えることなどエリサは見切っている。彼女は、ここでブリラス家当主のことを出しておけば、リュータが大人しくなることもわかっていた。なぜなら、リュータはエリサの父に対して恐怖心を持っているからだ。
「さーて、早く教室に行きたいなぁ。」
先程までとは別人のような対応を取るリュータ。しかし、顔の笑顔は引きつっていた。
「君は十七歳ということで二年のクラスに入ってもらう。クラスはSクラス。」
「はぁ!?
いやいや、ちょっと待ってください」
Sクラスと聞いてリュータは驚き、慌てて校長に抗議する。
ユルトラス高等学校Sクラス。そのクラスは特殊で、選ばれた人間しかいない。一体何で選ばれたかというと、魔力の量だ。
彼らの魔力の量は成人した一般人の数百倍と言われている。魔力が多いということは、イメージを具現化する方法が使える。つまり、魔法の発動に術式を使わない。
もちろん、魔力以外にも魔法を正確にイメージするなどのセンスが必要になり、うまく魔法を使えない者もいる。だが、魔力が多くなければ話にならない。
この学校では、国中からそういった魔力の多い生徒をSクラスに集め、教育・指導してる。
「どうして俺がSクラスなんですか?
あんな術式を無視してピッチングマシーンのように魔法をポンポン打ってくるようなチート連中に紛れて、か弱い少年が生活できるとでも?」
術式を得意とするリュータにとって彼らSクラスは正反対の人間たち。他のクラスに行ったほうが、平穏に過ごせることは間違いない。