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空想の術式師  作者: センサ
脱引きこもり、学園入り
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脱引きこもり、学園入り8



「―――今日の授業はここまで。」





授業を担当していた教師が教室から出ていき、長かった一日が終わった。



生徒たちは教室で友人と話したり、部活動を行ったり、家に帰ったりと、それぞれの放課後を過ごしていた。



リュータも自宅に帰ろうと、教科書を鞄の中に入れる。すると、コウが話しかけてきた。




「リュータって部活何入るか決めた?」



「いや、決めてないけど。」



「それならちょうどいい。」



「俺、部活に入る気はないぞ。面倒くさそうだし。」



「まぁ、今からちょっと付き合え。」



半ば強引にリュータは教室から連れ出された。特にこれからの用事がなかったリュータは渋々コウについていく。



しばらく歩いて別の棟に移動した。



「この棟は部室棟って言って、多くの部活が使用してる。」



コウの説明通り、美術部、演劇部、合唱部、吹奏楽部など様々な部活の名が部屋の壁に記されていた。文化系の部活以外にも、体育系の部活の部室もある。




多くの生徒が廊下を行きかい、部屋から声が聞こえる。その中を、リュータとコウは進んでいく。



一階の廊下の突き当たり、そこにある部屋の前でコウは止まった。




「じゃーん、ここが俺が所属している部活。」




効果音をつけながら、わざとらしく両手を広げるコウ。リュータはそんな彼を無視して、部活の名を読み上げた。



「“古典術式部”?」



「そう、ここは古典術式部。古い書物の残された術式を解読して、新たな術式を作るヒントにしちゃおうっていう部活なんだ。」




「古典術式か…。」



リュータは少し興味をひかれた。今までリュータは多くの術式を見てきた。もちろん古典術式も目にしてきたが、数は少ない。


最近では、エリサが持ち込んでくる事件に使われた術式ばかりで、古い時代に書かれた術式というものはあまり見なくなった。



そういった意味では、古典術式というものに心惹かれる。



「とりあえず、中に入れよ。」



コウは部屋の扉を開けた。




「遅いよ!!コウ君。あれっ?リュータ君もいる。」



部屋の中にはフーナがいた。彼女は部屋中心にあるソファーに座っており、その横にはレナもいた。



他にも、奥の窓際にあるパソコンの前に少年が一人、レナの隣にはもう一人少女が座っていた。



「フーナとレナもこの部活だったのか?」



「うん、そうだよ。」



リュータの問いかけにフーナが頷いた。教室でもこのフーナとレナとコウの三人が話していた場面が多かったが、同じ部活の仲間だったためかとリュータは納得した。




「先輩、この人誰ですか?」



レナの横に座っていた少女がリュータの顔をじっと見て、フーナに質問した。




「リュータ=クロッツ君だよ。今日この学校に入ってきた。」



「ふーん…」



少女は興味なさそうに呟く。



「二年S組のリュータ=クロッツです。」



「S組!?」



驚いた少女はソファーから飛び跳ねた。



「この人がS組ってありえなくないですか!?体も細いし、弱そうなのに…。」



少女は初対面の相手とは思えないほど失礼なことを言った。リュータは引きこもり生活をしていたため、筋肉もあまりついていない。



さすがに少し苛立ったリュータは少女を挑発する。



「お前よりましだわ。貧乳ちゃん。」



「貧乳じゃないです!!」



リュータに指摘されて、少女は顔を赤く染めて自分の胸を両手で隠す。


あまりの低レベルな喧嘩に、フーナは仲裁に入る。



「まぁまぁ、二人とも。リュータ君、この子は一年B組のシリカ=クナリス。」



「…よろしくお願いします、クロッツ先輩。」



嫌々ながら挨拶をするシリカ。



シリカの背はフーナと同じくらいで、モデルのような体形をしている。金色の髪を腰の上まで伸ばしており、いかにもお嬢様のような見た目をしている。



フーナは続いて、パソコンの前に座っている眼鏡をかけたふくよかな少年の紹介をする。



「そして、パソコンを操作しているのが、二年C組のダヴァス=ロデスト君だよ。」



「リュータと言ったな。俺は男に興味はないので話しかける必要はなないぞ。俺に話しかけたいなら、二次元の女の子に転生しろ。話はそれからだ」



「安心しろ。お前みたいな即変態扱いされそうな人間に話しかけられるほどコミュニケーション能力高くないから。」



コウが一番の変態だと思っていたリュータだったが、世の中にはまだまだ強者がいることにリュータは気づかされた。



シリカは冷たい目でダヴァスを見ていた。


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