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恋煩いは医者にも治せない。Ⅰ
「う…」
主治医のアルーゴは熱に魘される王女の傍らに寄る。
「ネタリアーナ王女、どうなされたのです?」
アルーゴはネタリアーナが落ち着くのを待つ。
ようやくうめきが止むと安堵してベッド近くの椅子にかけた。
暫くするとネタリアーナが目を覚まして起き上がる。
「魘されておいででしたよ」
アルーゴはネタリアーナを支えてきちんと起き上がれるようにした。
手渡された水をゆっくり飲むとネタリアーナは夢の内容を話し始める。
「健康になって隣国に嫁ぐ夢を見たの」
アルーゴは何も言わず頷く。
「本当なら…隣国に嫁ぐ年の頃なのだけど…
わたくしはこんな身体だからきっと無理ね」
ネタリアーナは他国に政略として嫁ぐ為に生まれた王女として、嫁げないことを申し訳ないと思うのか、病を憂いているのかそれとも隣国に嫁ぎたかったのかアルーゴは考える。
アルーゴは、王女が健康体でないことは、悲観すると同時に嬉しくもあった。
なぜなら彼はネタリアーナに恋をしていたからだ。