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第二章 5.いざ街へ

「……なんてこった!」


 オレの股間は、「ウルト〇マンでももう少しもっこりしているぞ!」と言いたくなるほど、まっ平らになっていた。


 宇宙人つながりで言えば、リトルグレイか?

 オレのリトルグレイは、アブダクションされてしまったんだろうか?


 混乱のあまり、けっこううまいこと言ってしまったな、テヘペロッ!


 ……ああ、今はそんなこと考えてる場合じゃないんだ!


 オレは邪神くんの言葉を思い出す。


《食事も睡眠も必要としない亜神にも等しい肉体》


 食事も睡眠も……この二つだけなら食事と性欲『を』なんだね。

 日本語って難しい。


 つまりオレたちの身体は、排泄の必要が無く、子供を作る必要もないから、備わっていないという事か?


 納得はいかないけどな!


 ……あの邪神野郎、マジで邪神だな。

 

「なあ、ネム。『何でも分かる帽子』の通信機能を使って、邪神くんと連絡取れないか?」

「……むりみたい。この世界じゃないと出来ないらしいよ」


 不意に浮かぶ、邪心くんとの別れの情景。


《契約書は必要かね?》


 オレは、あの邪神くんのニヤケくさった顔を思い出した。


 あの野郎、分かってやったじゃないだろうな!

 マジでムカムカするぜ!


 この状況、オレの確認不足とはいえ、悪質な詐欺に引っかかったようなものだ。


 クソッ、リコールしたい!


「こんな身体、トータルリコールだ!!」




 その後、何とか落ち着きを取り戻し、出発する事にした。

 パニックにならなかったのは、精神力さんがアップしたおかげだと思う。


 ちなみに、ネムは話せる事が嬉しいらしく、別に気にしていないようだ。

 ネムと相談し、この世界の神さまに出会ったら何とかできないか頼んでみようと言う事になった。


 『なんでも分かる帽子』では、アレを生やす事は出来ないらしい。


 そらぁ、まあ、そうだよね。


 とりあえず、街を目指そう!

 考えるのはその後だ。




「……そうして、我々捜索隊は未開のジャングルを、恐竜の生き残り『ムケーレムベンベ』の住む伝説の湖を求めて――」

「ハルト、しっかりしてっ!」


 街を目指して3日経った。

 もう何日も人に会っていない。

 さすがのオレでも、人恋しくて人恋しくてしょうがなかった。


 出発したばかりの頃に、「街まで直進した方が早くね?」というオレの判断のせいで、散々な目にあった。……とだけ言っておく。


 山をナメていました。

 今となっては本当に反省しています。


 だがその甲斐あってか、オレたちのステータスはかなり上昇していた。……こういう時は、ポジティブシンキングだよね!



●加藤遥斗 

〈基礎能力〉

体力40・筋力41・器用36・敏捷39・精神力31・魔力29

〈スキル〉

『何でも切れる剣』『自己診断』『ソウルイート』『言語・文字理解』『全属性耐性』『自然回復速度UP』『剣術レベル2』『体術レベル2』『弓術レベル1』


●加藤ネム 

〈基礎能力〉

体力39・筋力27・器用29・敏捷42・精神力33・魔力44

〈スキル〉

『何でも分かる帽子』『自己診断』『ソウルイート』『言語・文字理解』『全属性耐性』『自然回復速度UP』『火魔法レベル2』『水魔法レベル1』『土魔法レベル1』『念動力』



 剣術・体術・弓術は山賊ゴブリンという、ファンタジーにありがちなヤツから手に入れた。


 よだれをボトボト垂らしながら、奇声を発して襲ってくるホラーな奴らだった。

 しかも臭い。


 剣術レベルは初め1だったのだが、何度か山賊ゴブリンから吸収したら2に上昇していた。


 スキルポイントとかありそうだな。


 ネムの土魔法は岩を飛ばしてくるモグラから、念動力はミノムシみたいな奴から手に入れたらしい。


 魔法に関しては、ネムに率先して覚えさせているから問題ないのだが、ネムは剣術・体術・弓術を覚える事は出来ないようだ。

 

 これはネムの身体が猫だからだろうか?


 念通力に関しても同様のようで、何度か試したが、オレは覚える事が出来なかった。


 固有スキルみたいなもんかな?

 意外と設定が細かいな。


 この何日かで、オレの服はもうボロボロだ。

 だが、不思議と汗臭くは無い。


 これも『完全なる肉体』の効果なのかね?


 ちなみにネムはきれいだ。

 つややかな黒い毛、フワフワの毛並だ。


 なんたって、移動中はオレの肩の上に居るんだしね。


 だが、ネムも楽をしている訳じゃない。

 『索敵能力』を使い、常に周囲を警戒しているのだ。


 今まで比較的安全に来れたのも、そのお陰だろう。


 ここまでで、ネムが発見、オレが攻撃し、撃ちもらした敵をネムが魔法で殲滅するという連携を確立していた。


 なんだか某アニメ化されたモンスターバトルゲームとは役割が逆だな。「ボク、ネム。こいつが相棒のハルトだ。ヨロシクなっ!行けハルトッ!」て感じだろうか。


 ネムにそんな事言われたら、どこまでだってイッちゃうぜ!?




「……ネム。後、どのくらいで街まで着きそうだ?」


 この発言、ここ何日かのオレの口癖だ。

 もう100回以上は言ってる気がする。


「あと少しで、『かいどう』まで出るよ。もう少しだ、がんばろっ!」


 うん、完全に関係が逆転しているよ。


 だが気にしない。

 こういう時のネムさんは男前である。


 ここ何日かでオレは学んだんだ。

 フフフッ、ネムさんについていけば大丈夫なのだよ。


「おう!街に着いたら美味しいもの食べような。オレはそうだな……焼き肉食いたいな。それに風呂も――」

「――しっ!しずかに……ストップだ!」


 ネムさんのご指示だ。

 こういう時、何か異常事態が発生している事が多い。


 オレは無駄口を止め、すぐに身を屈めると、近くの茂みに身を隠した。


「……だれかが、人間がモンスターにおそわれてる。……かなり強いモンスターだよ」

「どうする?安全のためここで様子をみて、違うルートを探す……か?」

「……ボクはたすけたいな。ダメかな?」


 ネムは耳をピンッと立て、つぶらな瞳で聞いてくる。


 ネムがそう言うなら、実行するのはオレだっ!

 打算的に考えても、ここで恩を売るのは悪くないだろう。


「よし!助けよう。このまま見殺しにしたら寝覚めが悪いからな」

「うんっ!」


 オレとネムはモンスターがいる現場へ急行した。




 だがその時、オレたちは油断していた。

 今まであまりに安全に事が運び、自分たちの能力に慢心していたのだ。


 そのせいで……。


 今となってはそれが悔やんでも悔やみきれない。



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