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第四章 21.三つ指の竜人②

《……ハルト、本気なの?本気であんなひどい事言ったの?》


 ネムが心配そうにオレに念話で聞いてくる。


 本気のワケないっしょ?

 オレはそんな、腐れ外道じゃ無いんだからねっ!


《ネム、丁度いい。これはみんなを助ける作戦なんだ。――オレの合図でみんなの方に回り込んで、風防結界を張ってくれ。そして、おっさんとレイくんを治療してくれ》

《わかった!……ニコラにあやつられているわけじゃないんだよね?信じてるからねっ?》

 

 何だよ、ニコラに操られるってさ?

 相棒のネムたんには、作戦だって気付いて欲しかったぜ?


「く、口から出まかせをっ!こうなれば一人ずつ見せし――」

「――おいおい、御託並べてないで早く殺れよな?何ならオレが殺ってやろうか?足手まといは要らねぇんだよなぁ?人質ごと、お前らを殺ってやるよ!」


 見せしめはマズイ。

 オレは、慌ててマジ○チ発言を追加する。

 

 見ると、ミィーカは震えるオリヴィアを抱きしめて、覚悟の表情でオレに頷いた。

 レイくんは「アイリーンすまねぇ」とか言いながら泣いている。

 おっさんは「……早く楽にしろ」と悟った表情でオレを見つめて来る。


 ……をい、みんな。

 オレって、そんなヤツか?


 おっさんは演技だと信じたい。


 一番付合い長いんだもん。

 オレが演技してるって気付いているよね?


 だが、……勘違いしていたとしても、みんなは悪くないんだ。

 うすうす感じてはいたさ。


 これは『タレ目の呪い』なのだ。

 普段タレ目でお人良しそうに見えるヤツが悪い事をすると、何倍にも悪いヤツに見えてしまうという悲しい呪い。


 ああ、オレのコンプレックスが、トラウマがっ……!


「……人質ごと我らを攻撃すると言うのですか?どこまで野蛮で卑怯な男なんですか、貴方は!?」


 人質取ってるお前に言われたくねぇし。……なんて言っても通じないんだろうな。


 こうなったら、トコトンやってやるぜ!


 オレは、ニヤリと笑って呪文を唱え出す。


「……じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ……かいじゃりすいぎょの……なんちゃらかんちゃら――」

「な!?なんだ、その呪文は!?」

「聞いた事の無い呪文だ!高位魔法か!?」


 オレの呪文(笑)に、慌てだす竜人たち。


 オレは、微笑みながら竜人たちにこう問いかける。


「ヒントをやるよ。――お前ら、この世で一番物質を溶かす性質を持つ液体が、何だか知っているか?」

「――まさか、強酸か!?……そんな!土魔法と水魔法の合成呪文のはず!それをこんな短時間で!?」


 焦る竜人をよそに、コソッと本当の呪文を唱えるオレ。


「……みんな、一瞬で終わりにしてやる。……痛みなんて無いはずだ」


 オレは、慈悲の顔でみんなを見つめた。


「じゃあ、行くぜ?……ウォ――」

「――全員退避だ!」

瀑布(ウォーターフォール)……てけれっつのぱぁ!」


 ザッバッバーン!と豪快な音を立てて、水が滝になってみんなを襲う!


 竜人たちは退避したらしい。

 G並みにすばしこいやつらだな。


 そう、オレが使ったのはただの水魔法。

 オレが汚れを落とす為によく使うアレである。


 ……言っとくけど、軟水で口当たりの良い、美味しい水なんだからね!


 さっきの質問の答えはもちろん「水」だ。

 水って美味しいし、凄いやつなんだぜ?


 この「この世で一番物質を溶かす性質を持つ液体を知っているか?」ってセリフ、一度使ってみたかったんだよね。


 すごく知的な感じがするだろ?


「――なっ?痛くないだろ?」


 乙女チックなポーズでこちらを見つめるミィーカに、オレは優しく告げる。

 ミィーカはウンウン頷きながら自分の顔や身体をペタペタと触り、何ともないか確認しているようだ。


 それにしても、水を被ったミィーカって色っぽいな。

 修道着がはだけてだな……かなり大胆な事になっているよ?……っと、今はそんなこと考えてる場合じゃない。


「今だ、ネム!」

「わかったよ!……しんじてたよ、信じてたからねっ!……風防結界(ウィンドシェル)!」


 ネムさんや、本当に信じている人は、「信じてる」を連呼しないんだよ。


 風防結界を張ったネムは、テキパキとびしょ濡れになったみんなを乾かして回復魔法をかけていく。

 その間に、オレはみんなと竜人たちの間に割り込んで、竜人たちをけん制する。


「バーカ!善なる種族の竜人さまってのは、水が恐くて逃げ出、すチキン野郎の集団だったんだなぁ?……ギャハハハハッ!」

「おのれぇ!謀りおって!」

「ウソついてませんから!物知りなお友だちに聞いておいでよ!知るは一時の恥、知らぬは一生の恥さらし……だぜ?」


 オレ、今まさに絶好調!

 ……使い方は合っているはずだ。


「貴様許さん!……許さんぞぁ!――グハァ」


 油断大敵だぜ!

 オレに文句を言って来た赤竜人の頭に、問答無用でオレの『何でも切れる剣』を突き立てる。


 やはり重たい。

 以前は重さなんか感じる事なく、上に引き上げただけでパックリと切れたはずだ。


 こいつらが固いのか?

 段々と威力が弱くなっているのか?


「まあ、いい。……回れ!」


 オレは『何でも切れる剣』を、赤竜人の頭に突き立てたまま、回転するドリルを思い浮かべる。

 回転する刃もブレードって言うし、剣に間違いないよな?


「グギャ!……グギャグギャ……」


 うへぇ、思ったよりスプラッタな光景だ。

 やらなきゃ良かったぜ。


 オレが『何でも切れる剣』を引き抜くと、赤竜人はそのまま地面に倒れ込み、息を引き取った。


 さてと、これでリーダー格は落としたと。


「おのれ、卑怯な!」

「君たち、戦いに卑怯も何も無いんだよ?」


 オレはまた『何でも切れる剣』を射出する!


 だが、……それを軽々と避けて見せる竜人。


 こいつらの反射速度では、伸びるだけの剣など簡単に対応できると言う事か。

 まあ、一人奇襲で倒した事だし良しとしよう。


「……石弾ストーン・バレット!」


 丁度その時、ネムが魔法を唱え、オレの横へ駆け寄って来た。


「……竜人のヒトかたいね。おまたせっ、ハルト」


 竜人四人組は、ネムの石弾を浴びてもまったく効いている様子が無い。

 それ所か、こちらを見て不敵にニヤリと笑う。

 

「おお、ネム。……みんなは大丈夫かい?」

「うんっ!ハルトのおかげだね。……ボクが三人うけもとうか?」

「いや、半分こしよう。オレが二人受け持つ。――さっさと片付けて、加勢に来てくれよ!」

「わかった!」


 ネムはそう気軽に言い放つと、キリッとした目で竜人たちを睨んだ。


「いくよ?……黒曜結晶の大鎌オブシディアン・デスサイズ


 ネムがそう宣言すると魔力が形となり、ネムの長い尻尾の延長線上に、黒曜石の大鎌が形成される。


 ネムよ、……本気で容赦する気無いな。


 そう、この魔法は現在ネムの近接最強魔法だ。

 オレも一度しか見たことないが、あれは酷いもんだった。


 確か元は『黒曜石の鎌』という、切れば切るほど切れ味が増す鎌を生み出す土魔法だったはずだ。

 それだけでも十分恐ろしいのだが、この魔法にはある『アレンジ』が加えられている。


 それは――


 ……あぶねっ!


 思考の途中で、オレは慌てて身体をひねり青竜人の蹴りをかわす。


 長い竜の爪のついた蹴りは、オレの身体を真っ二つに斬り裂くほどの威力がありそうだ。


 こいつらは、鎧は着ているが武器を携帯していない。

 高い身体能力を使っての格闘技を使うという事か。……硬い身体で懐に入られたらアウトだな。


「――貴様、余裕だな?」


 オレの真後ろから、声がかかる。


 ……しまった!

 後悔しても遅い!


 オレは強引に横に飛びのくが、かわしきる事が出来なかったようだ。

 脇腹を引きちぎられるような、鋭い痛みがオレを襲う。


「――ぐはっ!」


 見ると脇腹の部分の鎧が引き裂かれ、大量に血が噴き出していた。


「ちぃ!……意外と頑丈な鎧だ」


 竜人は憎々しげに黒皮の鎧の切れ端を投げ捨てる。


「ハルト!だいじょうぶ!?」


 ネムが、竜人と戦いながら心配そうに声を荒げた。


「くっ、大丈夫だ。……ネムは、自分の戦いに集中していてくれ!」

「……うん、はやくおわらせるからね!」


 ネムは、竜人二人の怒涛の攻撃を華麗にかわしながら、オレにウインクした。


 ……ネムが来るまで耐えきらないと。


 オレは、『何でも切れる剣』を構える。


 この状況で出し惜しみは出来ない。

 この剣の切れ味が落ちているのか、こいつらが硬いだけなのか分からないが、これを使うしかないだろう。


 みんなにはすでに見られているし、ここはオレが持つ最大火力で戦ってやる。


 ニタニタと笑いながらオレを待つ青竜人と白竜人。


 さっきからオレが攻撃をしかけるのを待っていやがる。

 ひょっとして、オレの強さが見切られたか?


 オレは、脇腹に回復魔法を唱えて竜人二人を睨み付ける。


「おいおい、オレを殺す千載一遇のチャンスに、何も仕掛けて来ないなんてどういうつもりだ?顔のしわ伸ばしに、ボツリヌス菌でも注射してたのかい?」


 助かったとはいえ、この状況は頭にくるな。

 オレは、舐めプされんのが大っ嫌いなんだよ!


「意味の解らない事ばかりほざきおって!」

「そんなに死にたいなら殺してやるよぉ!」


 安い挑発に、竜人二人は見事引っかかり、オレに向け攻撃を仕掛ける。

 オレは、自分の間合いに円を展開する。


 ……青竜人は、そのまま突進して突き。

 ……白竜人は、また後ろに回り込んでの上段蹴りと。


 やっぱりだ。

 冷静に見れば大したことは無い。

 こいつら種族的には優れているが、武術の練度は低い。


 『円の剣陣』良いカモだぜ!


 オレは、竜人二人の通るであろう軌道に向けて剣を置く。


 ――だが、次の瞬間、オレの身体は宙を舞った後、地面に叩き付けらていた。


「っ……!」


 理解出来ない。

 叩きつけられた衝撃でフラフラになりながら、懸命に答えを探す。

 

 確かにオレは、あいつらの軌道に剣を置いたはずだ。

 ……何故だ?


「やはりか。此奴は大したことが無いようだ。……奴の持つ剣、いや、特殊な『武技』の威力は大したものだが、その他はからっきしと見える」

「大方ぁ、剣士シャムロックの亡霊を倒したのもぉ、あの武技による奇襲なんじゃないのぉ?」


 オレは、痛みにかすむ目で必死に竜人二人を見つめる。


 ――変身してやがる。

 

 倒れたオレの前に立つ二人の竜人の顔は、その整った顔の面影がまるで分らないほど醜く歪み変形していた。


 魔族よりお前らの方がよっぽど悪魔じゃねぇか。

 間抜けな変身ポーズはしてくれないって訳か?……期待してたのにな。


 道理で対処できないはずだ。

 途中から、身体能力が変わっていやがったとはな。


「……おい、三本指。やっぱりしわ伸ばしが切れるとただのブ男に逆戻りかよ?」

「貴様ぁ、我々の高貴なる血を侮辱する事は許さんぞぉ!」


 青竜人が怒りに満ちた表情をした瞬間、姿は消え去り、次の瞬間、またしてもオレの身体は宙を舞う。

 そして、岩にぶつかり急停車。


 ……視界が、真っ白になる。


「ぐはっぁ!」


 オレは、血反吐を吐いてその場に倒れた。

 そのオレを、青竜人は容赦なく何度も何度も踏みつける。


「貴様にぃ!我らが善の種族を愚弄した愚かさをぉ!……教育してくれようっ!!」


 いやこいつ、オレを殺さ無い様に手加減して痛めつけてやがる。


 「三本指」発言にブチ切れたってか?

 おいおい、こいつらコンプレックスの塊じゃねぇか。


 隣人には欲しくないタイプ。……こりゃ、カーティス伯爵も苦労した訳だ。


「下等種族のお前に、良い事を教えてやるよぉ。……お前を殺したら、お前が大事に飼ってる闇エルフ(ゴミ)、俺たちを否定した糞種族の番だ。俺達が正義の裁きを下してやるよぁ!罪状は『心優しい』なんて大嘘で、脆弱な人心を惑わせた罪で決まりだなぁ!」


 頭が真っ白になる。

 おっさんたちが人質にされている時に、気が付くべきだった。


 こいつらの狙いはオレだけじゃなかった。

 オレたちを殺した後、クーも殺すつもりなんだ。


 このままじゃクーが危ない。

 リリィが危ない。


 こいつらは、マジで化け物だ。


 別れる時に見た、心配げなクーの顔を思い出す。

 ……リリィだってそうだ。

 アイツ、頼られるのが嬉しいらしく、得意げにオレに手を振っていたんだぞ。


「……おい、オレを殺しに来た事は許してやるよ。だがな、弱いもんに手だして『正義』とかほざいてんじゃねぇよ!」


 オレは、右腕で『何でも切れる剣』の突きを射出する!

 ……だが、その右腕はそのまま青竜人に掴まれる。


 そして――

 ミシミシと右腕が悲鳴を上げた瞬間、焼けるような痛みがオレを襲う。


 痛みと苦痛で吐きそうになる。……涙が止まらない。

 こういう時、脳内麻薬かなんかで痛みがマヒするってのは大嘘だな。


 ミィーカの悲鳴が聞こえる。

 ネムの動きが一瞬止まる。


 ……お前は、自分が生き残る事を考えてくれ。


「本当に弱いな。……『弱者の剣』を使うと聞いておったが、これでは我らが殺したシャムロックには到底及ばない」


 弱者の剣?……円の剣陣の事か?

 シャムロック氏を殺したってどういう事だ?

 確かシャムロック氏は病気で死んだはずだ。


 オレは痛みを堪えながら、湧き上がる疑問を口にする。


「……シャムロック氏は……お前らが殺したのか?」


 痛みでうまく話せない。

 きっと今のオレは、ひどく情けない顔をしてるんだろうな。


 子バカにしたように青竜人が答える。


「ふっ、冥途の土産に教えてやろう。シャムロックは我々が毒殺したのだ。奴の使う弱者の剣術。『円の剣陣』は、人間には過ぎた剣術だったからな」

《……ほう、随分と面白い話をしているな》


 不意に、オレの頭にノイズが走る。

 オレはそのノイズを振り払いながら思考を続けた。


 ……シャムロック氏を毒殺?

 なるほど。こいつらがビビッてたのは、オレがシャムロック氏に勝ったと思っていたからなのね。


 他にも身近で死んだ人物がいたはずだ。


「……まさか……ブルースさんを……殺したのもお前ら……とか言わない…よな?」

「ブルース?ああ、あの人民の先導力が異常な『統星』か。……放っておくと危険な存在になる可能性が高かった為、間引いたはずだ。よく覚えておらんがな。――さて、そろそろ死んでもらおう」


 青竜人は、そう言って爪をオレの頭に近づけた。


 おっさんにも聞こえちまったか?

 ブルースさんの最期を聞いて、おっさんは泣いていた。


 おっさんが殺されなかったのは、人見知りで影響力の少ない、お人良しだったからか?

 その上、ケガまで負ったしな。


 ……ハハハッ、ちょっと笑えてくるぜ。


 おいおい、ミィーカもおっさんもレイくんも、そんな悲しそうな顔すんなよな。

 まだまだオレはやるぜ?


 オレは、左手を突きだして『何でも切れる剣』を呼び出す!


 青竜人は安々とかわした後、オレの左腕を蹴り上げる。

 そして、また面倒くさそうに爪を突き立てた。


「ほら、どうした。それで終わりか?足掻くなら足掻けよ。貴様には、絶望を味わって貰わなくてはな」


 ……不意打ちのつもりだったんだがな。

 もう完全に動きを見切られているようだ。

 

 何だよ……ズルして身体能力ブーストしても、オレはこの程度かよ?


 口だけのただのバカ。

 結局、昔から何も変わらないんだ。


 白竜人を見ると「あの黒猫を倒したら次はお前らだ」とか言いながら、おっさんたちを脅している。


 ……みんなを巻き込んじまった。

 カッコよく助けるつもりが、みんなの前でボコられて殺されるのか。


 最高にカッコ悪ぃな。


 ネムは生きてくれよ。

 お前は、強いし可愛いし、オレの自慢の家族だ。


 クー、ごめんな。

 幸せにしてやりたかった。


 リリィも、これから人生楽しくなるって時に巻き込んじまった。

 あれだけ可愛いのに凄いやつなんだもんな。

 本当にごめん。


 ミィーカだって、これからいい男と出会ったかもしれない。

 優しくて面倒見が良くて……いい女だもんな。

 もしオレに、もっと自信があったら口説いてたかもな。


 おっさんはモニカ先生とイチャイチャ出来ただろうし、レイくんもこれから子供が出来て思い出を積み重ねて行く大事な時だったはずだ。


 オリヴィアだって、良く考えればこの時代に当然の事を言っていただけなんだよな。

 友人が有名人になるチャンスがあったのに、そいつが興味無さそうだったら説得するよな?


 オレ、お前とクーが仲良くなって欲しかったんだ。

 だってさ、不器用で努力家なお前とクーってよく似ていたから、仲良くなれるんじゃないかなって思ったんだよ。


 それなのに、オレのせいで……


 みんなほんとうにごめん!


 ……ああ、死にたくねぇな。

 せっかく、みんなと知り合えたのにな。


《――おいおい、馬鹿弟子。何故諦める?何故我が剣に縋り付かない?……負け犬のお前が、縋り付かなくてどうするんだ?》


 五月蝿いノイズだ。


 オレに師匠なんて居たか?

 師匠は魚屋のおばちゃんか、工場の山田さんくらいしか……。


《本当に馬鹿弟子だな。俺を忘れたのか?……俺は、シャムロック》


 少し照れくさそうに自己紹介をした後、こう付け加えた。


《お前の中の記憶の残滓と、剣に刻まれた記録の集合体。――『剣神』シャムロックだ》


 ノイズはそう告げると、椅子取りゲームで椅子を奪い取るように、オレの身体の主導権を奪って行く。


「さて、お前はそこで見て居ろよ?――俺が仕舞いにしてやろう」


 その直後、オレの口元は、竜人を嘲笑うかの様に嫌らしく吊り上る――様に観えた。




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