第0章 プロローグ
初めて書きます。
自分の考えていることを文章にするってムズカシイですね。
『それ』は暗闇の中で震えていた。
ここが何処なのか分からない。
自分が何者なのかも分からない。
何故自分がここに居るのかだって……。
只々恐ろしくて、寂しくて、このまま自分はずっと一人ぼっちなんじゃないかと不安に怯えていた。
上からは何か重たく冷たいものが落ちてきて、体の体温を容赦無く奪って行く。
下にある物はやはり冷たく、ドロドロとしていて体に纏わりつき、身体を動かす事も儘ならない。
このまま、ボクは消えていくんだろうな。
きっとこのまま、ボクはドロドロに溶けて、下にあるドロドロと混ざっていくんだ。
あっ、もしかしたらボクは、初めからこのドロドロなのかもしれない。
このまま、混ざっていけばこのさみしさや不安も消えてなくなるのかな……。
――でもやっぱり消えたくない。……こわいよ。
それが、己のすべての思い。
少しずつ意識がぼやけて行く。
最早、それの命は数分も持たないだろう。
その時だった。
「ん?何か鳴いたな」
少し離れた場所から声がした。
はじめて聞く声。
お話したい。……助けてほしい!
それは消えかかった命の灯を燃え上がらせ、声を振り絞った。
――ボクはここだよ!助けて!ずっと、ずっと、一人ぼっちでさみしかったんだ。
「この辺りから鳴き声がしたような……」
少しずつ声の主が近づいてくるような気配がする。
「おやおや、ずぶ濡れで、泥だらけじゃないか。親とはぐれたのかい?」
どんな事を話しているのか分からない。
やさしそうな声。
でもなんだか、さみしそうな声。
少しだけ、それはその様に感じた。
――ここは、暗くて寒くてこわいよ……。
おねがい、おねがい助けて!
そしてもっとボクとお話ししてよ。消えたくない、ボクはこのまま消えたくないよ!
それの様子に、彼はやれやれといった風でこう言った。
「オレにはお前の言葉は分からないんだぞ。でも、一人ぼっちみたいだな。こんな所にいたら風邪引いちまうだろうし……しょうがない、家に来るかい?」
オレのアパート、ペット禁止なんだがなぁ。そう彼はつぶやくと、それの身体は宙に浮き、フワフワした物に包まれる。
「子猫か……。家に来るなら名前ぐらい決めないとな。そうだな、名前は――」
そしてその日、彼に包まれたそれは『猫』になった。
ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます。
次回からしばらく主人公視点のお話となります。