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ユウナ様の隣にいる白虎は、ユウナ様に引けをとらないくらい神々しく、ひとつの絵画のようなその光景に思わず喉がなった。
パン
っは!
すっかり意識を持っていかれていた。
「皆様、心の準備ができたかたから魔法陣へ移動してください。」
うーんワクワクしてきた。
ソッと魔法陣の上にのり、呪文を唱えた。
パァ
バサバサバサ
羽音がすると目の前がさっきの明るさとは、反対の漆黒に染まる。
それと同時に何か細い糸が切れた音がした。
プツン
一瞬疑問に思うものの目の前の獣がやけに綺麗に見えたので、直ぐにその考えは消えた。
いや、錯覚なのだろうか。目の前に居るのは、只の烏であるはずなのにみいられる。
そんな事を考えていると、頭に直接響く男とも女ともとれる、中性的な眠気を含んだ声が聞こえた。
<久方ぶりだね。主殿>
「 え?主?ひさ、かたぶりって、どういう…… 」
僕の言葉は、途中で途切れてしまった。何故なら、彼の正体を思い出したからだ。
「もしかして、玄?え?何で?」
驚くのも無理がなかった。
だってこの烏は、地球にいた頃のたった一人(一匹?)の遊び相手だからここにいるはずがなかった。
というか、喋っちゃってるよ!!
でも、あの傷は玄のだし……
ムムムムム
<そんなに悩まんでほしいな。あ、そうそう主殿、契約するなら自分の真名である黒玄で宜しく頼むよ>
やっぱり、玄じゃなくて黒玄なのか
まあ、悩んでも仕方がない
「分かった。契約しよう黒玄。しかし、僕は契約の仕方が分からないんだが……」
<あぁ、それなら簡単だよ。と、その前に名前普段は、玄のままがでいいんで>
「あぁ、分かったよ玄」
<やり方は、召喚獣の一部と召喚者の一部を交換して、同時に互いの真名を 呼べば契約完了だし、自分からは羽を、主殿からは髪の毛一房いただければいいよ>
「わかった。じゃあ早速」
<赤城 誠>「黒玄」
互いの名を言うと、黒玄の羽が体の中に吸収されていった。それと同時にあの声が流れた。
【契約が完了致しました。】