Boot-2「切っ掛け(R)」
作者のcrowです(^_^)/
最近LINEを始めて、それ以来、連絡は結構LINEを使ってます。便利ですよね~
今回の見どころは、現がIDEALを始める切っ掛けが短編とは大きく異なるところです。あとはL○NEの様なアプリにも注目??
それでは本編をどうぞ。
――現の部屋 15時20分頃
「よし、出来た」
自分専用のデスクトップパソコンの前でそう言って、現は出来上がったアバターを画面上で360°回転させてみた。
現はアバターを出来る限りリアルの自分に合わせて作っていた。その為、リアルの現と明らかに変えたのは瞳の色だけだった。
キャラメイクに30分も費やした甲斐あって理想のアバターが出来上がったものの、初期装備では、地味で如何にも最弱といった雰囲気が滲み出ていた。
「うーん、まだ最初だからあんまり可愛くはないけど……ま、いっか」
と、現はその点に関してはすぐに妥協し、手元の携帯を操作してメモを確認した。
――3時半に『天樹』の広場に集合してtask探し開始
そう、現がこのMMORPG『IDEAL』を始めた切っ掛けというのは翼に深く関係していた。
――約1時間前 翼の部屋の前
「それでね……えっと、ね……あとは……――」
部屋の前で、一切の返事もないまま、それでも現は翼に向けて学校の事を話し続けた。
しかし、10数分も1人で話すほど現は話題を用意してなかった。2人の間に沈黙が流れた。
「ごめんなさいね」
現が顔を上げると隣に翼の祖母が立っていた。
「い、いえ」
「たぶん、翼ちゃんこの時間はゲームに没頭してるから聞こえてないのかもしれないわ」
「ゲーム、ですか?」
「ええ、何でもコンピュータで遠くの人と一緒に遊んでるそうなの」
現は祖母がパソコンを扱えない事を察し、詳しい説明は省いて要点だけ尋ねた。
「は、はあ。あの、それっていつ頃、終わりますか?」
「このくらいの時間だと夕飯くらいかしら……?」
それを聞いて、現は即決した。
「そうですか、それじゃまた後日改めて伺わせて頂きます」
「ごめんなさいね。翼ちゃんには現ちゃんが来た事、伝えとくわね」
祖母がとても親切な事に心底、感謝しつつ現は別れの言葉を告げた。
「宜しくお願いします。それでは、私は失礼します」
現は祖母へ一礼すると昊家を出た。
――約40分前 旻家 現の部屋
「はあぁ~あ」
現は深い溜め息と共にベッドに倒れ込んだ。そして、安請け合いした事を後悔した。
「何で私あんな事、言っちゃったかな……?」
事の発端は終業式の後、担任に呼び出された事だった。
――……
「なあ、旻。ウチのクラスの不登校児って知ってるか?」
「はい。確か、昊 翼さん、でしたっけ? それがどうかしましたか?」
「この夏休み中にそいつの家に行って、新学期から学校に来るように説得して貰えないかな、なんて」
「えっ、私がですか?」
「ああ。だって、俺が行くと説教みたいになるし、クラスメイトであるお前の方が年も近いから共感できる部分があるだろうし、何よりお前の家からまあまあ近い。ま、クラス委員長としてクラスメイトをまとめると思ってよろしく頼むよ~」
「は、はあ」
「おお、そうか。引き受けてくれるか。これ、昊の住所な。じゃ、よろしくな」
……――
思い出せば思い出す程、現は押し付けられた感が否めなかった。しかし、一度引き受けたからにはもう引き返せはしなかった。
「ま、なんだかんだ言っても最終的に学校に来るかどうか決めるのは私じゃないし」
そう、吐き捨てる様に言って現はベッドに突っ伏した。
すると、現のポケットに在った携帯が軽快な音を立てた。それは通信アプリ『KIZUNA』の着信を示す合図だった。
「えっと、アンちゃんからだ」
――KIZUNA 高校の友達グループ
アン:アキ、ナツゾラ タスクってどんな人だった?
アキ:引き籠ってゲームやってるみたいで会えなかった
チカ:ゲームってオンラインか?
(ちょっ、食い付くとこ、そこ……!?)
アキ:詳しくは知らないけど、そうみたい
アン:そっか、それは残念。きっと、デブで油っぽくてメガネのキモオタだよ
(アンちゃん、何を期待してたのよ……)
チカ:アタシ達のやってる『IDEAL』っていうMMOでヤバいプレイヤーが居るんだけど、そいつの名前もtaskなんだよ
ケンゾー:それって、ソロで雨龍討伐したって今朝も話題になってたtask?
(『IDEAL』のtask……知らないなあ)
ケンゾー:そうだ、アキちゃんも『IDEAL』始めてみる?
アン:そうだよ、アキもやろうよ!
チカ:いいね、アタシ達が手取り足取り教えてやるよ
(えっ、私!?)
ケンゾー:アキちゃんはどんなJOBが似合うかな?
アン:そりゃあ「歌手」でしょ! 歌、上手いし!
チカ:ああ、でも「舞踏家」とかも似合うだろーな
ケンゾー:僕的には「秘書」とかよさそうだけど
……――
そこで現は、自分のゲーム参加が既に決定事項になっている事に気づいた。
「ちょっ、勝手に話が進んでるし……」
結局、現は皆の期待を裏切れず『IDEAL』を始める事にした。
そして、現は始めるにあたって条件を付けた。それは、このゲームの有名人・task(=翼であると信じ)に会って皆で学校に来る様に説得する事、と。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
L○NEアプリの件は最初、『LAIN』にしようか迷ったのですが敢えて『KIZUNA』にしました。
さて、次話の投稿は2014年5月13日午前9時頃を予定しています。
それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/