Standby-2「女の勘(R)」
作者のcrowです(^_^)/
今回注目してほしいところは、某検索結果一覧のクォリティですね。
某検索エンジンの検索結果を参考に、仕様は有名SNSを参考にしました。
それでは、本編をどうぞ(^_^)/
――19時30分 昊家 ダイニング
昊家のダイニングにはテーブルと5脚のイスの他に中型のテレビがある。
席はどの位置からでもテレビが見られるようにテレビ正面に3席、テーブルの両端に1席ずつある。
翼の席は正面3席の向かって右だ。その左隣に祖母が座り、その更に左に祖父が座る。
翼達がダイニングに着くと、真っ先にテレビの音が耳に入ってきた。
『――続いてのニュースです。本日未明、「雨雲社」のサーバーがハッキングされました。ハッキングされたのは「雨雲社」がクラウドとして提供しているサーバーで、実際の被害を受けたのは「RYUZUコーポレーション」です』
そこで先に居た祖父が、翼がやって来たのに気づきテレビを切った。
昊家では、食事中は家族の会話を重んじるらしく基本的にテレビは点けない。
「さ、飯にするか」
「はいはい」
祖父が快活な笑みを浮かべて言い、祖母も笑顔でその言葉に応じた。
その光景は、正に仲の良い老年夫婦そのものだった。
祖母と翼が席に着くと、既に卓上には3人分の夕飯が用意されていた。
今日の献立は、焼き魚(鮭)とサラダ、味噌汁というヘルシーでシンプルなものだった。
祖父母の「いただきます」を合図に食事を始めると、祖父と祖母が今日の出来事や夕飯の感想を言ったりしていたが、その輪に翼は入ろうとしなかった。
しかし、それも祖母から話を振られるまでの間だけだった。
「そう言えば、翼ちゃん。今日、現ちゃんって子が来たわよ?」
「……うん」
「おぉ、友達か?」
「……」
嬉しさが滲み出る様な祖父の問いかけに、翼は何も言えなかった。
「違う、のか……?」
「おじいさん」
祖母の一言で察したのか、祖父は頭を掻き、苦笑を浮かべるとそれ以上、現の件は口にしなかった。
「そうそう、また来るって」
「……うん」
誰も話さないと、ダイニングは時計の秒針と咀嚼音しか聞こえなくなる。
しかし、沈黙もそう長くは続かなかった。
「そ、そうだ、明日辺りどこか出掛けるなんて……どうだ?」
「いいですね。どこにしましょう~?」
祖父母はとっくに60歳を超え、定年退職して年金生活を送っている。
故に、今日も明日も明後日も休日だ。
そして、それは引き篭もりの翼も同様だ。
「お、そうだな……山でも海でもいいぞ」
「屋内にしましょ」
その提案に祖母が即座に有無を言わさないトーンの発言で、一瞬にして祖父を凍りつかせた。
しかし、すぐに気を取り直し、祖父は提案を再開した。
「ゴホン、そうだな。屋内にしよう。プールか? それとも――」
けれど、今度は翼が祖父の提案を遮る様に席を立ちながら、ぼそりと呟いた。
「……行かない」
「あっ、翼ちゃん……」
祖母の制止も聞かず、翼は自室へと早足で去って行った。
ダイニングに残された祖父母が翼が去った方を見ながら話し始めた。
「まだ、傷は癒えない……か」
「あなたがいきなり、山や海なんて言うからですよ」
「ああ、悪かったよ。翼の友達が来るなんて珍しかったから、嬉しかったんだよ。前に進もうとしてるなら何とかしてあげたいと思う」
「それは、私も同じですよ」
「それなら、やっぱり、少しずつ外に慣れるのが――」
言いながら立ち上がった祖父を、諌める様に祖母は俯きながら言った。
「でも、まだその時じゃないんですよ」
祖母の意図を知るべく、祖父は再び椅子に腰を下ろした。
「その根拠は?」
「女の勘です」
そう言い張る祖母の顔は自信に満ち溢れていた。
――同刻 旻家
翼より先にログアウトした現は現在に至るまでネットで『IDEAL』のtaskについて調べていた。
――約30分前
ゲーム内の情報、況してや一プレイヤーの情報が外部で記事にされる事は少なく、それこそ『8G4C』の様な超有名人になっても、世間は「所詮ゲームの中の有名人」という認識。
当然、普通に検索してもtaskの正体に辿りつける様なものに出遭える筈もなかった。
しかし、その状況はいとも容易く打破された。
つまるところ、世間の認識がたとえどれだけ冷たくても、内輪の人間からすれば『8G4C』の動向や新領地の開拓はビッグニュースに他ならない。
そんな情報の集まる打って付けの場所に現は辿り着いた。
そう、登録者専用掲示板だ。
なんとこの掲示板、外部からのキーワード検索に引っ掛からない代わりに、内部からスレッドやレスポンスのキーワード検索ができる仕様になっている。
「えっと、じゃあ……『task』っと」
軽い気持ちで現がエンターキーを押した瞬間、3億件を超す検索結果が現れた。
「え……これ、全部タスクの記事……?」
正確には、レスポンスも含まれているので同一スレッドの内容が複数引っ掛かっている場合もあるので記事数ではない。
それは検索オプションで設定できるのだが、現はそんな事よりも目の前の情報の吟味を始めていた。
――登録者専用掲示板 検索結果『task』 387828171件
結局****の正体ってtaskさんなの……?(2XX4/07/22(木)18:59:02)人気投票45
taskさん断トツ人気!!(2XX4/07/22(木)18:58:31)人気投票45
taskさん人気杉ww(2XX4/07/22(木)18:57:49)人気投票45
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知ったか乙 taskさんはそういうことする人じゃねーから(2XX4/07/22(木)16:03:11)PK情報254
天樹の犯人taskじゃね(2XX4/07/22(木)16:02:38)PK情報254
ジャージに大剣って……taskさんじゃね?(2XX4/07/22(木)16:01:59)PK情報254
<START 1 2 3 4 5 … 387827 387828 387829 END>
1000件ずつ表示
上から下までざっと見た現は、溜め息混じりに感想を述べた。
「はぁ、なんかあんまり大した情報ないかも……」
しかし、現に残された方法がこれ以外にないのも事実だった。
「あー、やりますよ。やってやりますよー」
やけくそ気味にそう言った現は、3億件超のコメントの最初から目を通し始めた。
――そして、現在に至る
なんと現在のページは――1ページ。
先程から1ページも進んでいないのだが、それもその筈。
この検索結果、リアルタイムで更新されるせいで一向にページが進まない。少し進むと「○件の追加」と表示され、結果が下にズレて行く。
「ああ、もう! 今、読んでたのに!」
今まで黙々と読んでいたが度重なる邪魔に、現の集中力は完全に乱れてしまった。
「あー、もうダメ。小腹も空いて来たし……」
ふとPCの時刻を確認すると、調べ始めてから既に30分近く経過していた。
「はぁあ、何か食べよーっと」
そう言って、伸びをしながら現は自室を出た。
――旻家 キッチン&ダイニング
明るかった自室から一変、暗がりの中を現は真っ直ぐ目的地へと進んだ。
そう、冷蔵庫へと。
キッチンエリアの最奥に位置する3段構造の白を基調とした冷蔵庫。現はその最上段の戸を開けた。
「え、何にもないじゃん……」
3段ある冷蔵室の中は文字通りからっぽで、ドアポケットにも飲料水はなかった。
続いて、2段目の戸を開けるが野菜室もからっぽだった。
「ま、まさかね……」
恐る恐る、現は3段目の戸に手をかけ、祈る様に開けた。現の願いが届いたのか、冷凍室の中には開封済みの冷凍食品が数品保管されていた。
「ああ、よかったぁ」
安堵の溜め息を吐きながら、その中から手頃な解凍時間の「焼きおにぎり」を取り出し、電子レンジへと放り込んだ。
「3分……30秒っと、スタート」
電子レンジ内のターンテーブルが回り、中の「焼きおにぎり」もそれに追従して回った。
それを見ながら現は不意にポケットの携帯端末へと手を伸ばした。
「みんなに8時にまた集合って連絡しなきゃ」
連絡アプリ「KIZUNA」を起動し、4人宛て(グループ)にその旨を書き込むと、すぐに了承の返事がきた。
現が一息吐くと丁度、電子レンジの温めが終わった。
「あっ、つぅ~~!?」
電子レンジからすぐに取り出し頬張ると、焼きおにぎりの内側は外側よりも熱く、現は口から湯気を吹いた。
幸い、現は猫舌ではなかったので、熱さに驚きはしたものの温めた3個の焼きおにぎりを程なく平らげた。
「よーし、もう1回集中して情報収集するぞー!」
小腹を満たした現は、軽い足取りで自室へと戻った。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
検索結果一覧は如何だったでしょうか?
ちなみにtaskの検索結果総数…387,828,171は「さ・よう・な・や・つ・は・い・な・い」の語呂合わせでした。
最後に、感想・批評・アドバイス(参考資料)など募集中です。
お気軽にコメントくださいm(_ _)m
さて、次回の投稿は2015年03月24日午前9時頃を予定しています。
それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/




