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IDEAL―仮想理想世界― /Chapter-1「何でも屋《マスター・オーダー》」  作者: crow
Episode-3「必要悪《ネセサリーイビル》」
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Restart-2「運命(V)」

 作者のcrowです(^_^)/



 今回の見どころは、なぜルートはタスクを追い回すのか、その真相(?)について触れるところです。


 その真相を明かす関係で今回は結構長めです。



 まあ、真相について作者から一言……「勘違いって怖いね」、以上。



 それでは、本編をどうぞ(^_^)/



―※2015年2月25日更新※―


 どうも、久しぶりの追加更新です(^_^)/


 早速、本題ですが今回はプラスな報告です。


 ブクマ登録、1件増えました。ブクマして下さった方、ありがとうございますm(_ _)m



 毎度おなじみの近況報告に移りたいと思います。


 現在はStandby-3を書いてます。内容は話せませんが、次のRestart-3で新展開があり、次のタスクの方向性(?)が決定します。


 勿論、キーの育成をすっぽかしたりはしません。それを見ながら、タスクも活動していく、という感じになります。


 Chapter-1(第1章)も、もう終わりが近づいているのでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、章のタイトル「何でも屋(マスターオーダー)」の通り、タスクは自分にできる事なら何でもします。


 キーが起こした問題、然り。ペイントの地下送迎、然り。クエリーの1件、然り。どれも報酬などもらっていません。タスクが勝手にやっています。


 Chapter-1ではそんな「何でも屋」の「(頼んでないし、報酬もないのに)何でもする」タスクを描ければと思って書いていました。


 実は、キーなんかよりもタスクの方がトラブルメーカーなのでは??



 以上、近況報告と1章のテーマ的な何かでした。



 次回もよろしくお願いしますm(_ _)m



――19時5分 『天樹』 中央広場



「『それで一体、俺に何の用だよ?』」


 開口一番、taskはrootへと心底面倒くさそうに尋ねた。勿論、taskはボイスチャットではないが、文面からでも面倒くささが滲み出る様に伝わってきた。


 当然ながら、それに気づかない程rootも鈍感ではない。


「なっ!? 用……そうですわね。用があるのはタスク様の方でなくって?」


「『?』」


 呼び止められた側のtaskが、呼び止めた側のrootに用がある訳がない、と頭上に浮かんだクエスチョンマークをそのままメッセージにした。


「ほ、ほら。先程の件でわたくしに言いたい事があるのではなくって?」


「『……』」


 rootの言う、先程の件とやらがtaskには皆目見当がつかなかった。


 3点リーダ×2のループを表示し続けると、痺れを切らしたrootがぽつぽつと語り出した。


「先程……ここで……襲われていたのを……」


 そこまでrootに言わせ、taskはやっと意図を察した。


「『ああ、助太刀ありがとな。あれがなかったら、ヤバかったよ』」


 taskが素直に感謝すると、rootの機嫌は一気に回復した。


「ふふん、礼には及びませんわ」


「『そっか。じゃあ、俺もう落ちるから』」


「ちょっと!」


「『まだ何かあるのか?』」


「久しぶりに話すのに、冷たくはありませんこと!?」


「『じゃあ、どうしろと?』」


「お話をしましょう。そうですね、私に何か聞きたい事はありませんか?」


「『じゃあ、帰っていいか?』」


「いけません! それ以外で何かないんですの?」


(こりゃあ、何か聞かないと梃子でも動かねえな……って言っても聞きたい事なんて――)


 その時、taskの脳裏にrootに対する根本的な疑問が浮かんだ。


「『聞きたい事あったぞ』」


「はい、何ですか?」


「『何で、俺なんだ?』」


 そんな事を今更と思ったが、そもそもこの現状をtaskが受け入れる必要はどこにあるのか。


 言うまでもなく、task側にはrootに付き纏わられるに値する事柄は皆目見当がつかない。


 すると、rootは「その様な事ですか」と言いたげな調子で淡々とその内容を語った。


「それは、タスク様が私を助けて下さったあの時に私は運命を感じたのです。この方がきっと私の――未来の夫だと」


 言いようのない感情がtaskの中を渦巻き、たっぷりと時間をかけ言語化されていった。


 それを、taskの返答を今か今かと待っているrootへと容赦なく送信した。


「『IDEALに結婚システムはないぞ』」


 悩みに悩んだ末、taskは十数行に達する罵詈雑言を消去し、この1文に集約した。


 飽くまで、rootの想いを否定する訳でもなく、受容する訳でもない。


 そもそもの間違いを正すのなら、taskはrootの発言を冗談だと受け取ったところからだろうか。


 流石のrootもこの返しには堪忍袋の緒が切れた。


「現実の話ですわ!」


 その透き通る様な甲高い声に、チャットをパブリックにしていた周囲のアバター達が一斉にtask達の方を振り返った。


「おほほ、何でもありませんわ」


 そう言って、周りのアバターに笑顔を振り撒くrootを横目に、taskは今すぐ帰りたい気持ちで一杯だった。


 一通りの挨拶を終えたrootに、taskは真剣に反論した。


「『大体、あれを助けたって言われてもだな』」


 すると、rootはお芝居の様に大袈裟な抑揚をつけ、taskの次の言葉を遮る様に語り出した。


「ええ、あの御恩は一生忘れませんわ。あれは私がここに来て間もない頃の事でしたわ」


 それを合図に、rootのrootによるtaskの為のroot劇場が開演した。




――2XX2年1月11日(2年半前) WhiteRoad 第2国家『匣』



 それは、『匣』の南端で起きたちょっとしたトラブルだった。


 『匣』という領土はオフィシャルアバターによって統治されている割に、その南端には誰の土地でもない空地がでかでかと存在していた。


 その空地は大きく2つのエリアに分けられ、1つは木々が生い茂る森林エリア、もう1つは森林エリアから木々を伐採した様な荒地エリア。


 どちらも地面は舗装されておらず土のままで、一見するとキャンプ場に見えなくもない。


 トラブルが起きたのはその荒地エリアの方だった。


 その日は丁度、物好きが集まって露店を開いていた。事前に告知があったのか、相当な人数が集まり、露店は露店通りと化していた。


 来訪者を歓迎する入口のアーチには「二セレブ通り」と書かれていた。



――南端 入口付近



 そこには、3人の男女が居た。


「そんなに金持ちなら、ここで何か買ってきてみろよ」


 鎧を着込んだ大柄な男(LV50)が挑発する様に言った。


「そう、そう。ここはセレブの密会場・二セレブ通り。レートなんかその辺の店の何千、何万倍だぜ」


 ローブを纏った細身の男(LV45)が、笑いを堪える様に言った。


 しかし、その矛先を向けられている煌びやかな衣装を着込んだ少女(LV5)は、男達の期待を裏切る様に毅然としていた調子で言った。


わたくしを誰だと思ってますの? セレブ通り……私にピッタリですわ」


 言うや否や、男達を置いて1人、若かりし頃のrootは二セレブ通りへと入っていった。


(高いと言っても、ゲームなのですから。高が知れていますわ)


「安いよ、安いよー! なんと中食1個100Mメガエンだよー!」


「ウチは隣よりも安いよー! 中食2個190Mメガエンだよー!」


「は?」


(メガって……確か、100万円ですわね? その100倍って――1億!? それに、円? リアル・マネー・トレード……いえ、こんなに大っぴらには無理ですわ。という事は、課金したお金を換金もしくは為替?)


「うーん、2個も要らないし……やっぱこっちの店で買おうかな。中食1個ください」


「毎度! 確かに100M」


(1億の商談があんなあっさりと成立!?)


 rootはその光景に自分の目を疑った。しかし、その光景を見て誰も足を止めないし、称賛の拍手もない。それはまるで見慣れた光景とでも言うかの如く、誰もが素通りだった。


(ぼ、ぼったくりもいいところですわ! 中食なんてショップで1000iで買える商品ですのに、それを――)


 こんな高額で買って何の意味が、と言いかけて止める。


(いいえ、違いますわ。きっと、ここでは如何に安い物を高く買うかで、その人のセレブとしての格が付けられるのですわ)


 rootの「セレブ=余裕」という関連付けが災いし、そんな結論を導き出した。


 丁度その時、rootの目の前をここでの通貨を為替してくれるメイド服の女性が通った。


「エン為替、承ってまーす」


(装備を整える為に課金した残りは……まだ1万弱、ありますわね)


 リアルマネーの残りを確認し、意を決してrootはその人を呼び止めた。


「ちょっといいかしら?」


「はーい、いくら替えますか?」


「0.01Mでお願いしますわ」


「え? すみません、100Mからお願いします」


「ひ、100Mから!?」


 驚きの下限額にrootは黙り込んでしまい、メイドさんも客に黙り込まれて、待つべきか、去ってよいのか、あたふたしていた。


「あ、あのぉ、お客様……? 替えますか、それとも止めますか?」


 メイドさんの催促も、rootの耳まで届いていなかった。そして返事の代わりに、rootからぼそぼそと呟きが漏れ聞こえてきた。


「1億から1億から1億から……」


 一向に立ち直る気配のないrootにもう1度催促しようとした――その時、困り果てたメイドさんに救世主が現れた。


 それはピコンという軽快な音と共に現れた。


「『為替お願いします』」


「はーい」


「『あと、そこのアンタ』」


 2度目の軽快な音でやっと我に返ったrootは、目の前のジャージ姿の青年に手招きのモーションをされている事に気づいた。


(何ですの、このみすぼらしい殿方は……? それに、私をアンタ呼ばわりとは失礼な!)


 と、セレブの余裕は何処いずこにと聞きたくなる勢いでrootは憤慨し、声を荒らげた。


「アンタではありませんわ。私の名前はルート。それで、何ですの?」


「『んじゃ、ルート。ここの為替レート、100i → 100Mエン だから』」


 青年はそれだけrootに言うと、メイドの方へと振り返ってしまった。


「いくら替えますか?」


「『1000i』」


「はーい、1000Mになりまーす」


「『どうもm(_ _)m』」


「……お待ちになって!」


 そして、何事もなかったかの如く青年はその場を去ろうとし、rootがそれを呼び止めた。


「『?』」


 文字通りクエスチョンマークを頭に浮かべる青年に、珍しくrootは恥ずかしそうに小声で言った。


「先程はありがとうございました。それと不遜な態度、お詫び申し上げます」


 まだ慣れていないのか、言ってから相当遅れてお辞儀のモーションが行われた。


「『別に気にするな。こっちも気にしてない』」


 それだけ言って、青年はまた歩き出した。


(あ、まだ聞きたい事はあるのに、もう!)


 それをrootは透かさず呼び止めようとしたが、そこで相手の名前を知らない事に気づく。


 遠ざかる青年に、今度は少し大きめな声でrootは言う。


「あの……貴方あなたの名前は?」


 青年は振り返り――


「『俺はタスクだ』」



……――



「その時、私は確かにビビッと運命を感じましたわ」


 一通り話し終えたrootがどこに何の運命を感じたのか、taskにはまるで理解出来なかった。


 それにあの一件以来、rootはtaskの店を訪れ正式に初心者支援の契約を交わし、半年程面倒を見て、目標レベルに到達したので解約した。


 その際に、taskを師匠などと仰ぐ事を禁じ、極力関わらない事を約束させた。


 しかしrootはその後も、taskを追い回す為にギルドを作り、ギルドメンバー総出で追い回す始末。


 もし恋愛的な意味で運命を感じたと言っているのなら、今rootがやっているのは立派なストーキング、もしくは嫌がらせだ。


 taskはそんなrootのどこに恋愛感情を抱けばいいのか、思考を放棄した。



 ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m



 ルートの過去話は如何だったでしょうか?


 そういえば、今作中で過去を掘り下げたのはルートが初でしたね。


 特に、ルートへの思い入れが強いという事はないのですが……強いて言えば、書き易かったというのが第一の理由ですかね。あとは、結構以前から話がまとまっていたというのも理由の一つですね。



 最後に、感想・批評・アドバイス(参考資料)など募集中です。


 「○○というゲーム(アニメ・漫画・小説・伝承)の~~というシステム(仕様・世界観・流れ・逸話)が面白いですよ」とかで構いません(^_^)/


 お気軽にコメントくださいm(_ _)m



 さて、次回の投稿は2015年03月03日午前9時頃を予定しています。


 それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/


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