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IDEAL―仮想理想世界― /Chapter-1「何でも屋《マスター・オーダー》」  作者: crow
Episode-3「必要悪《ネセサリーイビル》」
52/69

Restart-1「シークレット・チャット(V)」


 作者のcrowです(^_^)/


 今回の見どころは、あのキャラが再登場します(^^)


 ネタバレはしたくないので、ここではこれ以上書きませんが、是非、予想してみてください。



 <再登場予想人物一覧>


・クラッシュ

・ナル

・ルート

・デバッガー

・ゲートキーパー

・ディスクロージャー

・シェル

・スプーフ

・サイレントバンカー

・アクセル

・クッキー


 決まりましたか?


 それでは、本編をどうぞ(^_^)/



――demonとqueryの和解後



 taskとdemonのおかげで『塩砦』脱出は無事完了し、一同は『鬼龍』に着いた。


 そこでdemonとqueryはミッション完了の報告と、sizingの救出の為、task達と別れた。


 ちなみに今回入手したアイテムの分配は後日、demon立会いの下で行われる事となった。


 その後4人は、paint達の待つ『天樹』へと徒歩で帰還――現在に至る。



――19時 『天樹』 中央広場



「おお、ペイントー! 無事だったか!」


「それはこっちのセリフだよ……2人とも無事でよかったよ」


 key達が再会を喜ぶ傍らで、bitはtaskに声を潜めて尋ねていた。


「その様子だと全て解決した、という事かな?」


「『まあな』」


「結局、彼女は……いや、この話はもう止そう。解決したのなら、この噂は虚偽となる。虚偽なのだから、それ以上は何もない。これで、デバッガーからの依頼は済んだ」


「『お前のそういう必要以上に踏み込まないところ、嫌いじゃないぜ』」


「ははっ、それはどうも。でも、残念だ」


 そこで一旦言葉を切ると、bitから先程までの明るい調子とは打って変わった真剣な声が紡がれる。


「……ここからは、『IDEAL』の一プレイヤー・ビットの好奇心を満たす為に何があったのか伺いたい」


 それを聞いたtaskはうんともすんとも言わなかったが、bitに届いたシステムメッセージがtaskの意図を代弁していた。


『taskさんからシークレットチャットへの招待が届いています』


{ 【 入室 】・ 拒否 }


 シークレットチャットとは、いわゆるプライベートな事を話す際に特定の個人にしか聞こえない(見えない)ようにするチャットである。


 はっきり言って、プライベートな事を話すなら、パーティーを組んでプライベート状態にして話せば済むのだが、taskが敢えてそうしなかったのは、keyが居るからだった。


 queryの騒動で安全に『塩砦』を抜ける為、taskはkeyとパーティーを組んでいた。


 今、突然パーティーを解散し、bitと組んだ場合、トラブルメーカーでどんな事にも首を突っ込むkeyが黙っているとは考えにくい。


 その意図を察し、bitは迷わず入室を選択した。


 入室したからと言って、画面に大きな変化はない。


 アイコンが増え、チャット欄のタイトルがシークレットチャットになり、他の人に自分の声とメッセージが届かず、同室の相手の声とメッセージが見えるというだけ。


 パーティーチャットと違い、外の音も拾えるのであとはシークレットチャットがバレない様にするだけ。


 とりあえずbitは、key達の方を向いて呆れ顔のエモーションをしておいた。


 すると、早速taskからbitにしか見えないメッセージが表示された。


「『すまんな、アイツを巻き込みたくはないんだ』」


「ははっ、彼等ではなく、彼女だけかい? もしかして、本当に――」


「『あの中で見境なく首突っ込むのはアイツだけだろ』」


「ふっ、そういう事にしておこうか。さあ、本題に入ろう」


 急な話の振り方に、taskは多少戸惑ったがすぐに端的な回答を返した。


「『クエリーをPKに仕向けた黒幕が居た』」


「ふむ……黒幕の狙いは?」


「『恐らくは術師連合の信用の失墜』」


「ふむふむ、黒幕の心当たりは?」


「『白々しいな。そんな事するのはアイツ等しかいないだろ』」


 その言葉を見て、bitは勿体ぶる様に間を置いて返答した。


「……(仮)平和協会、だね」


「『なぜ術師連合を狙ったのかは分からんが、これだけで終わるとは思えない。気をつけろよ』」


「ははっ、忠告どうも。でも心配には及ばないよ。何が起きようと私達は中立から変わらないのだから」


 そう、自信満々に言うbitにtaskは一抹の不安を抱きながらも、それを言語化できず結局、見送ってしまった。


 bitもtaskからの返事がないことから話はこれで終わりだと察し、早々にシークレットチャットから退出した。


『bitさんがシークレットチャットから退出しました』


 後を追う様にtaskもシークレットチャットを閉じ、key達の輪に加わった。


「そしたら、チカったらデーモンさんにいきなり襲い掛かってー」


「ええっ、サイテー」


「ちっ、しょうがねえだろ……タイミング的に敵だと思ったんだよ」


「あはは、チカちゃんらしいね」


 そのpaintの言葉にmemoryとkeyは大笑いし、当の本人はふて腐れる様にそっぽを向いてしまった。


 bitが話を切り出したのは、ちょうど2人の笑いが収まった頃だった。


「……さて、そろそろ私はデバッガーに報告へ行くよ」


「あ、ビットさん! ちょっと――」


「大丈夫、彼から大よその事情は聞いたよ。今回の一件、真相は根も葉もない噂だった、と報告するつもりさ」


 それを聞いたkey、memory、passから同時に安堵の溜め息が漏れる。


「それでは、失礼するよ」


 そう言うとbitは紳士の様なお辞儀モーションをし、そのままログアウトした。




 広場は依然として活気に満ち溢れていたが、5人は静かに今日の出来事を振り返っていた。


 ここで起きた襲撃から始まり、トントン拍子で起きた逃走劇、路地裏乱闘、地下往復、洞窟攻略を各々が思い出していた。


 皆が達成感や疲労感を抱く中、その沈黙を破ったのは、taskだった。


「『さて、やっと面倒事も片付いたし、本題に戻るぞ』」


 それがこの場の誰に向けられた言葉かは流石にkeyも分かっていた。


 しかし、keyは本題が何なのかは分からなかった。


「本題?」


「『鍵屋、俺がお前を護衛してるのはなぜだ?』」


「えっと、Aなんとかに狙われてるから……だっけ?」


「『そうだ。それで、俺はお前に具体的な解決策を提示したはずだ』」


「……なんだっけ?」


「『突っかかってくるALの下っ端よりも強くなればいい。それまでの時間は稼いでやる、と』」


「ああ、そうだったかも! それで?」


「『塩砦の一件で、多少、レベルが上がっただろ? でも、実戦経験はゼロだ。だからそれを補う。

 あとはチュートリアルミッションでこの世界でできる事を一通り覚えてもらう、以上』」


「……りょーかい」


「大丈夫、大丈夫、俺達も手伝ってやらぁ! なぁ?」


「うん、僕もできる限りサポートするよ」


 それからは、3人でkeyの育成方針をああでもないこうでもないと議論していた。


 4人ではなく、keyとpassとpaintの3人で、だ。


 taskが加わらない理由は明白だが、memoryは違った。memoryのアバターは先程から微動だにしないし、何の音声も聞こえない。


 『IDEAL』では一定時間プレイヤーからの操作がない状態が続くとあらかじめ設定した『待ちモーション』をする様になっている。


 デフォルトだと、目を閉じるだけだが、中には腕組みをして考えているポーズを設定している人も居る。


 memoryはデフォルトのままらしく、目を閉じた状態だった。


(落ちたのか……? でも、俺はともかく3人にも何も言わずにか……?)


 訝しむ様にtaskがmemoryの方を(カメラだけ向けて)見ていると、それから間もなくmemoryのアバターが意識を取り戻す様にカッと目が開いた。


「『ごめん、これから夕飯だからちょっと落ちるね』」


 そう、メッセージを表示するとmemoryは返事も待たず、ログアウトしてしまった。


 しかし、そんなmemoryを咎める者も居なかった。


「あ、もうこんな時間かぁ。僕も1度落ちようかな」


「んじゃ、俺も」


 2人はkeyとtaskに手を振るモーションをしながらログアウトした。


「『何でも屋』さん――ううん、タスクはどうする?」


「『……じゃあ、俺も落ちる、かな』」


「それじゃ、1時間後にまたココでいいよね?」


「『OK』」


「みんなにもそう言っとくね。じゃ、また後で」


 そう言うと、keyは特に何のモーションもなくログアウトした。


(モーションの仕方も教えないと、な。初心者支援なんていつ以来だ……)


 賑やかな広場で1人になったtaskは、ふと過去に思いを馳せた。


 まず思い出したのはcookieだった。


 今から1年前の事だ。『IDEAL』を始めたばかりのcookieはとにかく飲み込みが早く、ゲームセンスもあったのが印象的だった。


 依頼された当初は、ある人物と対等な立場になる為に強くなりたいとの事だったが、それが叶ったのかどうかは結局知らない。


 次に浮かんだのは、demonだった。


 demonとは2年ほど前、まだ『術師連合』がなかった頃に1度。その半年後、つまり『術師連合』を設立してからもう1度、修行に付き合っている。


 1回目はそれこそ初心者で、MMOの経験もない普通の女子を絵に描いた様なプレイングだった。


 それでも1回目の修行が終わる頃には大分マシになり、2回目に会った時には見違えるほど上達していたが、demonは更に上を目指していた。


 taskも尽力したが、やはりあそこまで強くなれたのはdemon自身の努力が大きいだろう。


 そして、最後に浮かんだ――つまり、1番古い記憶は……。


 と、そこで、taskは悪寒がしたので思考を無理矢理、中断した。


(クッキーを見てからもう1年か。さて、と。俺も落ちるか)


 メニュー画面を開き、ログアウトの項目をクリックしようとした――その時、遠くから聞き覚えのある声が聞こえ、その手を止めた。


「……っと……たわ!」


 もう1度、耳を澄ますとより鮮明にその声が聞き取れた。


「やっと、見つけましたわ!」


 それは紛れもなく、taskの初心者支援・最古の記憶に登場するrootの声だった。



 結局、taskはrootが到着するまでにログアウトしようか逡巡し、この場に留まる事にしたのだった。


(まあ、復帰ポイントを固められるよりはマシか……)


 root(の思考と人脈)ならやりかねないので、賢明な判断だったと言わざるを得なかった。




 ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m


 予想は的中したでしょうか?


 ここで、どうでもいいお知らせです。


 次回、次々回とルート回が続きます。



 感想・批評・アドバイス(参考資料)など募集中です。


 「○○というゲーム(アニメ・漫画・小説・伝承)の~~というシステム(仕様・世界観・流れ・逸話)が面白いですよ」とかで構いません(^_^)/


 お気軽にコメントくださいm(_ _)m



 さて、次回の投稿は2015年02月24日午前9時頃を予定しています。


 それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/


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