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IDEAL―仮想理想世界― /Chapter-1「何でも屋《マスター・オーダー》」  作者: crow
Episode-3「必要悪《ネセサリーイビル》」
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Runtime-4「張本人(V)」

 作者のcrowです(^_^)/


 今回の見どころは、結末ですね。今回の1件どういう形で落ち着くのか……? そこが見どころだと思います。


 さて、今回は本編へどうぞする前に、お知らせがあります。


 文字数縛りを設けた関係で今回収まり切らなかった冒頭部分をまえがきの方に載せたいと思います。


 それでは、冒頭からどうぞ(^_^)/



――18時45分 同所



 空が夕焼けから日の入りへと移っていく。


 周囲が徐々に明るさを失っていくが、この世界が真っ暗になることはほとんどない。


 なぜなら、太陽(の様な恒星)とバトンタッチですぐに月(の様な衛星)と星々が世界を照らすからだ。


 もしこの世界に暗闇があるとすれば、その変わり目の数秒くらいだろう。


 そして、demonの『燃素』は正にその瞬間に放たれた。


 周囲は一瞬、目も開けて居られない程の白い光に包まれた後、炎という光源を残して光度が元に戻った。


 そして、今その炎が消され、太陽と月のバトンタッチも完了した。


 炎という地上の光源が消え、新たに月や星といった空の光源が生まれ、その移り変わりがtaskの登場をより一層際立てた。


 それはまるで月や星の光と共に地上に現れたかの如く、神々しい演出だった。


 勿論、そんな登場はtaskが意図して行った訳ではなく、偶然の産物に過ぎなかった。


 故に、taskは皆が黙り込んでしまった事態の原因について皆目見当もつかなかった。


 辺りの明るさに目が慣れ、やっと我に返ったdemonが声を発するまでtaskの登場から数秒の間があった。


「……タス――」


「「な、何でも屋さん……!?」」


 と、その呟きを掻き消す勢いで、passとmemoryが揃って驚きの声を上げた。


「なんで、アンタがココに居るんだ……?」


 taskの一番近くに居たpassが真っ先に皆の疑問を代弁した。


 すると、taskはあらかじめ用意してあったかのような速度で返答した。


「『話すと長くなるが、簡潔に言うなら――その子に用があってな』」


 そう言いながら、探偵が犯人を指差す様なモーションでtaskはqueryへと指先を向けた。


 皆の視線がqueryへと集まった――その時、屋上の扉が開かれ、緊迫した雰囲気をぶち壊す言葉を言いながら1人の乙女が入って来た。



――18時45分 同所


 屋上の扉が開かれ、緊迫した雰囲気をぶち壊す言葉を言いながら1人の乙女が入って来た。


「もー、先に行かないでよねー! 敵、出たらどうすんのよー!?」


 現れた乙女は、RANK・CLOVERの初期装備で名前が非表示の――


「「アキ!?」」


「ちょっ、リアルネームやめてよね! それより……これ、どういう状況?」


 2人の反応に釣られて、keyも普段通りの返しをするが、すぐにこの場の空気に気がついた。


「えっと、何ていうか……その、ちょっとしたトラブル的な……?」


 memoryが曖昧に答える一方、passは直球にあった事を感じた通りに話した。


「コイツがクエリー……っていうそこの子をPKしようとしてるんだ」


 と、passはdemonを指差すモーションをした。


「え、それは違うよ、チカ!」


「違わねえよ。つか、お前もリアルネームやめろよな」


 眩暈スタン状態にされた事や、反撃された事を根に持っているのか、passは頑なにdemonのPKを主張し、keyの話を取り合おうとしなかった。


 それにひきかえmemoryは外側から見ていた事もあり、passよりはまだ思考が柔軟だった。


「違う……ってどういうこと? アキは何か知ってるの?」


「えっと、どっから話せばいいかな……」


 そう言って、keyはtaskの方を向いた。ここがリアルでなくてもkeyが助け舟を期待しているのをtaskは容易に理解できた。


「『俺から話そう。いいよな、デーモン?』」


「……ん」


 短い返事と共に、demonは右手の杖を消した。


「『コイツはデーモン、術師連合のボスだ。その子を追ってたのは、その子に容疑がかかってるからだ』」


 taskがそう言うと、2人の意見は面白いくらいに真っ二つに割れた。


「術師連合、コイツが!? ちっ、道理で強い訳だ……」


「容疑……何のですか?」


「『PKのだ』」


「「!?」」


 しかし、それを聞いた時の反応は流石に2人とも同じだった。


 驚きの余り言葉を失いながらも、2人は身体の向きだけqueryの方へと向けた。


 アバター故に表情はまるで変わらないが、その時のqueryには2人の表情は「信じられない」という風に映った。


 そんな中、先に立ち直ったのはmemoryだった。


「そんな! 何かの間違いです! 今まで一緒にミッションしてましたが、そんな素振り一切ありませんでしたよ!」


「……アンちゃん」


 普段、冷静沈着なmemoryが珍しく声を大にして訴えた。


 逆に、いつもすぐ感情的になるpassは無駄に冷静で、与えられた情報を素直に受容し、知りたかった答えを導き出した。


「待てよ。じゃあ、サイジングを殺ったのはお前なのか……? 嘘、だろ?」


 その問いに、queryは首を振るモーションをして応じた。


「……いいえ、そうでございますよ」


 肯定してくれると信じていた一方で、2人は心のどこかで「そうなのではないか」とも思っていた為、やるせない思いを黙り込む事で抑えた。


 2人が黙ると、これまで黙って聞いていたdemonが静かに言葉を紡いだ。


「……クエリー、やっぱり私はアナタを――」


「『まあ、待て。どいつもこいつも早まるな』」


 と、demonの言葉を遮る様に、taskからメッセージが表示された。


 そして、taskはこの場の主導権を寄こせと言わんばかりの提案をした。


「『今回の件、どうも2つ気掛かりな点がある。決断を下すのは、それを明かしてからでも遅くない筈だ?』」


「……ん、任せる」


「『じゃあ早速、クエリー。アンタに聞きたい事がある。答えてくれるか? それとも抵抗するか?』」


「いいえ、全てお話しするのでございますよ。これ以上の抵抗はもう何の意味もないのでございます」


(やっぱり、コイツはただの――いや、まだそうと決めるのは早計か)


「『そうか。じゃあ、まず今回のPK、使ったのは逆転変換と憑依で間違いないな?』」


「驚きました、よく分かったのでございますよ」


 taskは2人だけで会話を進めるつもりだったが、それをkeyが見過ごす筈もなく、会話の切れ目にすぐに割り込んだ。


「ねえ、それってどんな攻撃なの?」


「『いや、この2つはどちらも攻撃じゃない。それが今回のPKのポイントだったんだ』」


「……そういうこと、ね」


「「「?」」」


 それを聞きdemonはすぐに気づいたが、pass、memory、keyは皆目見当つかずという感じで、その視線はtaskへ噛み砕いた説明を求めていた。


「『いいか、お前等。例えば、味方からの回復魔法が外れるか?』」


「外れない……よね?」


「『そう、外れないんだよ。あの2つは回復魔法と同じバフマジックっていうカテゴリーなんだ』」


「当たるのは分かったけど、結局どうやって相手に気づかれずPKするの?」


「『それを説明するには、まず2つ術の効果について話す必要がある。


 まず逆転変換・リバーサルハーツは、錬金術師が覚えるテクニックで術者から一定範囲内の味方に作用し、一定時間ダメージと回復を逆転させる』」


「うーん、それってダメージを受けると回復して、回復すると……ダメージ?」


「『次に、憑依・トランス。コイツは味方の生きているアバターの操作権を一時的に得る』」


「んー、使い道がよく分からないけど生きてる人を操作して意味あるの?」


「『元々、この魔術がバフマジック扱いなのは、麻痺などの死んではいないが動けなくなったアバターを強制的に動かせるからだ』」


「ああ、なるほど。戦場のど真ん中で動けなくなったら危ないもんね。それは分かったけど、それでこの2つでどうやってPKするの?」


「『あとは簡単だ。逆転変換を使ってから1人ずつ憑依して全回復アイテムを使うだけだ』」


「回復がダメージになるから、全回復したら……あ、死ぬんだ。じゃあ、逆転変換か憑依を避ければいいんじゃないの?」


「『だから、最初に言っただろ。回復魔法をお前は避けれるのか?』」


「あ!」


「『そう、この方法なら術の内容さえ知らなければどうやってキルされたかも分からずPKできるって訳だ。


 だが、それは思わぬ情報でバレてしまった。カンパニーのボスへ届くスタッフの死亡通知だ。


 憑依で乗っ取ったアバターの死亡はイコール憑依の術者がコントロールしていたアバターだ。


 死ねば、通知が行く。しかし、術者は元のアバターにコントロールが戻るだけで死んではいない。同じ事をもう一度行えば、あら不思議、死んでないのにまた死亡通知、となる訳だ』」


「ふふっ、その様な事でバレてしまったのでございますか。ええ、全てアナタの言う通りでございますよ。よく『逆転変換』を御存知でございましたね」


「『まあな。デーモンから探し人は錬金術師って聞いてたし、薄々この可能性には気づいてたさ。だから、これは聞きたかった事というよりは確認だな。


 それじゃ、最後にもう1点、聞かせてもらうぜ?』」


「はい、何でも答えるのでございますよ」


「『じゃあ、憑依はどこで手に入れた?』」


 それを聞いた途端、queryは黙り込んでしまった。しかし、それは隠そうとしているのではなく、どう話せばいいか迷っているようだった。


 そして、それを知ってか知らずか、keyは会話の切れ目を理由にまた割り込んだ。


「どこでって、どういうこと?」


「『テクニックの会得の方法はたくさんあるがその1つにテクニックがアイテムとなっている特定のアイテムという方法がある。その場合、そのアイテムを入手し使用すると会得できる』」


「へえー、じゃあ、その憑依って入手が難しいの? ランダムで敵が落とすとか、何かの報酬とか?」


「『いいや。あれは、どこぞの中集団が占領している領地でしか売ってないテクニックだ』」


(この返答次第でお前への対応が大きく変わるぞ、クエリー)


 静まり返る屋上は、鬼龍川が塩砦へと流れる音だけがする。


 数瞬後その静寂を破り、queryの自信なさげな声が、ゆっくりと答えを紡いだ。


「信じて頂けるかは分かりませんが、あれは……今回のPKの方法と一緒にある方からもらったのでございます」


「『そいつの名は?』」


「確か……オウサーと呼ばれていたのでございますよ」


「……オウサー」


 taskの問答を黙認していたdemonもつい復唱した。依然として声に抑揚は皆無だったが、taskにはdemonが何を考えているのか、手に取るように分かった。


「『デーモン、その名前で探してもきっと居ないぜ。オウサー……英語で張本人。これは奴等が使う隠語だ』」


「隠語? どういう意味で使うの?」


 興味津々なkeyが透かさずその話題に喰らい付いた。


「『何か事を起こす時の先導者――つまり、リーダーの事をそう呼ぶ』」


「……奴等とは?」


「『止めとけ、単身で乗り込むには分が悪いぞ』」


「……教えて」


 demonの語気が強まったのを感じ、taskは早々に折れた。


「『(仮)平和協会だ』」


「……サイレントバンカーのところ、ね」


 demonはそれで納得したのか、taskへの追求を止めた。


 そこでtaskは、queryが手持無沙汰になっている事に気づき急いで話を戻した。


「『ああ、話が逸れちまったな。結論から言おう、今回の件はこの子が奴等にそそのかされて行っていたに過ぎない』」


 しかし、taskから出た言葉はqueryに向けられたものではなかった。


 それはまるでこの場の全員に、もしくはdemonのみに向けられたものだった。


「『後は、お前等で話し合って決めな。それと、デーモン。これは俺の勝手な想像だが、その子はお前の為にやったんだと思うぜ。やり方に問題はあったけどさ、ちゃんと向き合って話せよ』」


 そう言葉を残すと、taskはpass、memory、keyを連れ、屋上の出入り口まで移動した。


 2人きりになったdemonは、珍しく恐る恐るという雰囲気を纏いながら話を切り出した。


「……クエリー、何でこんな事したのか、私に話してくれる……?」


「……はい、デーモン様。是非、聞いて頂きたいのでございます。


 私はデーモン様の強さと信念に憧れて『術師連合』に入ったのでございます。ですが、連合には私よりもお強い方がたくさん居て、最近では仕事もあまり回って来ず、いつか私は追い出されるのではないかと考えていたのでございます。


 そんな時に、先程のオウサーと名乗る方に「パーティーで獲得したアイテムを総取りする方法」があると言われ、つい欲に目が眩み付いて行ってしまったのでございます。


 何でも屋さん(あのひと)は私の行いはデーモン様の為だと言ってくれましたが、私はここでデーモン様に見つかった時、一瞬だけデーモン様を倒して逃げる事を考えてしまったのでございます。


 その時、私は今までの行いを全てデーモン様の為だと正当化している自分に気づいたのでございます。


 元々何事もなくある程度の成果を得られれば止めるつもりでしたが、途中で見つかってしまった場合の覚悟は一応最初からしていたのでございますよ。


 ここまで、何も言わず私の話を聞いて下さりありがとうございました。いつか私も、デーモン様のように強く、誰かを守れる人になりたいでございます」


 決断の時、demonに迷いはなかった。


「……クエリー、私はアナタを――許さない。


 罰として1ヶ月間、アナタの表の仕事(はけん)を禁止とします」


「はい……って、え、除名処分ではないのでございますか……?」


 反射的にdemonの言葉を受け入れたqueryは、予期していた答えと違う事に気づき、慌てて訊き返した。


 そんなqueryとは対照的にdemonは落ち着き払った態度で返答した。


「アナタに罪を償うつもりが本当にあるのなら、『術師連合ココ』から逃げずに……今度は私の為だけに働いて」


「……は、はいなのでございます!」


 一方、事の成り行きを見守っていた4人からは等しくため息が漏れた。


「はぁーあ、一時はどうなるかと思ったけど、丸く収まったねー」


「『ああ。水差す様で悪いが、この場はな』」


「なーに、その言い方?」


「『(仮)平和協会の件は何一つとして解決してないからな。


 奴等の目的は分からないが嫌な予感しかしない』」


 しかし、それはここで議論しても仕方のない事でもある。故に、この場の最優先事項は――


「『だが、とりあえずは街に帰るとするか』」


「さんせーい」


 そう言うと、keyはdemon達の方へと駆け出して行った。


 ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m


 結末は如何だったでしょうか?


 作者的にはタスクの推理(?)や解説、クエリーの語りが長くて、大変でした(;一_一)



 さて、やっと本編で明確な敵の存在が登場しましたね(長かった(・・;))


 今後は彼等といろいろあったり、なかったり……いやいや、勿論、当初の目的は忘れていませんよ。


 タスクはキーのレベルが上がるまで護衛、キーことうつつはレベルアップとたすく探し&説得。


 そうは言っても、物語の時間経過的にはまだ一日も経ってないので、そこまで急かす必要もないのかなぁ、と思ったりしてます。



 さて、次回の投稿は2015年02月17日午前9時頃を予定しています。


 それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/



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