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IDEAL―仮想理想世界― /Chapter-1「何でも屋《マスター・オーダー》」  作者: crow
Episode-3「必要悪《ネセサリーイビル》」
49/69

Runtime-2「獲物と狩人(V)」

 作者のcrowです(^_^)/


 今回の見どころは、事件発生! です。


 犯人は――まあ、言わなくても分かりますよね(^^)


 どのような手口なのかが見どころですかね。


 詳しくは次々回くらいで解説入ると思います。


 そして、何度も言いますが、推理物ではないので、読者の皆様に開示した情報のみで推測は不可能だと思います(;一_一)



 それでは本編をどうぞ。


――18時35分 queryパーティー塩砦入りから1時間後 塩砦 屋上



 試者の間の先にあった階段を上ると、そこは塩砦の外に繋がっていた。


 『IDEALせかい』が現在の日本の時季(夏)と同期している為、外は夕焼けがまだ辺りを照らしていた。


 その光を流れる川の水が乱反射し、周囲をより一層幻想的に見せた。


 初見の3人がその景色に見惚れている内に、queryは真水の採取ポイントへと一直線で向かった。


 稀に、採取ポイントが巧妙に隠されている場合があるが、今回のミッションでは採取ポイントは水面に不自然に出来た光の球体と、分かりやすいものだった。


 3人が未だ景色に心を奪われている中、queryがその球体に話しかけると、どこからともなく無機質な声が聞こえた。


「『真水を入手しました』」


 その音声で3人はやっと我に返り、queryの元へとやって来た。


「これで一応クリア、だね」


「結構かかると思ってましたけど、1時間で済みましたね」


「あとはモンスターをスルーして街に戻るだけだな」


 そんな3人の楽しげな会話に、普段のqueryならすぐに入っただろう。


 しかし、この時のqueryは違った。


「……そう言えば、皆さま。携帯超高級食料はまだお持ちでございますか?」


 唐突な質問に、3人は疑問を抱いたが全員素直にインベントリーを確認して言った。


「クエリーちゃんが回復してくれたから、僕のは余ってるよ」


「私もメインは中食なので、まだ全然余ってます」


「あー、俺はもう切らしてんなぁ」


「!」


 passの言葉を聞いた瞬間、queryのアバターが一瞬グラついた。


 それはアバターの移動キー上に常に指を配置していた時に咄嗟に押してしまいあらぬ方向を向いてしまう、ただの操作ミス。


 当然、誰一人として気にも留めない。


 しかし、この時queryは確かに動揺したのだった。




 一方、queryから何の応答もないので3人はそれぞれ出発までの時間を過ごした。


 sizingは屋上周辺の探索に行き、passはmemoryにアイテム浪費の件で注意を受けていた。


「ダメージを受けたらこまめに回復すれば、全回復ばっかり使わなくて済むでしょ?」


「前衛やってるのに、そりゃ無理な相談だ」


「タンクじゃないんだから、攻撃の合間にすればいいでしょ?」


「うっ」


 痛いところを突かれ、今すぐにでもこの話を終わりにしたいpassの目の前に突如メッセージが現れた。


「『queryさんから携帯超高級食料×1が譲渡されました』」


「えっ、後はもう帰るだけだろ? 大丈夫、大丈夫。返すよ」


 そう言って、passはアイテムをqueryへ返す手続きを始めた。


 すると、いつも緩慢な口調のqueryが珍しくきっぱりと言った。


「いいえ、結構でございます」


 それだけ言うと、またqueryは無言になってしまった。


「どうしたんだい?」


 不穏な空気を察知してか、屋上の探索していたsizingが一部始終を見ていたmemoryに声をかけた。


「それが……」


 見ていたmemoryでさえどう説明すればいいのか迷う程、今回はpassに非はなかった。


 けれど、敢えてmemoryはpassを悪者にする事を選んだ。


「またパスがクエリーさんに失礼なことしちゃったんですよ~」


「そうなのかい?」


「うん、だから心配しないでください。パスには私からきつく言っておきます」


「……」


 それで納得したのか、sizingは残り僅かな休息時間をまた探索へと出掛けた。


「ふぅ……」


 一息吐き、memoryはこのパーティーの先行きに多少の不安を覚えた。



――5分後



「皆さま、LP・SP・MPは大丈夫でございますか?」


 ボイスチャットはなかったが、一同は示し合せたかの如く首肯のモーションをした。


 それを確認し、queryが出発の音頭をとった。


「それでは街に戻るのでございますよ」


「「……お、おー」」


 音頭から少し遅れて、恐る恐るという感じでsizingとmemoryが掛け声を上げた。


 すると、(またというべきか、やはりというべきか)queryの間の抜けた声がそれをぶち壊した。


「――と、その前にもう戦闘はないと思いますけれど念のためにバフマジックをかけるのでございますよ」


「お、おう。ありがとな」


「そういうのは掛け声をする前に言ってくださいよ~」


「ははっ、クエリーちゃんは本当にマイペースだね」


 ほとんどお決まりとなりつつあるこの流れに、一同は苦笑を浮かべた。


 これから訳も分からず死に行くとは知らず……。




 最初に異変に気づいたのはsizingだった。


(あれ? そういえば、何のバフをかけるんだ……?)


 これまでの戦闘でqueryが使用したバフマジックは『苦行II』と『祝詞II』の2種類だ。


 『苦行II』は効果持続時間中、対象の物理防御力(STM)をアップさせ、『祝詞II』は対象のLPを回復させる。


 どちらも出発に際してかけるタイプのバフではない。


 故に、半分の好奇心と、もう半分の疑心がsizingの視線をqueryへと向けさせた。


「『逆転変換リバーサルハーツ』」


 すると、queryから見覚えのないテクニック名が現れ、4人のLPゲージ横に新たなアイコンが追加された。そのアイコンは、DとRが両方向の矢印(⇔)で結ばれ、その下に効果持続時間を示すゲージが描かれていた。


 sizingには『逆転変換』の効果も、アイコンの意味も分からなかったが、疑心だけが更に高まった。


 それはひとえに、バフをかけ終えた筈のqueryが、また予備動作の姿勢に入ったからだ。


(まだ、何かかけるのか……?)


 事件が起きたのはその直後――丁度、queryの新たなテクニックが完了したところだった。


 吹き出しに現れたテクニック名を見たsizingは、一応queryに何をしたのか尋ねようとqueryの方へ進んだ……筈だった。


「あれ、動かない……? ラグったのか? あれ?」


 いくらコントローラーを操作しても動かないsizingアバターは誰の目から見ても、ラグって焦っている様にしか見えない。


 そんなごく有り触れた光景にpassもmemoryも別段、気にはしない。


 どうせ、まだ出発ではないし、出発するにしてもsizingの操作が安定するくらいの時間の余裕は充分にある。


 しかし、2人もすぐにそれがただのラグでないと知る事となる。


「あ、動いた――って、何でインベントリーなんか開いて……」


 自分以外のアバターがインベントリーを開いてもその画面を見る事はできないが、sizingの実況で大体の状況は2人にも伝わっていた。


 そう、この状況が如何いかにおかしいか。


「おい、大丈夫か? 一回落ちたらどうだ?」


「ハッキング……でも、使用中のアカウントを乗っ取るなんてできないんじゃ……?」


 ようやく、異変に気づいた2人がsizingの周りに集まると、コントロールを失ったsizingからアイテム使用前の予備動作が始まった。


「何で、携帯超高級食料を……?」


 LP全快のsizingが使用したのは瞬時にLPを最大値まで回復させるアイテムだった。


 この『IDEALせかい』では、使っても効果が発揮されない物の使用を制限する仕様はない。そうする事でインベントリーに空きを作る事もできるからだ。


 だから、この時も3人は少し値段は高いが誤動作でアイテムが1個減っただけ、という程度の認識だった。


 ましてや次の瞬間、sizingのLPゲージがなくなるなど微塵も予想だにしていなかった。


「え!?」


「はぁ!?」


 2人が驚愕で言葉を失う中、sizingが光の粒子へと転換され、空気に溶け、やがて散った。


 普通なら唐突な事態に狼狽し、身をすくめてもおかしくない状況だったが、そこからの2人の動きは今まで以上に素早かった。


 背中合わせに周囲を警戒し、即座に武器を斜に構え、ガード体勢をとっていた。


「……敵影なし」


「こっちもよ」


 熟練者を思わせる身のこなしにqueryは一瞬の躊躇を抱いた。


 しかし――


「クエリーちゃんも早くこっちに! よく分からないけど、私達、狙われてるみたいです!」


 いまだ、外部( ・ ・ )の敵を警戒している2人にそっと胸を撫で下ろした。そして、2人のLPゲージ横に先程新たに追加されたアイコンの効果持続時間の残りを確認し、息を吐いた。


(ふぅ、まだ時間は充分に残っているのございますよ)


 そんな風にqueryがゆっくり確認していると、memoryの鬼気迫る声が響いた。


「クエリーちゃん!」


 獲物ふたり狩人クエリーの間にある圧倒的な温度差に面倒臭さを感じつつも、queryはこれに便乗しない手はなかった。


 成功率にあまり変わりはないが、やはり、がら空きの背後からできるのならそれに越した事はない。


 なぜなら、今回は特に実験的な事を2つも同時に行っているので、query自身も些か冷静さを欠いていた。


 そうでなければ、この者の来訪は察知できたはずだった。


「はーい。今、行くのでございます――」


「……行かせない、クエリー」


 塩砦から屋上へと繋がる扉の前に、ジト目の女性・demonが居た。



 ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m


 PKの手口は如何だったでしょうか?


 また、最後のデーモン登場は結構お気に入りです。



 さて、今回はまず先に本編の補足をしたいと思います。


 本編内で、


「今回は特に実験的な事を2つも同時に行っている」


 という一文がありました。


 この2つの実験的な事について今後の展開で一切触れないのであとがきで書きたいと思います。


 以前(Install-3のあとがきのネタバレ情報で)触れたPK犯の狙いで、


 被害者同士が地下で会わない(もしくは今後コンタクトをとれない)様にするためにわざわざ別々の領地から人員を集める、と書きました。


 今回の実験的な事とは、被害者が地下で会う状況と、被害者同士が今後コンタクトをとれる者を勧誘した事です。


 被害者が地下で会う、つまり同じ領地内で待ち合わせをする。


 被害者同士が今後コンタクトをとれる、それはパーティーを組む以前からの知り合いを勧誘するという事。


 結局のところ、既に何回か実行に成功したクエリーが一番面倒に思ったのは「人員選択」。


 それを省略化できないか模索した結果、上の2つの条件を満たしてPKを実行し何事もなければ成功と考えたのです。


 その何事もないというのは、被害者がクエリーを尋ねて『術師連合』に来ないという事です。


 そうすれば効率も上がり、見合った成果も出るという算段です。




 それはそうと、PK事件もそろそろクライマックスですね!


 微妙に制作裏話的なモノを書くと、、、


 この次の次、Runtime-4は文字数5000縛りをオーバーしました(>_<)


 オーバー分はまえがきに載せようと思っていますが、Episode-1のInstall-2以来の4000字越えです。


 長くなった原因は1人1人の会話というか言葉が無駄に長いからですね(-_-;)


 その分、読み応えはあるのかなあ、と思います。



 さて、次回の投稿は2015年02月03日午前9時頃を予定しています。


 それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/


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