Runtime-1「取って置きの作戦(V)」
作者のcrowです(^_^)/
今回の見どころは、多対一の戦闘シーンですね。
今回は特に相手の動きにも注意しなくてはならなかったので大変でした(;一_一)
それでは本編をどうぞ。
―※2015年1月21日更新分※―
どうも、お久しぶりの追加更新です(^_^)/
今回は……プラスなお知らせです。
ブクマ登録1件増えました、ありがとうございますm(_ _)m
あと、昨日は1日のPV数が300PV超えました!
現在、Standby-2を執筆中ですが、同時進行でIDEALの資料もまとめているので少々停滞中です(^_^;)
出来れば、各あとがきで書いている仕様などをホームページの方に、綺麗にまとめられたら……と考えております(まだ何も取り掛かってません(>_<))。
以上、追加更新でした。
――18時20分 queryパーティー塩砦入りから45分後 『塩砦』 上層
あれから4人はアイテム入手以外での戦闘は避け、上層まで辿り着いていた。
上層最奥の手前、そこは今までの道と違い目の前を扉が塞ぐ、少し広さのある空間。
しかし、広さの割に敵影はなかった。その様は、この先での激戦を予期させるような静けさだった。
壁に設置されたロウソクの灯に照らされたqueryが、皆のSP・MP回復の合間を縫ってこの先の事を話した。
「この先には黒月という2メートルくらいの黒くてごつい熊が居るのでございますよ」
「それがこのミッションの試者だね?」
「そうでございます」
sizingの問い返しに、チャットエモーションで笑顔を浮かべqueryは肯定した。
試者とは、いわゆる試験官的な存在で、ゲーム的にで言えば中ボス的な存在である。主に、収集・納品系ミッションの対象アイテム入手ポイントの手前に配置され、訪れた者がそのアイテムを入手するに相応しいかを試す者という仕様だ。
実際この仕様は、他のミッションとのバランスをとる為の措置である。
同じ難易度の討伐系ミッションと、敵を避けてアイテムを取って帰るだけの納品ミッションで、同じ知名度が貰えるのはバランスが悪いのだ。
それでは皆、収集・納品系ミッションばかり受けるに決まっている。
そんな訳でサービス開始から数ヶ月後、急遽導入された仕様が試者という存在だった。
尤も、最近は討伐系ミッションのダンジョン最奥に居るモンスター(試者が導入される前は目標と呼ばれていた)も試者と呼ばれ混同されつつある。
それはそれとして、queryの話は試者の存在を告げただけで終わりではなかった。
「そうそう、実はこの試者ですが、変わった特徴があるのでございます」
それに真っ先に反応したのは、queryと同じく後衛で各モンスターの動きを注視していたmemoryだった。
「変わった特徴ですか?」
「はい、その熊はヘイトに依らず背を向けて逃げる人を最優先で狙うのでございます。狙うと中々タゲが外れないので厄介なのでございます」
「へっ、正に熊だな」
と、passは緊張感もなく軽口を叩くが、それを聞いた同じ前衛のsizingの反応は対照的だった。
「イレギュラーな相手だね。タゲ対策をどうしようか……?」
役割に忠実な盾役らしい強敵への懸念だった。
しかし、その懸念はqueryも想定済みだった。
「大丈夫、ここの攻略には取って置きの作戦があるのでございますよ」
――試者の間
塩砦内で唯一ある鉄の扉を開き、4人が中へと進む。
扉に仕切られていた先は暗く、視界は味方の存在以外把握できない。
「先に、進むよ……?」
先頭のsizingが恐る恐る言い、それに従いpass、memory、queryの順で奥へとゆっくり進んだ。
すると少し歩いた所で突然、野太い咆哮が4人を迎えた。
それから間もなく室内に設けられた燭台に自動で火が灯り、視界をクリアにした。
やっと周囲を視認できたsizingは既に室内の中央まで来ていた。
そして、そこから5メートルもない所で、黒い熊がうつ伏せでこちらを見据えていた。
周囲をよく見ると足元や壁には無数の爪痕。
熊の縄張りを示すマーキング。
つまり、先程の咆哮は縄張り侵入への警告。
sizingがそれに気づいた時、熊は立ち上がり戦闘開始の咆哮を上げた。
「それでは皆様、先程の作戦通りお願いするのでございますよ……!」
queryの合図と共に3人も自身の役割を始めた。
「『扇動II』」
sizingは相も変わらず最前線でヘイト上昇テクニックを使用し重斧を斜に構えている。
そして、黒月も迷わずそれに向かう。
「こっちはいつでも準備オーケーだぜ!」
その背後にpassは行き、不意打ちの機会を窺う。
「『苦行II』……『封体II』」
queryは後方からsizingに物理耐性上昇のバフマジックと、黒月へ物理耐性降下のデバフスペルをかけていた。
「『緋鬼香』」
memoryも後方からpassに物理攻撃上昇のバフアーツを使用していた。
ここまでの流れは、雑魚戦と特に変わらない標準的な展開だった。
黒月にも大きな変化はなく、sizingに斬性質の爪攻撃を浴びせている。
その後ろで、passはSP温存の為にアーツは控え、地味に武器を振っていた。
「回復、お願いします!」
「はい、なのでございますよ……『祝詞II』」
「喰らいなさい――『噴水』」
時折、queryがsizingへ回復を行い、memoryも遠距離からダメージ系のブックを放っている。
戦闘は中盤に差し掛かり変化が起きた。丁度、黒月のLPゲージを半分削ったかそのくらいの時だった。
「おっ、こっちに来た!?」
今までsizingにべったりだった黒月が急に方向転換しpassへと迫った。
その理由は明白で、sizingがアーツで上昇させたヘイトよりもpassのヘイトが上回ったからに他ならない。
「パスさん、作戦通りお願いするのでございますよ~」
突然の事だったにも関わらず、本人を含め特別な行動をとる者は1人もいなかった。
そして、黒月の腕がpassへと振り下ろされる。
しかし、振り下ろされた腕にpassは居なかった。
passは黒月の攻撃から逃げていた。けれど、背は向けていなかった。
そう、passは方向キーを手前に倒し『踏出』しただけだった。
その間にsizingが再びヘイトアップのアーツを使用し、黒月の敵意はすぐにそちらへと戻った。
これがqueryの言っていた取って置きの作戦「バックステップはOKなのでございます」だった。
黒月のAIが無駄に現実の熊に似ていたせいか、正面を向いたまま逃げる人間は例外で追わないようになっていた。
passは再び元の位置に戻り、黒月のLPゲージを確認する。
passが離れていた間もmemoryのマジックやスペルがヒットし、黒月の残りLPは半分を切っていた。
「クエリー!」
「はーい、後はパスさんに任せるのでございますよ」
その言葉を待ってました、と言わんばかりにpassは先程とは打って変わってSPを惜しまずアーツを使用した。
「いくぜ、『掘起』」
杖で器用に土を掬い上げ、黒月に浴びせる。その後、本来なら杖を突き出しまま動作硬直に入るのだが、杖はpassの頭上に構えられていた。
「……からの『連打』」
アーツ名通り、passはドラムを叩くかの如く軽快に黒月の背に7連撃を喰らわせた。
大量ダメージでpassのヘイトが一気に上昇し、黒月がpassへと敵意を向けた。
しかし、その時には既にpassも最後の一撃を放っていた。
「……からのぉ――『抜刀』だっ!!」
passの杖が上下で分裂し、中から刀身が現れる。その状態の杖で、黒月の身体に一太刀入れながら背面から正面へと抜けた。
そして次の瞬間、黒月は悲痛な叫び声を上げ、地に伏した。
「『討伐報酬:黒月(鉤爪)』」
というメッセージが黒月から現れ、その姿が薄れて消えた。
皆が達成感や疲労感で言葉を失う中、queryの底抜けに明るい声で皆は我に返る。
「これにて、最大の難所はクリアなのでございますよ~!」
「お……おっしゃ!」
「やったー!」
「うんうん」
各々、喜びを実感し表現する中、queryの密かな闇に気づく者は居なかった。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
多対一の戦闘シーンはどうだったでしょうか?
これを書いてから年始を迎えたのですが……年始の特番で『ログ・ホライズン』の2期を見まして「こういう連携が書きたかったなぁ」とか思ってました(>_<)
さて、次回の投稿は2015年01月27日午前9時頃を予定しています。
それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/




