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IDEAL―仮想理想世界― /Chapter-1「何でも屋《マスター・オーダー》」  作者: crow
Episode-3「必要悪《ネセサリーイビル》」
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Boot-4「やらせない……!(V→R→V)」


 作者のcrowです(^_^)/


 今回の見どころは、タスクがクエリーの心理に迫るところです。


 クエリーはどうしてこんな事をしたのか、タスクなりに結論を出そうとします。


 ※注意:推理物ではありません(笑)※



 それでは本編をどうぞ。



――17時50分 queryパーティーの塩砦入りから15分後 『天樹』 南部



 地下へと続く門が開き、そこに現れたのは青いトレンチコートを着込んだジト目の女性・demonだった。


「よし。やっと地上。これで、グルチャも繋がる」


 グループチャット――略称・グルチャは、taskの様に周囲の不特定多数のアバターにメッセージを表示させて見せるパブリックチャットと違い、プライベートチャットと言われるもので、所属している中集団のメンバーのみ発言・可聴できるチャットである。


 この他に『IDEAL』には公式アナウンス(パブリック)とパーティーチャット(プライベート)などがある。


 尚、公式アナウンス以外は地下と地上では繋がらない仕様となっている。


 demonはウィンドウ下部にあるチャット用のテキストフィールド横に設けられた可聴ボタンをパブリックからグループに切り替え、そこで逡巡した。


(クエリーに直接聞く? グルチャで? それはない、私が直接会う。どこ? それを聞く? 簡単に答える? ありえない……かも?)


 結局、demonはqueryが素直に答えないと判断した。


「『至急、クエリーのフレンドは、クエリーの現在地を』」


 理由も説明もないそんな一言をdemonが発信して数秒後、スタッフの1人から簡潔な返答が届く。


「『鬼龍の塩砦付近』」


 聞いた途端、素早くグループからパーティーへと可聴ボタンを切り替え、小さく呟く。


「塩砦――次は、やらせない……!」


 場合によってはqueryを、という決意を胸にdemonは領地転移の課金アイテムを躊躇なく使用した。


 

――17時55分 queryパーティーの塩砦入りから20分後 demon転移から5分後 地下通路 中層~上層



 薄暗い螺旋階段をオートランで地上へ向かう2つの人影。


 1人はジャージの青年・task、もう1人は青いオーバーオールの良く似合う乙女・keyだった。


 ただ黙々と地上を目指し始めて数分、到頭無言に堪え兼ねたkeyが口火を切った。


「ねえ、もしもクエリーちゃんが犯人だったとしてさ、PKが毎回必ず成功する訳じゃないでしょ? そしたら絶対報復に来るんじゃないの?」


「『そもそも今回のケースは被害者すらPKされたという認識がないからな。もし失敗してもその点は問題ない筈だ』」


「そうなの?」


「『まあ、ディスクロージャーを見る限りはな。それに……』」


「それに?」


「『腐ってもクエリーは術師連合のスタッフだ』」


「つまらないミスはしないってこと?」


「『いいや、そういう意味じゃない』」


 少し間が空き、長めのチャットが表示された。


「『いいか、もしクエリーがPKに失敗して相手が報復に来たとする。当然、クエリーはそれを否認する。そうなった場合、聴衆はどっちを信じる?』」


「どっちって……言われても」


「『じゃあ、テレビに出てる様な有名人とその辺の一般人の言う事、聞いた人はどっちを信じる?』」


「なるほどね、IDEALで『術師連合』に所属しているっていうステータスはそういうところで生きてくるのね」


「『しかも、交渉が失敗し強硬手段――嫌がらせやPKに及べば、術師連合の報復制度に則り、そいつ等はまた容赦なくPKされる』」


「うわっ、最悪」


 keyの心底嫌そうな声を聞き流し、taskは不意にとある事を考え込んでいた。


(こんな事してクエリーの目的は一体何だ? 大抵のPKの目的は、報酬の横どりや経験値稼ぎ、報復くらいだ。この内のどれかだったとして、その程度の事の為にここまでするか? そんな事すればいずれ術師連合の信頼は失墜するぞ。いや、むしろそれが目的なのか……?)


 つまり、queryは初めから『術師連合』の信頼の失墜が狙いで入ったのかもしれないという可能性。


 しかし、先程の状況を生み出すには、PK疑惑を本人の否認だけで周囲を黙らせる8G4Cという地位、PKを許さない制度のある組織、そのどちらも満たす『術師連合』というカンパニーに所属する事が必須条件となる。


 言うまでもない事だが、ゲーム内のトップ集団に所属するのは生半可な努力程度で成し遂げられるようなものではない。


(もう1つある可能性としては……)


「『何にせよ、こんな手の込んだ事をそのクエリーとかいう子が1人で考えて実行しているとはとても思えないな』」


「え、それってつまり裏で操ってる黒幕がいるってこと?」


 そう、実際は黒幕に操られているだけの人形なのかもしれないという可能性。


 queryがどちらなのかは分からない。だが、taskはqueryを、queryを信じるdemonを信じて言う。


「『断定は出来ない。が、クエリーという子がこんな事をする為だけに術師連合に入ったとは非常に考えにくい』」


「たしかにね……あっ」


 そこで丁度、地上への門へと到着しこの話は一端終わった。



――18時 『天樹』 南部



 門を潜ると地下よりは幾分か明るい夜の街へと2人は帰って来た。


 そこで、ふとkeyは前を歩くtaskへと疑問を投げかけた。


「それで、私達これからどこへ向かうの?」


「『決まってるだろ。デーモンを探しに』」


「うん、それは分かってるよ。で、そのデーモンさんはどこに居るの?」


「『……』」


 その問いに答えられずフリーズしたtaskを放って、keyは辺りを見回す。


「まだこんな所に居る――なんて事ないよねぇ……はあ、手掛かりなしかぁ」


 keyの予想を裏切らず、周辺にdemonの姿はなかった。


 溜め息を吐いて、現はディスプレイから目を離す。


 と、そこで、机に置いてある携帯端末が点滅している事に気づく。


「何だろ……?」


 それは、無料連絡アプリ・KIZUNAからの新着通知だった。通知に従い、アプリに飛ぶと覚美 諳ことmemoryからのメッセージが書かれていた。



アン:鬼龍の塩砦に居ます。術師連合のスタッフさんにミッション誘われちゃったんだ、てへ♪ ケンゾーくんの事、よろしくお願いしますm(_ _)m



「ちょっ、まさかそのスタッフって――」


 嫌な予感が過ぎり、急いでKIZUNAにメッセージを送信するが、そのメッセージが閲覧される気配はなかった。



アキ:そのスタッフってクエリーって人じゃないよね!?:未読


アキ:クエリーって人なら急いで離れて!:未読


アキ:おーい!:未読


アキ:ねえ!:未読


アキ:あ:未読


アキ:あ:未読


……以下略



「っ、タスクー!」


「『大声は止めてくれ。どうした、良い案でも浮かんだのか?』」


「アンちゃんとチカが……!」


「『ああ、メモリーとパスか。そういえば、見当たらないな。クラッシュとナルはいいとして、どこか行ったのか?』」


「『術師連合』のスタッフに、ミッション誘われたって……!」


「『言っちゃ悪いが、そいつは十中八九、クエリーだ。2人はどこへ?』」


「おにりゅうの……しおとりで、って所に行くって書いてある」


「『きりゅうのしおさい、な。きっと、デーモンもそこに向かってる筈だ』」


「じゃあ、私達もそこに!」


「『ああ、分かってるよ。その前にお前にこれを』」


 taskがそう言うと、keyの目の前にメッセージが現れる。


『taskさんからパス券×1が譲渡されました』


「パス券、何これ?」


「『領地間を転移するアイテムだ。鬼龍はこのサーバー内にあるがこことは別の国の領地だ』」


「ふーん、ありがと。じゃあ、遠慮なく使うよ」


「『ああ。行くぞ、鬼龍に!』」



 ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m


 タスクの結論は如何だったでしょうか?


 ビット達がクエリーを黒だと断定しなかった事を甘いと考えていたタスクですが、可能性の1つに過ぎない「クエリーは根っからの悪じゃない」に賭ける辺りがタスクの優しさなのかなぁ、と。



 さて、次回の投稿は2015年01月20日午前9時頃を予定しています。


 それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/


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