Install-4「旻 現(R)」
作者のcrowです。
雨龍討伐が完了して話の舞台がゲームから現実世界へと戻りました。
そんな今回の見どころは、短編では一切触れなかった翼の容姿が記述されてるところです(^_^;)
それでは、本編の方をどうぞ。
――同日 午後2時過ぎ
――ピーンポーン
雨龍討伐から約11時間後、ニートは自宅の呼び鈴で寝落ちから復活した。
欠伸をしながら座椅子の上で身体を目一杯、伸ばした。そして、条件反射で立ち上がろうとして――思いとどまった。
(あれ、最近何か頼んだっけ……?)
不意に最近の記憶を辿るが、全く身に覚えがなかった。
(じゃ、関係ないか……)
と、座椅子に思い切り背を預けた。
「はーい」
タイミングを示し合せたかの様に、同居人の祖母が玄関へ向かった。
一息吐いて正面を見ると、真っ黒な3枚の画面に自身が映っていた。
肌と髪は一応手入れされ清潔感はあるが、それとは無関係に髪が長過ぎるせいで目元は隠れ、夜更かしでできた隈が色白な顔の中で存在感を示していた。
「髪、鬱陶しいなぁ」
そんな事を呟いていると、玄関から足音が聞こえてくる。
「もう帰ったのか……ばあちゃんも変なセールス断るの上手くなったなあ」
感心も束の間、異変に気づく。
(ん? 足音が多くないか……?)
更に深刻な問題に気づく。
(こっちに来てる……? 客間はこっちにないし、そもそもばあちゃんは居間に戻るからこの道は通らないはずなのに……)
そして、足音が止まる。
「此処が翼ちゃんのお部屋よ。どうぞ、ゆっくりしていってね」
「はい、ありがとうございます」
(……こ、この声は!?)
祖母の足音が聞こえなくなると、来客は扉をノックしてこう言った。
「えっと、アナタと同じクラスの旻 現です。昊 翼さんですよね?」
(……やっぱり、現だった。ホントに、ホントに、現だ。
でも、何か変だ……)
翼がすぐ返事をしなかったのは驚きが半分と、もう半分は違和感だった。
「今日お家を訪ねたのは、クラス委員長として不登校の生徒を……えっと、そう、元気づけるのが目的です!」
そこで漸く、翼は違和感の正体に気づいた。
(もしかして、現は覚えてないのか……?)
翼が感じた通り、現の対応は明らかに初対面の不登校児と話しているという体だった。
「それで具体的には、そうですね……うーん、あっ、私とお友達になりましょう!」
今すぐ部屋を飛び出して現に自分の事を思い出してほしいという衝動に駆られたが、画面に映る自身の姿を見て諦めが付いた。
そしてそれ以上、現の話を聞いて居られなくなり翼はヘッドホンをした。
それからも、現の無邪気で無慈悲なマシンガントークは続いた。
この時、翼は高校が今日から夏休みに入った事や、同じクラスに面白い人がたくさん居る事など様々な情報を得たが、最大の衝撃は――旻 現は昊 翼の親友ではなかった、という事実だった。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
これで一応、Install(PROLOGUE)は終了で、第1話の本編に入っていきます。
なので、次回からは起承転結の起の部分になります。
そういえば、悲報というかお知らせです。
『IDEAL―仮想理想世界―』の第1話を19分割したと言っていましたが、投稿するに当たって分割した際、数え間違いをした関係で1つ増えてしまいました。
そういう訳で、第1話は20分割でお送りします、よろしくお願いします(^^)
さて、次話の投稿は2014年4月29日午前9時頃を予定しています。
それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/