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IDEAL―仮想理想世界― /Chapter-1「何でも屋《マスター・オーダー》」  作者: crow
Episode-1「幸運乙女《マスコット・メーデン》」
2/69

Install-2「 戯れ(V)」

 作者のcrowです。


 今回はバリバリのバトルシーンなので結構長めかもしれません(^_^;)


説明は(気持ち)抑えたつもりですが、、、


 誰が、何で(どんな技で)、どうなったのか、ぐらいはと思って長くなる(;一_一)


 もはや、病気ですね……


 それでは、本編をどうぞ(^_^)/


――White Road 第1準国家『千石せんごく』から北の地 雨龍の住処


 灰色のボロ布を纏った青年が、魑魅魍魎の巣食う洞窟を颯爽と駆けていた。そのひとつひとつの動作に無駄はなく、迫る敵を大剣の一撃で易々と葬り、どんどん先へと進む。


(モブは想像以上にザコだな。つーか、新エリアの癖に既存モンスターしか出ねえってどんだけサボりだよ)


 愚痴を零しつつも、攻撃の手は緩まない。敵を蹴散らし、洞窟内を縦横無尽に駆ける。


(さて、粗方マッピングは出来たな。じゃあ、依頼の方に取り掛かりますか)


 マップ画面を閉じ、青年は洞窟内で唯一マップの埋まっていない箇所を目指した。


 長い直線通路を抜けると、天井のない開けた空間に辿り着く。その最奥に目標ターゲットは居た。


 体長5メートルは優にある四足歩行型の龍。その背には一対の大きな翼、鱗は濁った銀色をし、爪は鋭利な刀剣と遜色なく輝き、大きな口から覗く牙も同様だった。


(見た目は強そうだけど……寝てるじゃねーか。ちっ、拍子抜けだな。いきなり吠えるくらいの演出があってもいいだろ)


 ダメ出ししながら特に警戒する事なく、青年は雨龍の領域テリトリーへと侵入した。


 その瞬間、雨龍の双眸が見開いた。そして、青年を敵と認識し雄叫びを上げた。


 その光景に、プレイヤーは画面越しで静かに口の端を釣り上げた。それと同時にコントローラーを置き、操作をキーボードへと変更する。


「『さあ、始めようぜ』」


 そう、青年から吹き出しが現れる。


 しかし、雨龍が静かにそれを読む筈もなく、寝床から立ち上がり青年との距離を一気に詰めた。


(慌てんなよ。どうせ、ワンサイドゲームになるんだから)


 すると、今まで中央モニターの端で使用されていなかった真っ黒のサブウィンドウをアクティブにする。



――文字操作環境コマンドプロンプト


Who are you? > ********


Looking for you from user list……You are right user.


You are setting environment for use.


Loading your command list.


Start up command reader.


IDEAL\User\91090110030550000550930>bkls add Uryu


……――



 入力が完了し、Enterキーを押した瞬間、目の前から雨龍が消える。同様に雨龍の視界から青年も消える。


 目標を見失った雨龍だったが、勢いは止まらずそのまま青年が先程まで居た所まで来る。


――……


IDEAL\User\91090110030550000550930>cj pal/bkls del Uryu/sk clbn


……――


 コマンドが受理され、順番に処理されていく。


 まず、青年が光に包まれ外観が変わる。そうして、現れたのは銀色の西洋甲冑に身を包み、右手には鋭く光る長剣を持ち、左手には甲冑と同じ銀の盾を構えた聖騎士だった。


 次に、青年の視界に雨龍が出現する。その位置関係は、目の前を通り越して雨龍の懐だった。


 最後に、青年は長剣に風を纏わせ、雨龍の右後脚に向けて踏み込みながら突き出した。


 ここまでの動作が約2秒間である。


「『岩刺聖剣カリバーン』」


 システムがスキルの発動を検知し、スキル名を吹き出しで表示する。


 しかし、雨龍は青年の存在に気づく間もなく、無防備に攻撃を受ける。雨龍は右後脚のダメージで漸く、青年の存在に気づくのだった。


 雨竜が怒りの咆哮を上げたところで青年は深々と刺さった長剣を抜き、バックステップで距離を取った。


(ダメージは――まずまずってところだな。気属性は有利とは言いがたい、か)


 青年は雨龍の反撃が始まる前に、また姿を消した。その為、雨龍の『踏みつけ』は空振りに終わる。


 そして、雨竜が動いた影響で辺りに薄い土煙が舞った。


IDEAL\User\91090110030550000550930>cj far/bkls del Uryu


 土煙はすぐに無くなり、その中央に青年が居た。


 その姿は農家の如く、大きめの麦わら帽子を被り、手にはピッチフォーク(農具)を持ち、革製の服と伸縮性の富んだズボンを身に纏っていた。


 さすがに雨龍も今回は青年をしっかりと捉えていた。その右前脚が発見と同時に青年へと伸びる。


 しかし、青年はピッチフォークの穂先で雨龍の爪を軽く往なした。


(おいおい、通常操作の『受け流し』で防げんのかよ……)


 呆れつつも、青年は弾いてがら空きになった懐へと入り込みコマンドを入力する。


IDEAL\User\91090110030550000550930>sk dgp


「『掘起ディガップ』」


 ピッチフォークを引いて構えた後、地面を抉る様な軌道で雨龍へと先端をぶつける。その直後、掬い上げられた土も雨龍へとヒットする。


(土属性もいまいち、か……ザコいくせに耐性は一丁前だな)


 すると、伸ばしていた右前脚が青年の元へと戻ってくる。それをステップで雨龍を通り抜け躱す。


(これで2属性試したが効果は芳しくない……という事は、属性相性表と、見た目から推測される奴の属性は気魔・水呪で間違いないだろう。それなら、弱点は――)


 雨龍が身体の向きを変えている間に、青年は後退しながら次のコマンドを入力した。


IDEAL\User\91090110030550000550930>cj mil/sk lsrv


 雨龍が再び青年と対峙した時、青年の転職は既に完了していた。


 その姿はさながら富豪、身体のありとあらゆる場所に大きな宝石をあしらった装飾品を付け、裾の長い金色の服に身を包み、顔はマスカレードで使う様な奇妙な仮面で隠している。しかし、その両手には華やかさとは不釣り合いな2丁の短機関銃が構えられている。


「『出血大商売ロスサービス』」


 すると、銃口から文字通り火を吹きながら絶え間なく弾丸が射出された。弾丸は全て雨龍の胸部に命中し、そのまま青年は数秒間トリガーを引き続けた。


(火魔が弱点で合ってる筈なのにダメージを受けてる感じがしないな。もしかして、物理攻撃に対して耐性があるのか……?)


 青年の違和感は的中し、雨龍はダメージを受けているにも拘らず自由に行動を再開し始めた。それを見て、青年は攻撃を中断した。


(まあ、それならそれで、書攻撃で攻めるだけの話だ)


 それよりも一瞬早く、雨龍の反撃は始まっていた。


 雨龍の周囲に風が集まっていた。次の瞬間、雨龍が口を開けると風は一気に口元に収束し、1つの大きな塊になる。


「『息吹(ブレス)(気魔)』」


 システムが雨龍の攻撃を検知し、技名を表示した。


IDEAL\User\91090110030550000550930>cj bis/bk sp -w abb


「『吸収体アブソーブ(気呪)』」


 雨龍から息吹が放たれるのと同時に、青年の前方に半透明色の球体が十数個散らばった。球体はそのまま中空に停滞し、息吹と衝突した。


 すると、息吹はひと回り縮んで球体を通過した。それを繰り返し、見る見るうちに息吹は縮小し、ついに青年には届かず消滅する。


(吸収体7つ分で防げた、か。最低でも5メートルはないと厳しいな)


 球体が役目を終えて消えるとそこには、紺色のローブに身を包んだ聖職者の様な青年が居た。フードを深く被り、右手には分厚い書物を持っている。


(硬直か。よし、この隙に弱らせておくか……)


IDEAL\User\91090110030550000550930>bk sp -f trg


 雨竜の技後の硬直時間を利用し、青年は反撃に出た。


 青年は手慣れた手つきで書物を開き、対象となる雨龍を左手で指差した。すると、開いていたページが赤色に輝きだし、青年の足元に炎の円陣が現れる。


「『心的檻トラウマゲージ(火魔)』」


 雨龍、と名前の表示された隣に炎と下矢印のマークが追加される。


(ブロッカーの癖にデバフは効くのか……毎度の事ながらよく分からない設定だよな)


IDEAL\User\91090110030550000550930>bk mg -f mts11


 雨龍は硬直が解け、青年への攻撃を再開しようと前進した。それに対し青年はその場から一歩も退かず、本の別のページを開き、左手を空へと振り上げていた。


「『流星群メテオストーム(火魔)』」


 雨龍が青年へ右前脚の爪を伸ばすと、青年は雨龍の方へと手を振り下ろした。すると、上空から雨龍目がけて隕石が落下した。


 雨龍は隕石を背中に受け、小さく唸り攻撃を中断した。落下した隕石の大きさは雨龍の頭と同じくらいあり、炎を纏っていた。


 しかし、落下した隕石は1つだけではなかった。


(さあ、これからだぜ。あと10個、どう防ぐのか、お手並み拝見)


 青年が再び手を上げ、振り下ろすと、また1つ隕石が降下した。


 先の一撃をまともに受けたので懲りたのか、雨龍は隕石の回避に専念していた。予測される落下地点から巨体を迅速に動かし、隕石を躱した。


(おお、イイ動き。じゃあ、レベルアップしますか)


 青年はまた手を振り上げたが、今度はすぐに振り下ろさなかった。青年が左手を振り上げたまま静止していると、チャージ完了の効果音がした。


(よし、流星群LV2投下……!)


 青年が左手を振り下ろすと、今度は雨龍の左右から隕石が降下してきた。


(さあ、どう躱す?)


 青年が観察する中、雨龍は短く吠えた後、全ての脚を使った素早いバックステップを踏み、2つの隕石をやり過ごした。


(まあ、無難な選択だな。次、LV3投下)


 青年の準備が整い、再び左手が振り下ろされた。現れた隕石は3つ、雨龍の後方と左右斜め前方からだった。


 すると、雨龍は今まで使っていなかった翼を広げ、羽ばたかせた。そして、雨龍は超低空で飛び、隕石の包囲を抜ける。


(そう来たか……でも、流星群はもう1段階、上がある)


 隕石の包囲を抜けた雨龍は、青年との距離が大分縮まっていた。それを更に詰めようと雨龍は前進した。


 しかし、雨龍が青年に近付くよりも少し早く、青年のチャージは完了した。


(流星群LV4……投下)


 最後の流星群が放たれた。空から現れた隕石は4つだったが、その軌道は雨龍を囲む様に円を描きながら降下するという今までとは一線を画す攻撃だった。


(もうお前は、そこから動けない。チェックメイトだ、雨龍)


 雨龍は青年の言った通りその場から動けず、体勢を低くし、隕石が迫るのを待つしかなかった。


 しかし、雨龍は諦めてうずくまっていた訳ではなかった。


(なっ、コイツ……強行突破かよ!?)


 青年が驚いたのも無理はない。まさか、隕石が自身に収束するのを待ち、その瞬間、回転しながら飛び上がる事で全ての隕石を弾くとは想定外だった。


 これは、まるで――対人戦


(画面の向こうでこっちの操作を見て、誰かが対策してるように思える程にチートだな……)


 しかし、青年は恐れるどころか、怒りもせず、何故か笑いを堪えていた。


(くくっ、久々に瞬殺しない相手に巡り遭えたよ。


 あー、色々と試したいコンボもあるし、新調した武器も使いたいし、新アイテムの性能も確かめたいし……。


 あぁ、雨龍――お前、全部耐えろよ?)


 ここから、青年の本当の戯れ(ゲーム)が始まるのだった。




 ここまでお読み頂きありがとうございますm(_ _)m


 「戯れ(V)」はいかがだったでしょうか?


 作者的にはあまり書きたがらないバトルシーンを長々と書いたので結構お気に入りというか、変な愛着はありますね(^_^;)


 それはさて置き、そろそろ雨龍討伐も終盤を迎える訳ですが、今回登場した文字操作環境ことコマンドプロンプトについて少し補足的な何か。


 コマンドは一応Linuxを参考にしていますが、独自の解釈をしている箇所などありますので目をつぶってください(>_<)


 また、本編で登場したコマンドは章末にまとめて説明する所存でありますが、質問があれば答えちゃいます(*^。^*)まあ、実際そんな勿体ぶる様な内容でもないので、はい。


 さて、次話の投稿は2014年4月15日午前9時頃を予定しています。


 それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/

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