Runtime-3「両断(V)」
作者のcrowです(^_^)/
今回の見どころは(……というか最近、短編時との変更点しか言ってない気がするけど、それは置いといて)、taskの葛藤とkeyの最終決断です。
短編だと、taskはほとんど気紛れでkeyを助けますが、今回は違います。明確(?)な理由で助けます。
そして、keyの最終決断ですが、短編では諦めログアウトの為、メニューを開きます。今回はそこが違います。
と、ほとんどネタバレの様な本編紹介になってしまいましたが、是非最後まで読んで見てくださいm(_ _)m
それでは本編をどうぞ。
――『天樹』 西大通り 掲示板前 15時50分頃
「えっ、プレイヤーだったの? ボーっと突っ立てるからてっきりNPCだと――」
「テメエ、俺はあのALの一員だぞっ! それをNPCだとぉ!?」
「A、L……? 何それ?」
見るからに初期装備な女アバターは素で火に油を注いだ。当然の如く、NPCもどきは激怒し吠えた。
「8Gの1つ、乱入戦線のサラウンドだっ!!」
「あっそう。サラ……ウッドだっけ? 退いてよ、私急いでるんだから」
初期装備の女アバターが何故こんなのにも強気なのかはいざ知らず、状況は女アバターにとってどんどん悪くなっていった。
「サラウンドさん、どーかしたんですか? イイ奴でも見つけたんですか?」
「はっ、イイ奴どころかマナーも覚えてねぇど素人が俺にケンカ売って来たんだよっ!」
無駄に張り上げられたモブのボイスチャットに反応して周囲のアバターも注目した。その群集の中から騒ぎを聞きつけたsurroundの仲間がわらわらと現れた。
その数、5体。surroundとその仲間達は女アバターを囲むように詰め寄った。
「このザコキャラ、何ですか?」
女アバターの右斜め後ろから現れた理知的な男アバターが言った。
「なになに~? 実は、超強いとか?」
同じく左斜め後ろから現れた軽そうな女アバターも言った。
「んな訳ねーだろ。よく考えろ、サラウンドさんにケンカ売ってる時点でバカだろ」
surroundの右から現れた甲冑に身を包んだ男アバターが早口に言った。
「って事は、地下行き志願者か」
最初にsurroundに話しかけた軽そうな男アバターが、surroundの左側に立った。
5体の登場に周囲のアバター達もざわめき出した。
「おい、アレって……ALの」
「初心者相手にALのギルドメンバーが5人がかり、か」
「ありゃあ、もう表を歩けねえな、アイツ」
実際、女アバターがこの場でキルされる事はない。それはココが街の中、つまり規律地帯だからだ。
だから、surroundとその仲間も女アバターを囲んで怒鳴るだけで、それ以上何もしない訳だが、問題はALに単身でケンカを売った事だ。
今後、この女アバターが無法地帯に出たとして、ALのギルドメンバーに遭遇しない確率はほぼゼロに等しい。それは単純に、ALのギルドメンバー数が尋常でないくらい多いからに他ならない。
(さて、どうしたもんかな……いやいや、俺には関係ないだろ。面倒事に構うな。下手に目立つな)
そう自分に言い聞かせ、taskは見て見ぬ振りをしてその人だかりを通り過ぎ――なかった。
(でも、あの声は、もしかしたら……)
一方その頃、surround達は女アバターを囲むように立っていた。surround達はキル出来ない腹癒せに擦り抜けシステムを悪用した妨害行為で女アバターの行く手を阻んだ。
「ねえ、私、急いでるって言ったよね……?」
女アバターが怒りに満ちた声で告げたが、surroundと仲間達は一切返答しなかった。そして、周りで一部始終を見ていたアバター達も誰も女アバターを助けようとはしなかった。
最後に、女アバターのプレイヤーは時計を確認し、溜め息を吐いた。
そして、この手詰まりな状況下で何かを決心したか如く、メニュー画面を開いた。
その時、surround達の後方に吹き出しが現れた。
「『邪魔だ、雑魚共』」
瞬間、難癖をつけてきたsurroundが上半身と下半身に両断された。
そうして、女アバター・keyの前に姿を現したのは一人の青年だった。
「『付いて来い』」
その吹き出しに従い、道が空いたkeyはtaskの後ろに付いて行った。
一方、surroundの仲間達は何が起きたのか理解できず、消えていくsurroundを静かに眺めていた。同様に、周囲のアバター達も信じられない光景を見たかの如く固まっていた。
その光景とは、規律地帯で大剣を振るった男アバターの姿だった。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
さて、次話の投稿は2014年6月17日午前9時頃を予定しています。
それでは、次話も是非読んで下さい(^_^)/




