表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

又従姉妹ちゃんと後輩くん

「……遅い」


渡守(ともり)(ひな)はアパートの一室で、足で床をトントン叩きながらつまらなさそうに(つぶや)いた。

彼女が待っているのは小鳥遊(たかなし)(あや)苗字(みょうじ)は違うが、彼女の彼氏という訳ではない。彼は(ひな)又従兄弟(またいとこ)だ。


「遅いよ……」


純が帰ってくるのはいつも遅いが、今日はいつにも増して遅い。


「なにやってんのよー……」


せっかく頑張ってケーキ作ったのにー。と(ひな)が心の中で(つぶや)いた時。

ピンポーン。

と玄関のチャイムが鳴った。


「あれ?お客さんかな?」


(ひな)は廊下へ出てとてとて歩いて行き、玄関のドアスコープを(のぞ)いた。

純だったらいいなー、とか思っていたが、そこには期待外れにも見知らぬ男の人が立っていた。

鍵を開けてドアノブを(ひね)る。勿論(もちろん)、チェーンは掛けてある。


「えっと、どなた様ですか?」


「あれ?君……誰?」


「…………?」


「もしかして、(あや)先輩……小鳥遊(たかなし)さんの彼女さんですか?」


「え、彼女!?いや、そ、そんなっ……!」


「そっかー。純さんはまだ帰ってないです?」


「……まだですけど。取り敢えず上がってください」


一度ドアを閉めてからチェーンを外して、彼を招き入れる。


「あ、そうそう。これ、ケーキです。今日は純さんの誕生日でしょ?毎年来てるんですよねー」


「ありがとうございます。そうなんですか?あ、申し遅れました。私、純の又従姉妹(またいとこ)渡守(ともり)(ひな)です」


「あ、彼女さんじゃなかったんだ。じゃあタメでいいよね?俺は(あや)さんの一つ下の後輩で、名無(ななし)(とき)っていうの。高校時代の後輩ね」


「ななし……?」


「名前が無いって書いて名無(ななし)。ふざけてないよ?(れっき)とした正式な苗字。珍しいでしょ」


「覚えやすいですね。大学は同じじゃなかったんですか?」


「あれ、知らなかった?純さん賢いのに進学しないで就職しちゃったの」


「え、(あや)(にぃ)頭良かったんですか?」


「実はね。うちバリバリの進学校で、その中でもトップレベルの成績だったのに、なにを思ったのか就職する!なんて言い出して……なんかちょっとした騒ぎだったよ」


「へぇー、賢そうなイメージなんてなかったんですけど。あ、お茶出しますね」


「いやー、お気遣いなくー」


(ひな)がお茶を()れたコップをテーブルの上に並べていると、(ひな)の“(あや)センサー”が反応した。

慌てて廊下に出ると、純と一緒に見知らぬ女の人がいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ