雨の日に
曇天の空では雷が鳴っていて、少しマシにはなったが、今でも大雨が降っている。私の持っている傘だけじゃ全然防ぎきれず、顔以外の殆どが濡れていた。
明かりも少なく足元がよく見えないので、さっきから何度も水たまりに足を突っ込んでしまって、歩く度に靴の中がグジョグジョいっている。
行くあてなんてない。
ただただ、無意味に無駄に、歩き続けている。
最悪……。何もかもが最悪だ。
こんな世界、クソ喰らえ。
「神様の、バカ」
ピシャッ!ゴロゴロッ!
呟いた瞬間、神様が怒ったのか、雷が一際大きく轟いた。
そして、バシャッ!!と、通りかかった大きな車に水たまりの水を跳ねられた。
「きゃっ!」
ギリギリ守っていた顔や髪の毛を含み、全身が泥水でずぶ濡れになってしまった。
「このっ……」
そんなことをしたところで何も変わらないのは分かっているが、思わず睨みつけて拳を握りしめた。
すると直後に車が止まり、運転席から男の人が降りてきた。
それを見て、一瞬ビクッと身体が揺れた。怖かったのだ。相手は真っ黒のボックスカーみたいな車を乗り回しているし、こっちはただのか弱い女なのだ。
何をされるか分からないし、抵抗しても力の差で押し負けてしまう。
「だ、大丈夫ですか!?」
けど、その声はただただ申し訳なさそうで、悪意がなさそうだったから少し安心した。
けど信用できる訳じゃないし。
恐怖が少し和らいで怒りがふつふつと再び湧いてきたので、私は怒りに任せて何か叫んでいた。威嚇でもあり、ストレスの発散でもあった。
その後、いろいろあって、今は彼の家にお邪魔している。